■強いママサポーターの訴求力

──「子育てシェア」や地域交流イベントの告知はどのように行っていますか?

甲田:ママサポーターの力が大きいですね。ママサポーターとは、本人確認を行った上で、2ヶ月程度の託児研修やイベント運営のコミュニケーション研修を受けたスタッフです。2011年から、支援したい人がひと目でわかるようにオレンジ色のTシャツを着て、地域交流会に参加し、自分の顔を地域で広めてもらっています。もう400人を突破したんですよ。

彼女たちは日々の生活の中で出会う人たちに1日平均30件〜40件ぐらい、「子育てシェア」の紹介をしています。トータルでの数は年間500万世帯を超えました。地域共助の担い手として、口から口へ、顔を見て情報を届けるママサポーターの訴求力は強いですね。

──ママサポーターはどんな方々なんでしょう?

甲田:4割は小学校や幼稚園、保育園の先生です。子育ては孤独で大変ですからね。地域でお母さんが一人でがんばっているのであれば役に立ちたいという人が多いんです。

──ママサポーターの登録は、やはり大都市圏が多い?

甲田:やはり人口に比例していますが、いま熱いのが石川と沖縄。意欲的なママサポーターがいる地域です。思い入れのあるパートナー企業が見つかり、託児所付きセミナーやイベントを定期的に実施しているので、町にオレンジの服の人が氾濫する。すると露出度が上がり、メディア露出も増えるんです(笑)。
──お話をうかがっていると、「子育てシェア」にしても地域交流会にしても、どんどん進化しているように感じます。

甲田:ママたちの声を聞きながら、AsMamaの創業から丸5年をかけて、いまの仕組みを作り上げました。ほとんど毎週のようにルールを作り替えていますね。世の中はめまぐるしく変化していますから、利用者ニーズはどんどん変わってくる。これまでになかったソリューションを提供しようとしているので、利用者の声を聞いて作っていくしかないんです。

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──パパたちの参加はいかがでしょうか?

甲田:「子育てシェア」の会員の3%は男性です。パパにももっと子育てをシェアしてほしいとは思いますが、男性が子どもにあわせてフレキシブルな働き方ができる会社はまだ少ない。日本の男性の育児休暇取得は1%台といわれています。男性が女性のように子育てに参加するのは難しいのが現実ですが、ママの話を聞いて共感してくれるだけでもずいぶん違うと思います。それから、ママが一人で子育てを囲い込まないで、地域の信頼できる人たちに頼ることをぜひ応援してほしいですね。

<プロフィール>
甲田恵子(こうだ・けいこ)
1975年大阪生まれ。米国留学を経て、1998年3月に関西外国語大学英米語学科卒。同年4月、環境事業団(現 独立行政法人環境再生保全機構)に入社し、役員秘書及び国際協力室を併任部。2000年12月にニフティに入社し、海外事業立ち上げや上場・IRを担当。同社在籍中の2005年に長女を出産。2007年にベンチャー投資会社に転職し、広報・IR室長に就任。2009年に退社し、同年11月にAsMamaを設立。著書に「ワンコインの子育てシェアが社会を変える!」「子育ては頼っていいんです~共育て共育ち白書」がある。

<クレジット>
取材/ライフネットジャーナル オンライン編集部
文/三田村蕗子