須賀:2012年の冬に、「福岡移住計画」の原型となる活動を開始しました。その2、3か月後に、「京都移住計画」を運営している田村篤史さんと出会って、一緒に移住に関するイベントを東京で開催したんです。会場には50人くらいがばっと集まった。時代のニーズがあることを実感して、「京都移住計画」から暖簾分けしてもらう形で、活動名称を「福岡移住計画」に変更しました。この過程でお世話になったのが、クリエイターやエンジニア、プログラマーのための福岡移住促進プロジェクト「ぼくらの福岡クリエイティブキャンプ」を担当しておられた福岡市企業誘致課の山下さんです。あの方がいなかったら「いまの僕」はないですね。

──移住を希望されるのはどのような方が多いんでしょう?

「福岡移住計画」のウェブサイトには、地元の魅力的な情報や仕事情報がたくさん

「福岡移住計画」のウェブサイトには、地元の魅力的な情報や仕事情報がたくさん

須賀:僕らが3年前に開いたイベントでは、移住はしてみたいけれど絶対無理という、おっかなびっくりのスタンスの方がほとんどでしたが、直近のイベントでは3年以内の移住を決めているという人が半分以上いるんですよ。ずいぶん変わってきました。前のめりに、移住に関する情報を求めに来ている方が多くなったことを実感しています。

■移住してみてわかったこと

──移住してみて、改めて知ったことは何かありますか?

須賀:福岡は、人とのつながり、ご縁というものを大切にする土地です。仕事もプライベートも、周りから寄り添ってきてくれる地域。そこは東京とまったく違いますね。子どももたくましくなったように思います。僕には5才の子どもと、福岡で生まれた1歳半の子どもの2人がいますが、5才の子は東京にいた頃と違って、表情が変わってきましたね。自然に近い中で遊べるので、どんどん子どもが強くなっています。

──須賀さん自身の働き方も変わりましたか?

須賀:ストレスが東京と全然違うんですよ。そもそもストレスが少なくて、気持ちを切り替えようと思えばすぐに海に行ったり、釣りに出かけたりすることができる。仕事をする意味でも恵まれた場所だと思います。ただ、親元に戻るUターンとは違って、Iターンには仕事でどうしても忙しい時に子どもが病気になったらどうするのかといった不安がつきまといます。最近でこそ、ようやく人とのつながりができたので、子どもの世話をお願いできる人もいますが、来たばっかりのときは本当に不安でした。だからこそ、僕らの「福岡移住計画」がIターン者に向けてサポートできることは何だろうかと、いま必死で模索しているところです。

──Iターン者向けのサポートのほかに、「福岡移住計画」で計画されていることを教えてください。

須賀:移住者をより具体的にサポートするために、人材仲介も含めて仕事をサポートしていく方針です。「福岡移住計画」自体が、自治体の助成金や補助金に頼ることなく、自立できる活動を目指しているんです。仕事の仲介と住まいの情報を積極的に提供しながら、それ自体がビジネスとして継続できるようにしていきたい。企業とのコラボレーションも積極的に進めています。住宅情報サイトや人材系サイトと我々が連携して、移住に欠かせない情報を発信していくことも計画しています。

<プロフィール>
須賀大介(すが・だいすけ)
1976年生まれ。茨城県水戸市出身。明治大学で税務・会計を学んだ後、システムインテグレーターに入社し、EC・Eラーニング構築のSEとして勤務した後、キノトロープでテクニカルディレクターを経験。2002年に、システムとデザインで企業を支援するスマートデザインアソシエーションを創業する。会社を継続しながら、2012年に福岡県福岡市に移住。自らの移住体験をもとに福岡への移住希望者をサポートする「福岡移住計画」を立ち上げ、地方での働き方、本質的な生き方に関する情報を発信している。
福岡移住計画

<クレジット>
取材/ライフネットジャーナル オンライン編集部
文/三田村蕗子