角田:番組の最後にゲストに格言を書いてもらうんです。「オトナとは?」の問いに対する答えなんですが、毎回ゲストの濃いトークを経て出てくる言葉が本当に重みがあって面白いんです。その中で特に好きな格言がふたつあります。ひとつは筒井康隆さんの「大人とは自分より年上の人である」。撮影当時筒井さんは80歳で、自分より年上の人が大人だって言っている。80歳の大作家が、俺はまだまだ子どもだって言ってるんですよ。

もうひとつは、映画監督の園子温さんの「大人とは質より量」。普通、大人は量より質っていうじゃないですか。園監督なんか、もう既にベテランなのに、きた仕事は全部受けるんですよ。なんでも映画にする、と。量をたくさん作っていくと、ひとつくらい良い傑作が生まれるんだと。
かっこいいですよね。

■「0.1%」をねらえば、世界で700万人に支持される

──これから角田さんはどんなコンテンツを作っていきたいですか?

角田:「0.1%」の人にささるコンテンツを作りたいんです。なんでそう思ったかというと、ハイパーメディアクリエーターの高城剛さんの本がきっかけです。本には結構良いことが書かれているのに、世間では、少しうさんくさいイメージに思われている。彼のツイッターbotを読んだんですけど、みんな俺のことを馬鹿にしていて当然なんだと。俺は0.1%の人にしか伝わらない言葉で言っているから、99.9%の人に響くわけがないからしょうがない、ということが書かれていて。

それを見たときに、高城さん、せめて3%とか5%とかにしようよ、0.1%は少なすぎるだろう、と思ったんです。ところが、日本の人口1億3千万人の0.1%って、13万人じゃないですか。ということは、響く人が確実に13万人いれば、本だったら13万部。ベストセラーになれる数なわけですよ。だったら、0.1%で良いんだなと思ったんですよね。

──確かに、そうですね。以前と比べて、0.1%でも13万人もいるわけですし。

角田:その0.1%って、世界70億人でいったら700万人なんですよ。今後も日本という文化や文明が、世界のスタンダードになれるとは僕には思えないんです。しかし、世界の0.1%なら、確実に日本マニアはいると思うんですよ。アニメ好きだとか、日本の文化が好きだとか。その0.1%を確実にとっていくとしたら、700万人ってすごい市場じゃないですか。

昔だったら世界にコンテンツを送り出すの大変でしたけど、それもウェブの進化で格段にやりやすくなっている。究極的には、日本の中で大量に商品(コンテンツ)を作って、大量に宣伝して、その商品が好きか嫌いかよく分からない、海とも山ともわからない700万人に支持されるより、世界の700万人に確実に支持されるコンテンツを作っていく方が楽しいし、絶対みんながハッピーになるんじゃないかって思っているところなんです。

 『成功の神はネガティブな狩人に降臨する〜バラエティ的企画術』(朝日新聞出版)/『オトナの!格言』(河出書房新社)

『成功の神はネガティブな狩人に降臨する〜バラエティ的企画術』(朝日新聞出版)/『オトナの!格言』(河出書房新社)

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<プロフィール>
角田陽一郎(かくた・よういちろう)
テレビプロデューサー、脚本家、演出家、映画監督。東京大学文学部西洋史学科卒業、1994年TBSテレビ入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」等バラエティー番組を手がける。バラエティ番組の企画制作をしながら、映画監督やネット動画配信会社GOOMOの設立やスマートフォンアプリ「カテゴリン」の制作、ACC CM FESTIVALのインタラクティブ部門審査員など、新しいメディアビジネスをプロデュース。3つの質問で人間の思考や行動の”型”を分析する人間関係分析学「カテゴライズド」理論発案者。現在、いとうせいこう/ユースケ・サンタマリアMCのトーク番組『オトナの!』放送中。最新の著書に『成功の神はネガティブな狩人に降臨する ─バラエティ的企画術─』(2015年7月 朝日新聞出版)。

<取材/文/撮影>
ライフネットジャーナル オンライン編集部