今村暁さん(日本そうじ協会理事長)

今村暁さん(日本そうじ協会理事長)

日本そうじ協会では、「掃除の技術の向上と良い習慣づくり」に取り組み、目覚ましい活躍をした個人、企業を表彰する「掃除大賞」を実施しています。2014年度に掃除大賞を受賞した企業の驚くべき成果を、いくつか紹介してくれました。

「イノベーション賞を受賞したChatWork株式会社は、社員がたったの30人でありながら、2014年当時で世界135カ国・35,000社に自社のサービスを導入しています。この会社の特徴は、無駄なものが何もないというところ。デスクに引き出しさえないというから驚きです。その分、パソコンのモニターはひとりにつき3台設置して、生産性を上げています。徹底的に無駄を省いて効率化する。その結果、社員全員が年に4回の10連休を取得できているそうです。また、2015年では業績もさらに伸び、180カ国80,000社にまでサービス提供が広がっていると聞いています」

掃除による改革は、伝統的な慣習が強く根付いていそうな銀行でも実践されています。

「山口県にある地方銀行・西京銀行は、今村さんが研修に入った当時、約56億円もの赤字を抱えていたそうです。銀行には保管義務のある書類が大量に眠っていますが、書類のIT化を進め、なんと書庫レスの営業店舗を実現しました。他にも、無駄な稼働を減らし、その分を強化したい事業にまわしたところ、2010年度には預かり資産残高、住宅ローン残高、預かり資産手数料の3部門の伸び率が、全国の地銀106行中第1位という偉業を達成。その後の業績も右肩上がりとのことです。

 そして注目すべきは、2014年に大賞を受賞した4社とも、今年はさらに良い業績を上げているというところです。いったん良い環境・良い習慣ができあがれば、どんどん伸び続けていくのです」

今まで目をつぶってきた小さな無駄も、かき集めれば大きなロスを生み出します。そこを徹底的に「掃除」していくことで、人々が効率的に働ける良い環境が出来上がり、企業の業績アップにつながるのです。では、実際にはどんなところから取り組んでいけば良いのでしょうか。教えていただいた「掃除ができる人になるための習慣」は後編でご紹介します。次回をお楽しみに。

<プロフィール>
今村暁(いまむら・さとる)
一般財団法人日本そうじ協会理事長。北海道大学法学部を卒業後、日本長期信用銀行を経て独立。「感性教育」「習慣教育」をモットーに、数多くの企業コンサルティング、経営者・管理職のコンサルティングを行う。2011年からは一般財団法人日本そうじ協会の理事長に就任し、「掃除という環境整備の技術を高めることと、良い習慣づくりをすること」を目的に活動している。主な著書に、「10秒朝そうじの習慣」(ワニブックス)、「そうじ習慣手帳」(ワニブックス)、「習慣力」(角川書店)など。各メディア出演、講演など多数。
一般財団法人 日本そうじ協会

<クレジット>
文/志村優衣