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──内向的な性格から、気を使ってものが言えない、と苦労しているような上司や中間管理職もいると思いますが、石田さんは実際にお仕事をされるなかで、意識されていたことはありますか。

石田:プロジェクトでまとめ役のような立場になる時は、少なくとも自分が何を大事にしてるかということを伝わるように意識しています。また、部下の立場の方にアドバイスするときは、上司をよく見ましょう、という話をします。資料作成ひとつとっても、スピードを求めるのか、正確性を求めるのか、上司のタイプによって求められるものがすごく違う。完成度が5割でも早く出せという上司もいるし、しっかり形になってから出せという上司もいます。
逐一報告を求めるタイプもいるし、メールでCCに入れておけば、報告はいいよと、そのかわりにものすごくメールをしっかり読んでくれているようなタイプもいる。だから上司も部下の立場の方も、お互いのためにもっと意識してコミュニケーションをとった方がいいと思います。

■内向的な人の長所にも光を当てたい

──ところで、石田さんはなぜ“内向的な人”に向けた本を書こうと思ったのですか?

石田:ひとつには、仕事で結果を残していたとしても、内向型であまり自分をアピールしない、できない人より、アピール上手で自己主張の強い外向型の人のほうが、評価が相対的に高くなってしまうことが多いように感じていたからです。
内向型の人は、しゃべることやアピールは上手くないかもしれませんが、他の要素で頑張っている人や優れている人も多くいるし、そういう内向型の良さに気づくような本にできれば、という思いがありました。

もうひとつは、固定観念とか常識をとらえ直してみましょう、というメッセージを発信したかったことです。固定観念や常識すべてを疑う必要はないですが、やはり一度意識して考えることは大切だなと思っています。そのような意味では、本のなかでも事例としてご紹介させていただいたライフネット生命さんもそうですけど、今までは対面でやっていたものをウェブサイト中心で販売するというのは、当然消費者にはメリットもあるし、視点がとても新しい。まさに保険の常識を捉え直したわけです。どんな分野でも、視点を変えることによって新しいものを生むことができるのです。

──本のタイトルは、インパクトがありますね。

石田:ありがとうございます。もっと世の中いろいろなタイプの人がいるし、仕事のスタイルも違う。視点を変えて他の良さをみてみようよと。本の中身は「仕事術」としてまとめていますが、究極のメッセージは「視点を変える」「固定観念を変える」というところなんです。

視点とか考え方とか行動を変えることで、今までマイナスだと思っていたしゃべり下手が、違う価値に変換されたり、かえってプラスになったりすることもあります。しゃべりがダメでも、「聞く」「書く」力があるとか。相手をよく観察して「気遣う」というのも立派なコミュニケーションだと思います。ただスキルだけに溺れないほうがいい。商談などで「相手の動作に合わせてお茶を飲みなさい」とか、傾聴の具体的なテクニックはありますが、そこに本当に気持ちがないと、どうしても表面的なものになってしまう。それが相手にも伝わってしまうものです。
気持ちをしっかり込めた上で「しゃべらない技術」を磨いていくと、「しゃべる技術」以上の効果が必ず出ると思います。

『しゃべらない仕事術』 クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

『しゃべらない仕事術』
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

<プロフィール>
石田健一(いしだ・けんいち)
1993年早稲田大学卒業。大手消費財メーカーにて営業で化粧品部門の店舗別売上全国1位を獲得。広告セクションに異動後、主力ブランドのTV・雑誌・ラジオCM制作、コピーライティング、ネーミング開発を担当。総務大臣賞/ACCグランプリ、広告電通賞、フジサンケイグループ広告大賞最優秀賞(すべてラジオ部門)をはじめ、数多くの受賞作品をプロデュース。その後TV、雑誌、Web、PRなどのメディアプランニング業務を担当。2014年に独立。現在は個人を対象にしたパーソナルコーチングと、企業向けの広告宣伝・PRのアドバイザーとして活躍。

<クレジット>
取材・文/ライフネットジャーナル オンライン編集部
撮影/村上悦子