Hanging Gardens of Babylon (Hungary 1980)こんなに忙しく働いているのに、どうもお金が貯まらない。いつまでこんな暮らしを続けるのだろうか……?

多くの人が抱くそんな悩み。実は、3000年前の古代都市バビロンの市民たちも、まったく同じ悩みを抱えていました。

しかし、どんな世界でもお金持ちはいるもの。彼らはどうして、今の生活を手に入れたのか。お金に関する古典『バビロンの大富豪』は、そんな疑問を持った戦車職人バンシアが、街の大富豪アルカドに教えを請うところから始まります。

●本書は、現代ビジネスの極意を分かりやすく説き明かした名著であり、あらゆる人にとって重要な一冊である。
──パーシー・H・ホワイティング(「デール・カーネギー研究所」副所長)

●本書に記されている「バビロンの知恵」は、現代においても、そして誰にとっても役立つものだ。人生で成功をなしとげようという志を持つ、すべての人におすすめする。
──ヴァン・アレン・ブラッドリー(「シカゴ・デイリー・ニューズ」)

そんな推薦文の言葉のとおり、アルカドが語る「富の支配法則」は現代でも十分に通用します。

同書が出版されたのは、今から80年以上前。出版社の社長でもあった作者のジョージ・S・クレイソンが、3000年前に栄えた都市バビロンを背景にした寓話として発表しました。それが次第に金融業界の人々やさまざまな経営者たちから評判を呼び、今も世界中で読まれるベストセラーとなったのです。

なぜ、『バビロンの大富豪』はそこまで支持されるのか? それは、本書に書かれた「富の支配法則」が普遍的かつ、シンプルなものだからです。つまり、誰でも実行できるもの。

本の中では「黄金の7つの知恵」「5つの黄金法則」と、さまざまなかたちで語られますが、その基本となるのは、たったひとつの“原則”です。これができるだけで、日々の生活は大きく変わります。

さらに、「どうしてこんなに忙しいのに、お金がないのか……」という悩みの原因も、この原則が実行できていないからだとわかるはず。

その原則とは、このように語られます。

「わしが富への道を見つけたのは、稼いだものは、すべてその一部を(書籍内では傍点)自分のものとしてとっておくことを心に決めたときだ」

要するに、稼いだ金額に関係なく、いつでも収入の一部を貯蓄にまわすように生活すべしということなのです。ただ、無理をしすぎて挫折しては意味がない。本書ではその基準を「収入の10分の1を貯蓄せよ」としています。

「そんなことを言われても、今でもギリギリの生活なのに、10分の1なんて無理だ!」。そう言いたくなる人も少なくないでしょう。古代都市バビロンでも、やはり同じ声があがりました。しかし、そんな人に対して、大富豪アルカドはこう語ります。

私たちがそれぞれ必要経費と呼んでいるもの(書籍内では傍点)は、自分で気をつけていない限り、必ず収入と等しくなるまで大きくなってしまうものなのです。
必要な経費と自分自身の欲求とを混同してはいけないのです。

生活の苦しさに頭を悩ませる前に、まずは「10分の1を貯めよう」と決意すること。そうしなければ、人は収入の大きさに関係なく“あるだけ”使ってしまうものなのです。だから、使う範囲をあらかじめ限定してしまうことだけが、「富を支配する原則」だと、本書は説いています。

そして、「10分の1を貯める!」と決意して実行することは、自分自身に自信と意志の強さを根付かせます。それは日々の仕事にも良く作用し、さらなる幸運を呼び込むことにつながっていくのです。

『バビロンの大富豪』では、このたったひとつの原則をもとに、より資産を増やしてく方法が具体的に指南されています。そこから先は実際に本書を紐解いていただくとして、たった今から、これだけでも心に決めて生活すれば、家計事情はずいぶんと変わることでしょう。

お金持ちになりたければ収入の10分の1を貯蓄せよ。それ以外に、近道はない――。

41Opy6IIBmL<書籍データ>
『バビロンの大富豪』(グスコー出版)
著者:ジョージ・S・クレイソン
翻訳:大島豊

<クレジット>
文/小山田裕哉