ドライアイ

■6人に1人はドライアイ? 年々増加傾向に。

ドライアイとは、涙の量が減少したり、量は足りていても涙の質が悪くなってしまうことによって、目の表面を潤す力が低下してしまった状態を言います。 現在、日本にはドライアイ症状をお持ちの方が、何と800万人~2,200万人もいるといわれ(ドライアイ研究会調べ)、大きな問題となっています。特にパソコンなどの電子画面を見ることの多い、オフィス勤めの方に非常に罹患率が高いことが知られています。

■ドライアイってどんな症状?

症状としては、目の乾いた感じ、目に異物が入っているようなゴロゴロする感じ、目の痛み、まぶしさ、目の疲労感などが挙げられます。これらの症状を我慢して目を酷使し続けることで視力が低下することがあります。 また、目の表面をきちんと涙の膜が覆っていないことで、角膜や結膜などの細胞に栄養が行き届かず、目の表面の細胞に傷がつきやすくなります。

■まずは、ドライアイチェックをしてみましょう。

ここで、簡単に出来るドライアイのチェックリストがありますので、ご紹介しましょう。

1. 以下の症状のうち、あてはまるものの数を教えてください。

□ 目が乾いた感じがする
□ 目が疲れる
□ 目に異物感(ゴロゴロした感じ)がある
□ ものを見るときかすんで見える
□ 目に痛みがある
□ 目にかゆみがある
□ 光を見るとまぶしい感じがする
□ 目が重たい感じがする
□ 涙が出てくる
□ 目が充血している
□ 目やにが多い
□ 目に不快感がある

2. 10秒間、まばたきをせずに目を開けていられますか?

いかがでしたでしょうか?1のうち5項目以上当てはまる方、または2で10秒以上まばたきをせずに目を開けていることが出来なかった方はドライアイの可能性があります。

■ドライアイの疑いが……検査の種類に何がある?

眼科専門医を受診し、ドライアイが疑われた場合、どのような検査があるのかをご紹介します。

●シルマー試験
眼科専門医を受診し、ドライアイが疑われた場合、通常「シルマー試験」と呼ばれる、専用のろ紙を用いた涙の量を測る検査が行われます。目の表面の状態を調べるためには、スリットランプという顕微鏡を使い、目の表面の傷を少量の黄色い点眼液で着色することで見やすくして確認するということが行われています。

●涙液層破壊検査(BUT)検査
同じ点眼液を使って涙が目の表面でどのくらい安定しているかを調べる検査(涙液層破壊検査(BUT)検査)も行われます。まばたきをしないで目を開けたままにして、目の表面の涙の層がどのくらいの時間で乱れるかを調べる検査です。「涙液層破壊検査」などと聞くと、何となく痛そうな、怖い感じがしますが、どの検査も外来で短い検査で出来る検査ですし、強い痛みもありませんので安心してください。

目の乾きや異物感などの自覚症状や、検査によって涙の質または量に異常があり、さらに目の表面に傷や凸凹があること(角結膜上皮障害と言います)が確認されれば、ドライアイの確定診断となります。自覚症状、涙液の異常、角結膜障害のうち一つだけかけている場合は疑い例という扱いになります。

■あなたは大丈夫? ドライアイになりやすい人の特徴

では、どのような方がドライアイに罹りやすいのかというと、もちろん、他の病気同様、生まれ持った体質などもありますが、一般的には下記などが挙げられます。

・パソコンなどの電子画面を見ることが多い方
・高齢の方
・女性
・空調の効いたオフィスなど乾燥した生活環境にいることが多い方
・喫煙者

また、眼科疾患では結膜弛緩症、マイボーム腺機能障害に伴うもの、あるいは内科疾患であるシェーグレン症候群に伴うドライアイもよく知られています。一部の内服薬(高血圧の治療薬や抗うつ薬など精神科の治療薬に多い)は抗コリン作用と呼ばれる作用を持ち、涙の分泌量を減少させることがあります。

そのほか、よく胃がんなどの治療薬として経口で用いられているTS-1という抗がん剤でも涙の分泌量が減ることも知られています。これらの薬を服用していて、ドライアイの症状が辛いという方は副作用の可能性がありますから、主治医に相談してみるとよいでしょう。
なお、一部の点眼薬の成分もドライアイをひきおこすことがあるので使用する際には注意が必要です。

■最近注目の危険因子はコンタクトレンズ!

そして、現在ドライアイの大きな危険因子の一つとして注目されているのが、コンタクトレンズ、特にソフトタイプのコンタクトレンズの使用です。コンタクトレンズを使用している方は、通常よりも涙が蒸発しやすくなっています。目の乾燥を感じたら、涙液を補うような目薬を使用したり、室内に加湿器を設置したりするとよいでしょう。

また、コンタクトレンズの連続使用はあまり長時間に及ばないようにし、可能なときはメガネを使用するのも良い方法ですね。 それ以外にも、辛いドライアイの症状を和らげるためには、目を必要以上に乾燥させないようにすることが大切です。エアコンの風に直接当たらないようにしたり、目を長時間酷使するような作業をするときには、こまめに休息をとり、意識的にまばたきをするようにします。

パソコンを置く位置を調節できる時には目より下に置くようにすると、目を見開かなくても画面を見て作業ができるので目が乾きにくく、これも有効な対策の一つと言えるでしょう。

■まとめ

ドライアイは放置しても失明などの重篤な状態にはなりにくい病気ではありますが、ずっと続く目の不快感や疲労感に耐えながら生活することは、生活の質を大きく下げることにつながります。医学の進歩により、いろいろな治療法が開発されてきていますので、セルフチェックでひっかかった方はもちろん、そうでなくてもなかなか取れない目の疲れや異物感を感じたら、早めに眼科専門医を受診するようにしてくださいね。

<クレジット>
文責/Doctors Me