_R3A9359
10月6日、アドビシステムズがロサンゼルスで開催中のイベント「Adobe MAX 2014」にて、VAIOの「新型タブレット」の試作機が世界初公開されました。従来なかったクリエイターのためのタブレット端末――。そこには、どんな思いが込められているのでしょうか。VAIO執行役員で商品企画担当の花里隆志さんに聞きました。

■新タブレットは「クリエイター特化型」

――このインタビューの掲載日に、“新生VAIO”の試作タブレットが初公開されます。

花里:これはモーターショーで発表される「コンセプトカー」みたいなものです。発売が具体的に決まっているわけではなく、まず我々が理想とするコンピューターのコンセプトを世界に提案するために作りました。

10月7日に発表された新タブレット試作機「VAIO Prototype Tablet PC」

VAIO Prototype Tablet PC side

作業がしやすいように、タブレットを立てて使うためのスタンドも付属する

この「VAIO Prototype Tablet PC」と名付けたタブレット型端末は、デスクトップPC並みのパワーをそなえています。Adobe MAXのサイト説明文にも

a prototype tablet PC designed by and designed for creative professionals.(クリエイターによる、クリエイターのためのタブレット試作機)

と記載されている通り、クリエイターの人たちに向けた端末です。

――Photoshopなど、クリエイターがよく使用するAdobeのアプリケーションがさくさく動くタブレットということですか。

花里:そうです。デスクトップPC向けの重たいアプリケーションもこのタブレットならストレスなく操作ができます。例えば、カメラマンが撮影場所からタブレットで画像をレタッチして、すぐに編集部に送るなんてこともできる。クリエイティブな活動をサポートするタブレットを目指しました。

――7月に「VAIO株式会社」が立ち上がってから3ヶ月ほどで、タブレットの試作機を出されてきたのは驚きです。“新生VAIO”が目指す方向性とは何ですか。

花里:VAIOがソニー社内で誕生したときから、私たちは「新しいPC製品ではなく、新しいブランドを確立しよう」としてきました。発売当時はPCでオーディオやビジュアルを楽しむという発想は一般に浸透しておらず、家庭でPCを利用するなら事務的な作業やインターネットくらいでした。そういうなかで、VAIOはオーディオやビジュアルをPCで楽しむ文化を根付かせていこうとした。それがそもそものスタートなんです。

――PCを通じて人々の生活を変えることを目指したわけですか。

花里:ええ。そして、すぐにそれは当たり前になりました。では次は何がPCの役割として残っているかといえば、人の持っている内なる創造力を拡張していくことだと思うんです。デザイナーやエンジニアのように、PCという媒介によってクリエイティビティがアウトプットされていく。VAIOはそのためのパートナーになるんだと。このコンセプトは、今でも変わっていないんですよ。