リンゴダイエット

大ブームを巻き起こしている糖質制限ダイエット。体型が気になる人は、一度はトライしてみたことがあるのではないでしょうか?

炭水化物を禁止するものから、とにかく糖質を徹底的にカットするハードなものまで、その方法はたくさんあれど、多くの人が「短い期間で減量効果があった」と証言しています。

しかし、どうやら糖質制限ダイエットを過信するのは危険なようです。7000人以上にパーソナルトレーニングを指導してきた、ボディデザイナーの森俊憲さんが説明します。

本サイトの筋トレ動画でもお馴染みの森俊憲さん

本サイトの筋トレ動画でもお馴染みの森俊憲さん

「確かに、糖質制限ダイエットで体重は減ります。体型によっては、1か月ほどで10kg以上痩せる人だっているでしょう。しかし、そんな糖質制限ダイエットを実施してしまうことで、リバウンドに悩まされる人も後を絶たちません」

なかには、糖質制限を始める前よりも体重が増えている人だって珍しくないとか。いったい、どうしてそんなことになってしまうのか?

森さんによると、リバウンドした人たちのほとんどが、ダイエットを辞めた途端に食べ過ぎたりしたわけではないそう。リバウンドの原因は、糖質制限で減量するメカニズムに理由がありました。

■糖質制限で痩せるメカニズムがリバウンドの原因

人間のカラダは、糖質を主なエネルギー源として活動しています。それをカットするとエネルギーが足りなくなり、脂肪を分解して補うようになります。これが糖質制限で減量するざっくりした仕組みであり、カットする量が多いほど、大幅な減量が実現できるというわけです。

「しかし、急激に減量をすると基礎代謝がガクッと落ちてしまいます。イメージとしては、断食している人と同じ状況です。少ないエネルギー量でもカラダを維持できるよう、低燃費の状態に変わっていくんです。それだけ人間のカラダは適応能力が高いとも言えるかもしれません。だから、糖質制限をするならずっと同じくらいの食事量をキープしないと、ダイエット前よりも食事から栄養を吸収しやすいカラダになっているので、ちょっと糖質を摂取しただけでも、自分が思うよりも太っていくんです」

本当はじっくりとマイペースでトレーニングも行い、ガッシリした筋肉を身につけて「糖質制限×高燃費なカラダ」にしていくことが必要ですが、そこまで厳しいトレーニング&食事制限を続けられない人がほとんどなのです。

だから、目標とする体重まで減量できたら食事の内容を戻してしまう。あるいは、ちょっとだけでも糖質を摂取してしまう。しかし、カラダはダイエット前よりも低燃費になっているので一気にリバウンドしてしまう……というわけです。

■理想的なダイエットは“足し算”で考えよう

また、森さんは女性の急激なダイエットに潜む、こんな危険も指摘します。

「短期間での極端な減量をすると、“皮が余る”ということが起こってしまいます。脂肪の減少にカラダが適応しきれないんですね。そうするとシワの原因になったり、かえってプロポーションが崩れてしまったりすることも」

では、理想的なダイエットとはどんなものなのか?

「まずダイエットを“減量”だけで考えることを辞めるべきです。それよりも、脂肪の燃焼効率を高めることを優先してください。体重を減らす“引き算”ではなく、燃焼効率を上げる“足し算”で考えることが、理想的なダイエットのあり方です」

その方法としてもっとも手軽なものは「筋トレ」だと森さん。短時間でも毎日コツコツと続ければ筋肉は確実に増え、同じ量の食事でも燃焼効率の高いカラダになっていきます。初めは面倒で辛くても日々のトレーニングを習慣化すれば、リバウンドの危険も少なくなるのです。

「さらに女性の方であれば、プロポーションを良くするためにダイエットする方も多いでしょう。実はそれほど太っていないのに下腹が出たり、お尻が垂れたりしてしまうのは、加齢とともに筋肉が衰えて、重力に逆らえなくなってしまっていることが原因なのです。緩めの食事制限と平行して筋肉を増やせば、重力に負けないカラダを作ることにもつながり、単に減量する以上のシェイプ効果が得られます」

一気に減量した達成感は得られるけど、続けるのはとっても大変な糖質制限。理想の体型になるためには、無理をせず、少しずつ減量していくやり方が、結果的に近道となるようです。

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<プロフィール>
森俊憲(もり・としのり)
株式会社ボディクエスト代表。ネットを活用した独自のウェブシステムやアプリを開発し、受講者が自宅に居ながらマンツーマンの指導・支援を受けられるオンライン上のフィットネスサービスを展開。これまでに6000名以上への体型管理カウンセリングやパーソナルトレーニングを行う。著書に『へやトレ』(主婦の友社)、『読む筋トレ』(扶桑社)など
HP:http://bodyquest.jp/

取材・文/小山田裕哉