角田:多分あまりいないと思いますよ。他局を含めて。

──具体的にはどのように採算をとるのでしょうか。

角田:大好きなミュージシャンに声をかけて「オトナの!フェス OTONANO-FES!」という音楽&トークライブを打ったり、番組発のネットミニドラマを制作したりして、番組制作費を捻出しています。収録にはスタジオも派手なセットも使わず、飲食店でひたすらしゃべるところを撮る。だから経費も他のテレビ番組のようにはかからないんです。

■これからは知性に響くコンテンツが主流になる

──新しい仕組みということは、内容面でもチャレンジできそうですね。

角田:そうですね。最近テレビCMで「これはCM上の演出です」と字幕が出ることが多いですけど、それは視聴者から突っ込まれないためのリスクヘッジだっていうことは見ている人なら誰でもわかるじゃないですか。いちばん僕が問題だと思うのは、なんでみんな分かっているのに、わざわざ書いているのかと。それがすごく日本的だなと思うんですけど。そんな注意を入れなくたって、これはCM上の演出だって気づく知性が大事だと思うんですよ。

これまでは知識偏重の時代で「これを知っている」とか、「これにアクセスする方法がわかる」という人が有利だったし、大学とかの試験もそういう知識量を測っていたわけじゃないですか。ところが、これからは与えられた問題を解く能力じゃなくて、問題自体を見つける能力=知性が求められると思うんです。要するに、お客さんの知性に響く商品こそ、これから主流になっていくんじゃないかなと思うんですよ。

今までのテレビって、視聴者の知性をバカ丁寧にあつかうことで、本質はバカにしているんですよね。とにかく、わかりやすく、わかりやすく作ろうとか。子どもでもわかるように解説しようとか。それがイヤなので、うちの番組(「オトナの!」)ではナレーションで解説をあまりしないんです。「そのゲストの人がすごい」っていうのをシンプルに出す。例えば、岡村靖幸さんという偉大なミュージシャンを、若いディレクターは知らないんですよ。そうすると、こんなふうにすごい人です、ということをテレビでバカ丁寧に解説しましょう、となる。「バカ、そんなこと言ったら岡村ちゃんに恥ずかしいよ!」みたいな。

岡村ちゃんを知らない人は番組を見るな、ってことじゃないんです。岡村ちゃんがすごいんだ、というオーラだけを番組で伝えれば、それを見て興味を持った人は、検索して「こんなにすごい人なんだ」と知る。そのあとCDを買ってもいいし、ライブに行くのでもいいし、その人のファンになるでもいいし、なんならシカトするでもいいし。

それを判断するのは、視聴者の知性だと思うんですよね。なのに、最初から視聴者には知性がないと思って、「岡村さんはこんなにすごい人なんですよ」というのをテレビ側でバカ丁寧に解説してしまう。それじゃ送り手側の伝えたい思いがぼやけるし、結局そんなことをしていると本来のビジネスだってシュリンクしていくんじゃないかと思うんです。だから、顧客の知性を刺激する商品とか番組とかイベントとかいうコンテンツを、送り手の思いが純粋に伝わるようにどんどん作っていく。その方が多分受け手の側も楽しいじゃないですか。だって作り手だってさまざまなコンテンツを享受する受け手なんですから。

■かっこいいオトナの格言

──「オトナの!」は角田さんの考える「天才」の思考を、丸ごと解説なしで伝えるという、 “知性に響く”番組づくりをされているわけですね。ゲストの方の反応はいかがですか?

角田:ゲストの人たちがただ面白がっているところを番組にしちゃおうとしているんですけど、毎回の収録で、出演者さんが「楽しかったー!」と言って帰っていくんです。他の番組収録ではなかなかないですね。

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