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実は意外とかっこ良く見せるのが難しいクールビズ。パンツにシャツというシンプルな組み合わせだけに、ジャケットを着ているときよりも、“ごまかし”が効かないのです。

「でも、自分はファッションのセンスがないから……」。そう思っている人も大丈夫! いくつかの簡単な着こなしポイントを覚えておくだけで、印象を一変させることができるそうです。

元伊勢丹メンズ館のバイヤーで、現在は男性専門のファッションコーディネートサービスを提供する「ライフブランディング」の代表を務める吉田泰則さんに、ビジネスファッションに悩むライフネット生命の本間が、“夏のビジネス着こなし術”を伝授してもらいました。

■必ず「ワンサイズ下」を試着しよう

まずは、いつもの本間の格好がこちら。ポロシャツにスラックスと、この季節はよく見かけるクールビズスタイルですが、本人も「ちょっと物足りないのはわかるけど、何を改善したらいいのかよくわからない」とのこと。

ライフネット生命・本間の普段の服装です

ライフネット生命・本間の普段の服装です

う~ん、確かに。吉田さん、この格好のどんなところが間違っているのでしょうか?

「真っ先に改善すべきなのは、サイズの選び方ですね。クールビズはジャケットを脱いだ状態が“正装”なので、サイズが合っていないシャツやポロシャツを着ると違和感が大きくなってしまう。なので、まずは各アイテムのサイズをちゃんと合わせてみましょう」

そこで、吉田さんにスタイリングしてもらった姿がこちら。

特別に高い服を着てるわけじゃありません

特別に高い服を着てるわけじゃありません

おお! なんだか“仕事ができる感”が漂っています。サイズが合った服を着ると、ここまで印象が変わるものですね。

「これはほとんどの男性に共通することなのですが、仕事で着る服を選ぶ際に、『動きやすいから』『楽だから』という理由で、やや大きめのサイズを選ぶ傾向があります。しかし、それこそが“野暮ったく”見えてしまう原因なのです。

クールビズだからこそ、シャツやパンツのダブダブ感は目についてしまいます。それを避けるためには、どんなブランドであっても絶対に試着してから購入すること。そして、男性はサイズを大きめに見積もる傾向があるので、必ずワンサイズ下の服も試着してみましょう」

実際に本間がここで着ている白シャツもパンツも、「普段着ているものよりワンサイズ下」なのだとか。それでも決して動きづらいことはなく、むしろ自然と姿勢がよくなるといった効果が表れているそうです。

■シャツのサイズ感は鏡の前で腕を広げて確認

ビジネスシャツを購入する際には、しっかりと採寸してくれるスタッフがいるショップで選ぶのが一番です。しかしS・M・Lといった分類しかない量販店などで購入する場合でも、自分でサイズが合っているかどうかを確認する方法はあります。

「試着した際に、鏡の前で腕を広げてみましょう。そのときに胸回りや胴回りが大幅にダブついていたら、それはサイズが大きすぎる証拠です」(吉田さん)

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これがシャツ選びの「ちょうどいいサイズ感」です。ワキの下がダブついておらず、胸回りにも胴回りにも適度な余裕があります。

反対に、ワキの下あたりが大きくダブついていたりする場合は、最初のアドバイスにある通り、もうワンサイズ下の服を試着してみましょう。

■少しでも細く見せたいならパンツは「ノータック」

さらに覚えておきたいのが、パンツの選び方。特にクールビズではジャケットを脱いでいるので、お腹まわりが目立ってしまいがちになります。

ここで気をつけるべきは「パンツの形」。ここを見直すだけで、スッキリとした印象を与えることができます。

「基本はタック(縫いひだ)がない『ノータック』のパンツを選びましょう。特に年配の方では、はき心地が楽な『ツータック』をはいている方もいますが、どうしてもダブついて見えてしまいます。ですから少しでも細く見せたいなら『ノータック』。ヒップや太ももががっちりしている人は、せめて『ワンタック』を選んでください」(吉田さん)

また、お腹まわりでパンツのサイズを合わせると、ヒップから脚にかけてのシルエットがおろそかになってしまいがち。

パンツのシルエットがダブついてしまっている

パンツのシルエットがダブついてしまっている

「こうした見え方を避けるためには、ウエストだけでなく、ヒップと太もものフィット感にも気をつけてパンツ選びをしてください。試着した際に、鏡の前で横から見た姿をチェックしましょう」(吉田さん)

本間は細身なので「ノータック」をチョイス。ヒップから太もものシルエットもきれいになった

本間は細身なので「ノータック」をチョイス。ヒップから太もものシルエットもきれいになった

こうしたポイントは、クールビズ以外でも応用できる基本のテクニックです。実際、ここにジャケットを羽織ってみると……

心なしか、顔つきまで変わったように見えます

心なしか、顔つきまで変わったように見えます

本間も、「サイズを合わせるだけでここまで変わるなんて、帰りに服を買って帰ります!」と見違えた自分の姿に感動しきりでした。再び吉田さんが言います。

「色やデザインを気にする男性は多いですが、一方でサイズ選びはおろそかになりがち。しかし、体形にフィットしていないサイズを選ぶと、本人も気が付かないうちに、相手にマイナスの印象を与えてしまいます。奇をてらった格好をする必要がないビジネスシーンのファッションだからこそ、ジャストサイズを選ぶことがもっとも重要なのです」

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『勝負する男のロジカル着こなし術』(日経BP社)

(後編に続く)

<プロフィール>
吉田泰則(よしだ・やすのり)
(株)伊勢丹入社以来、一貫してメンズファッションに携わる。伊勢丹メンズ館立ち上げに参画し、伊勢丹メンズ館のバイヤーとして国内外のカジュアル・ビジネスウェア、シューズ、バッグ、ネクタイなどの雑貨の買い付けを担当。現在は独立し、男性専門ファッションコーディネートサービスを提供するライフブランディングの代表を務める。日経BP社より『勝負する男のロジカル着こなし術』刊行

ライフブランディング
一般男性を対象に、専用サロンの個室一ヶ所で、カジュアル・ビジネスウェアから靴、鞄などの雑貨まで最適なコーディネートをトータルで提案する

<クレジット>
取材・文/小山田裕哉
撮影/小島マサヒロ
モデル/本間貴幸(ライフネット生命保険株式会社)