1411sugai1_1みんなが知りたいお金の話、知っておくべきお金の話。岩瀬大輔が「お金のプロフェッショナル」の方々に、直接インタビューしてまいります。今回はメガバンク元支店長の菅井敏之さんにお話を伺いました。

■年収1,000万円でもローンを返せなくなる人たち

岩瀬:本日は、元メガバンク支店長、そして現在はアパート経営や喫茶店経営をされている菅井敏之さんにお金にまつわるお話を伺いたいと思います。菅井さんはまさに人気ドラマ『半沢直樹』の世界を渡り歩いてこられたわけですが、今年3月に出版された『お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)という本がすごく売れていますね。現在も主要な書籍ランキングでビジネス書部門1位だとか。ここで紹介されている「お金を増やす25の法則」というのは、やはり銀行員時代に発見されたものですか?

23万部帯_H1_お金が貯まるのは、どっち

菅井:そうですね、銀行員としての経験がベースになっています。私は銀行員として、お金を上手に貯めていわゆる“小金持ち”になられた方をたくさん見てきました。一方で、ローンを返済できずに破たんしてしまった方も大勢見てきました。成功者、失敗者のどちらにも、共通法則のようなものがあるんですね。それを経験的なこととしてまとめたものが、その本です。

岩瀬:例えばローンを返せなくなる方って、どんなふうに失敗してますか?

菅井:収入が減っているわけでもないのに破たんしてしまう人を多く見ました。そういう人は浪費癖があって、出ていくお金をコントロールできていません。そして多いのは借金を重ねてしまうケース。実は借入金額の大きさよりも、借金の本数が問題になります。何本も借金を重ねているうちに資金繰りがつかなくなって、最終的には手取り収入を全部返済に回すようなことになってしまうんですね。年収1,000万円以上の人でも、住宅ローンや学資ローンなどどんどん本数を増やして破たんしてしまう人はいますよ。

岩瀬:僕も気をつけないといけないですね……。どうやったらお金はうまく貯まりますか?

菅井:実に単純な話です。入ってくる金額よりも少ない金額で毎月を暮らすということです。小学生でもわかることなんですが、それを実践できる人は少ない。「身の丈にあった生活」をすることが大事です。

岩瀬:菅井さんも若い頃からそういう生活をされていたんですか?

菅井:いえ、若い頃はあるだけ使っていました。「メガバンクに勤めているんだから老後も大丈夫だろう」と高をくくっていたんです。でも多くのお客様と接しているうちに、どんなに収入のある人でも節制をしないと金融資産が残らないということを知ったんです。それからは節約生活も板について、車は友人から安く譲り受けた中古車にずっと乗っていました。近所でも目立つくらい古かったので、うちの息子は周りと比べて「どうしてうちだけ貧乏なんだ?」と思っていたはずです(笑)。

■メガバンクだからっていいわけじゃない?

岩瀬:菅井さんの本、面白いことがたくさん書かれていますね。新社会人になって口座を開く時なんかは、みんな何も考えずにメガバンクにしていますけど、菅井さんは「信用金庫に開くべき」だとか、意外なことを述べられている。メガバンクに対する批判めいたことも、あまりに正直に書かれているんで元同僚の方から怒られなかったか心配ですけど……。

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