■新生VAIOはイノベーションを諦めません

――VAIOはPCの可能性を更新してきたブランドですからね。最初は「銀パソ」ブームの火付け役でした。

花里:「505」シリーズですね(従来は金属とプラスチック製だったノートPCにマグネシウム合金を採用。軽さと丈夫さを兼ね備えたパソコンとして人気となり、その銀色の見た目から後に「銀パソ」と呼ばれた)。

――当時はその軽さに驚いた人が多かったと思います。

花里:デスクトップでも世界で最初にテレビの録画機能を付けました。そんなことをやっていたVAIOだけに、「ついにイノベーションを諦めたのか?」という批判もあるのだと思います。だからこそ、今回の試作タブレットでは、まったく新しいタブレット端末の使い方を提案してみたんです。

かつて、薄い「505」シリーズが生活のあり方を変えたように、このタブレットを持っていると、私たちのクリエイティビティに変化が起こるのではないか――。そう期待させるプロダクトになっていると思います。

――そこには「本質+α」がある。

花里:ええ。コンピューターとしての本質を追求しつつも、遊び心を忘れない。僕らは今ではチャレンジャーですから、まじめに一生懸命やりながらも、どこかに想像を超えるVAIOらしい要素は必ず入れていきたいと思っています。

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PCの古い「思い込み」、変えていくのは俺たちだ――。新生VAIOの理念を言葉にしたポスター

<プロフィール>
花里隆志(はなさと・たかし)
VAIO執行役員(マーケティング・セールス/商品企画担当)。ソニー時代のVAIO事業の立ち上げから同ブランドの構築に携わり、2014年7月のVAIO株式会社設立で現職に

<クレジット>
取材・文/小山田裕哉
撮影/小島マサヒロ