16062401_1

人生で最も大きな買い物は、家。その次が保険とも言われており、住宅購入を考えるにあたり、保険(保障内容)の見直し、新規でのご加入検討など、保険のことを切り離しては考えられません。

そこで、不動産コンサルタントの田中歩さんに、家を買いたいと考えている20代後半の共働き夫婦の方からいただいた質問をぶつけてみました。

■夫婦共働き家庭が家を購入する場合には、ローンはどう組む?

銀行はローン金額を決定する際、借りる方の収入を参考にします。夫婦で借りる場合は、夫婦それぞれの収入を合算できるため、ひとりで借りるよりローン金額はより大きくなります。最近の傾向からすると、ローン金額が大きくなる分、住まいの選択肢が広がることから、夫婦で借りるケースが多いようです。

ところで、夫婦の住宅ローンには、「連帯保証型」「連帯債務型」「ペアローン」という3種類があります。

  • 「連帯保証型」は、夫が銀行とローン契約を結びお金を借ります。妻は夫の連帯保証人となる形態です。住まいの所有者は夫単独になります。ローンの支払いができない場合、妻が連帯保証人として返済をしなければならないという契約形態です。
  • 「連帯債務型」は、夫と妻が連帯してローン契約を結びます。夫と妻は互いに連帯債務者(借りる人)となりますので、住まいの所有は夫婦で共有する形になります。
  • 「ペアローン」は、夫と妻がそれぞれ銀行とローン契約を結ぶ形態です。住まいの所有は夫婦共有となります。ローン契約を2つ締結することになるため、その分の諸費用(ローン契約に貼付する印紙代や事務手数料など)がかかります(とはいえ、後述するようにこれを超えるメリットが多いため人気があります)。

ところで、住宅ローンを借りる場合、住宅ローン控除が使えるかどうかが大きなポイントになります。

住宅ローン控除とは、一定の条件を満たす住まいを購入する場合、毎年末のローン残高の1%相当額(ただし最大40万円)が10年間にわたって、所得税住民税から引き算されるというものです。現在の住宅ローン金利は1%を切っているものも多いので、実質的にお金をもらいながらお金を借りることができる状態(まさにマイナス金利)になっています*。
※2016年6月現在の情報を元に説明しています。

住宅ローン控除が夫婦ともに利用ができるのは、「連帯債務型」と「ペアローン」(連帯保証型は主債務者のみ)となりますので、夫婦でローンを組むなら、そのいずれかをまずは検討してみるとよいと思います。

■団体信用生命保険とは? 加入は必須? 誰でも入れる? 夫婦別にローンを組んだ場合、保険の入り方も変わる?

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済途中で死亡、高度障害になった場合、ローンを借りている本人(債務者)に代わって、保険会社がローン債務を肩代わりしてくれる保険です。

ローン返済も加味した生命保険に入っている場合はよいのですが、そうでない場合で団信に入っていないと、万が一の場合、残された遺族がローン返済を継続しなければならなくなりますので、団信は極めて重要な保険と言えます。

一般の金融機関の場合、住宅ローンを借りる場合団信加入が条件となっているところが多いです。保険料は金利に上乗せされているケースが多く、別途保険料を支払うということはありません。

なお、健康上の理由で通常の団信に入れない方もいらっしゃいます。その場合は団信よりも加入条件が緩和された、一般的に「ワイド団信」と呼ばれる保険で加入が可能な場合もあります。メガバンクの多くがワイド団信付きの住宅ローンを取り扱っており、金利上乗せは多少高くなりますが、安心できるので検討してみるとよいと思います。

ところで、先ほどお話した、夫婦ローンの3つのパターンである「連帯保証型」「連帯債務型」「ペアローン」によって団信の入り方、他の生命保険の入り方が少々異なります。

「連帯保証」型の場合、団信は住宅ローンを借りる夫もしくは妻のどちらかが加入できます。夫婦の収入も合算して多額のローンを借りるケースが多いので、例えば、夫が団信に加入し、妻が特段保険に加入せず亡くなった場合、夫ひとりで返済はかなり厳しくなる可能性があります。ですので妻は自分に万が一のことがあったときに住宅ローン返済が滞らない費用を加味して、生命保険に加入しておく必要があります。

「連帯債務」型の場合、一般金融機関のローン商品だと、「連帯保証」型と同じように夫しか団信に加入することができません。ただし、フラット35*の「連帯債務型」を選択している場合、妻も団信に加入することができる「デュエット(夫婦連生団信)」という制度があります。なお、フラット35の団信は、一般の金融機関が金利の上乗せ分が保険料となっているのとは異なり、年に一度保険料(特約料)を支払う仕組みになっています。
*民間金融機関と住宅金融支援機構が提携した長期固定金利住宅ローン

「ペアローン」の場合は、夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りますので、それぞれが団信に加入できます。

なお、ここで考えている保険は、住宅ローンの返済を肩代わりしてもらうためのものですから、住宅ローン以外の住宅経費やその他生活費をカバーするための生命保険や貯蓄は、別途検討しておく必要があると思います。

そのためにも、夫婦の一生の収入と収支をシミュレーションし、バランスのよい資金計画と、その時々に必要な保険を検討することが大切だと思います。

(つづく)

<プロフィール>
田中歩(たなか・あゆみ)
慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱UFJ信託銀行(旧三菱信託銀行)入社。不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事した後、2009年あゆみリアルティーサービスを設立。ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション付住宅売買コンサルティング仲介、不動産相続コンサルティングなど、ユーザー目線のサービスを提供。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会理事、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、国家資格1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

ライフネット生命保険プランナーからのワンポイントアドバイス
●住宅ローン支払者の方におすすめな保険は?


住宅ローンをお持ちの方は「団信」に加入されているケースが多いので、ローンの支払者の方に万一のことがあっても、その後のローン返済は清算されます。
問題は、住宅ローン支払者が病気や怪我を理由に長期間働けなくなった場合です。この場合、団信は保険適用の対象外になります。この状態が長期間続くと、収入が減る一方で、住宅ローンの支払はもちろん、日々の生活費の出費は変わらず出て行きます。

こうしたケースに備えるために、「就業不能保険」がおすすめです。これは、病気やケガで働けなくなったときに生活費をサポートしてくれる保険です。ライフネット生命保険の場合、10万円から50万円まで、5万円単位で設定することができます。金額は、現在の年収や住宅ローン支払額を目安とするのがよいでしょう。

詳しくはこちら>>をごらんください。