■「自分への投資」って何にお金を使うこと?

岩瀬:若いうちって自分のために使うお金も多いですよね。「自分への投資」とも言いますが。

14101601_2栗本:ライフネット生命には若い社員さんもたくさんいらっしゃるので逆に僕からお伺いしたいのですが、どんなことにお金を使うべきだと思います?

岩瀬:自分の市場価値を高めることに投資をすることでしょうね。自分の一番の資産は何かというと、自分自身ですから。自分が稼ぐ力を高めることにつながれば、投資になると思います。必要な資格を取ることや、本を買ったり映画を観たり。そういうものにはお金をかけてもいいと思います。

栗本:確かに、そういう自分磨きというのは大事ですよね。それに加えて僕は、人脈作りにもお金をかけていいと思いますね。それも社外の人。会社の枠を越えて、個人としてお付き合いできるような人との付き合いは勉強にもなるし、転職したり独立したりした後も交流が続きますので。

岩瀬:僕も社内より社外の人と飲みに行くことを勧めているんですが、それがなぜ自分のためになるのかというのは、栗本さんみたいに独立している人にはよくわかると思うんですが、会社勤めの間はなかなか気づきにくいんですよね。栗本さんはいろんな人とお付き合いされていると思いますが、人脈作りのポイントみたいなものはありますか?

栗本:楽しく飲むぶんには、気が合えば誰でもいいと思うんですが、勉強になる話を聞きたいというのであればポイントは二つあると思います。一つは会社から独立して仕事をしている人。自分の看板で仕事をやっている人は、自分自身の責任で全てが決まってしまいます。自分の収入が減るのも自分の責任。そういう人の話は聞く価値があると思います。もう一つは転職を経験している人。そういう人は自分の意志で新たなことにチャレンジしていると思うので、面白い話が聞けると思います。

■おすすめマネー本――大金持ちになる秘訣がすべて書かれている

岩瀬:若い人におすすめのマネー本などはありますか? 映画や漫画でもいいですけど。

栗本:漫画なら、『ナニワ金融道』や『カバチタレ』のような作品は、法律や貸し金のことを知るきっかけにもなっていいと思います。あと『クロサギ』もおすすめです。でも、マネー本で一つだけ挙げるとしたら『バビロンの大富豪』(ジョージ・S・クレイソン著)ですね。私もFPになってからある方に教えてもらって読んだのですが、1920年代に書かれた海外の名著で、日本語にも翻訳されています。バビロンは古代都市の名前で、そこに住むアルカドという人物が、お金が貯まるための教えを守ることによってお金持ちになり、それをバビロンの人々に伝えるという話を題材にした作品です。この本には、その教えが全部書かかれているんです。

岩瀬:昔から言われていることって、今も真実であることが多いですよね。友人から聞いた話だと、ユダヤ人は子どもの頃からお金の教育を受けているというんです。それが「資産は3つに分けろ」というもので、例えば資産をキャッシュだけで持つのではなく、株や債券などにも分けておく。そこからさらに3つずつ、キャッシュなら、ドル、ユーロ、ポンドというふうに分けていくやり方です。こんなことを子どもの頃から教えられているなんて、資産運用ではユダヤ人に敵わないなと思いました。

栗本:本当にそうですね。昔の人たちの知恵は今でも十分通用します。『バビロンの大富豪』の中でも、僕がさっき言った「収入の1割を残せ」といったようなことが書かれているんです。