角田:あると思います。結局そう強く思っていると向こうから降ってくるというか、降臨してくるんです。2012年の1月から「オトナの!」という番組がスタートするんですけれど、2011年の11月に番組の企画が決まり、最初はユースケ・サンタマリアさんだけの司会でとやろうと思って、ユースケさんのところに行ったんですよ。そうしたら、受けても良いけれどひとつ条件がある、と。いとうせいこうさんと一緒にやりたいと言われて。せいこうさんは僕、仕事もしたことないし当時そんなに好きじゃなかったんです(笑)。なぜかというと、憧れていたんですね。音楽もやるわ、作家もやるわ、お笑いで舞台も立っちゃうわ、なんですべての良い位置にいるんだよ、という嫉妬に近い感覚です。1月の1週目から放送だったのですが、12月26日か27日くらいに、せいこうさんに初めて会ったんですよ。

成功の神はネガティブな狩人に降臨する――バラエティ的企画術(朝日新聞出版)

成功の神はネガティブな狩人に降臨する――バラエティ的企画術(朝日新聞出版)

──ずいぶんとギリギリですね……。

角田:僕は自称“日本一のやっつけ仕事屋”で、番組は3日あれば作れると思っていますから。会ってみたたら、やっぱりせいこうさんがすごくて一瞬で惚れ込んでしまい、ユースケさんがせいこうさんと一緒にやりたいという理由がわかった。実は、せいこうさんも、15年近く小説を書いていなかったんですが、『想像ラジオ』という本を書いたのも、震災が契機だったんだとご本人もおっしゃっていて。いろいろな要素が奇跡的にうまくはまっていったんです。

■究極のポジティブ思考を支えるのは、ネガティブな考え方

──角田さんのお話をうかがうと、根っからのポジティブ思考な方だと思いますが、書籍のタイトルに「ネガティブ」という言葉があるのが意外です。

角田:僕は周りの人からポジティブだねとか、好きなことをやっていていいね、と言われることが多いですが、本当はすごくネガティブなんです。全然そんなことはないって言われるんですけど。
ただ、後ろ向きかって言われると、超前向き。超前向きで、一番前に立っているわけだから、風がいちばん強く当たるに決まってる。その逆風を感じるからネガティブなことが見えるし、逆風を避けるために色々考えなきゃいけないからネガティブになる。

──先頭にいるがゆえに風当たりが強かったり、色々なリスクを負ったりするから、そのマイナス面をいつも考えて行動するということですね。

角田:そうです。だから僕、「保険ってすごい」と思うんですよ。結局ネガティブなことを考えて、リスクに備える、風をよけるイコール保険じゃないですか。

──当社に話題を合わせて頂いてありがとうございます(笑)

角田:でも、これホントに思っていることで、保険というものを持つことによって、勝負に出られるんだ、人生が豊かになるんだっていうことでいうと、実は保険というものが人類を進化させてきたんじゃないか。それはなぜかというと、ネガティブな狩人というのは、比喩的に言うと保険を持っているということなんじゃないかと。……とまとめていただけると、ライフネット生命さんのメディアに乗せていただくのにぴったりでしょう(笑)。

(後編「これからは知性に響くコンテンツが主流になる。TBSバラエティプロデューサーの狙う未来」)

<プロフィール>
角田陽一郎(かくた・よういちろう)
テレビプロデューサー、脚本家、演出家、映画監督。東京大学文学部西洋史学科卒業、1994年TBSテレビ入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」等バラエティー番組を手がける。バラエティ番組の企画制作をしながら、映画監督やネット動画配信会社GOOMOの設立やスマートフォンアプリ「カテゴリン」の制作、ACC CM FESTIVALのインタラクティブ部門審査員など、新しいメディアビジネスをプロデュース。3つの質問で人間の思考や行動の”型”を分析する人間関係分析学「カテゴライズド」理論発案者。現在、いとうせいこう/ユースケ・サンタマリアMCのトーク番組『オトナの!』放送中。最新の著書に『成功の神はネガティブな狩人に降臨する ─バラエティ的企画術─』(2015年7月 朝日新聞出版)。

<取材/文>
ライフネットジャーナル オンライン編集部