児玉さんが具体的に何をしたのかというと、まず毎授業のあとは必ず教授の部屋に直行。

「ノリ、また来たのか?」「また来ました!」「どうした?」「わかりません!」「どこがだ?」「全部です!」「またか!?」「イエス!」

そこから児玉さんは、「英語がよくわからない」という欠点を恥と思わず、あらゆる疑問点を直接しつこいくらいに質問していきました。まさに“パンツを脱いだ”のです。

「これを何度も繰り返しているうちに、先生がテストに出る範囲までそれとなくヒントを出してくれるようになりました(笑)。すごいのは、そんな状態だったのに成績にオールAをくれたこと。しかも、優秀な生徒ということで大学は奨学金までくれたんですよ。アメリカ人は面白いなと思いましたね。おそらく、単純なテストの結果だけを見ているのではなく、自分の意志で道を切り拓いていこうとする姿勢を、彼らはもっとも評価するのでしょう」

たとえ英語が苦手でも、海外で実績を積むことは決して不可能ではありません。それよりも、パンツを脱いで思い切りぶつかる勇気こそが、異文化の人々と交流するうえでは重要なのです。
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<プロフィール>
児玉教仁(こだま・のりひと)
1972年生まれ、静岡県出身。グローバルアストロラインズ代表取締役社長。高校卒業後にアルバイトで学費を稼ぎ、20歳で単身渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学卒業。1997年に三菱商事へ入社し、在籍中の2004年にはハーバード大学経営大学院入学、2006年にはMBAを取得した。2011年に三菱商事を退社。その後、国際社会で活躍できる人材の育成を目指して現在の会社を立ち上げ、英会話上達の集中合宿『イングリッシュブートキャンプ』等創造的な学習機会を提供している

<クレジット>
取材・文・撮影/小山田裕哉