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僕たちは今の社会の中で、毎日「常識のシャワー」を浴びて生きています。
そのため、「自分のアタマでよく考えて、常識を疑うことが全ての出発点だ」ということをアタマで理解はしていても、日常の仕事や生活の中ではついつい忙しさに負けてしまって、自分のアタマでモノゴトを考えることを放棄してしまっています。例えば、「日本人は勤勉だ」「日本人は愛社精神が高い」「日本人は正直だ」などと端から信じてしまっているように。

しかし、数字やファクトが語る日本の実像は、僕たちの思い込み(常識)からはかなり隔たったもので、僕たちはそのことを直視しなければなりません。労働生産性は世界で見た場合22位(2014)で、20年連続してG7の中では最下位。これで「日本人は勤勉だ」と言えるでしょうか。

また、エデルマン・トラストバロメーターの調査(2016)によると、「自分が働いている職場に対する信頼度」は日本が40%で、これは28カ国中最下位です。(グローバル平均は65%、GDPトップ5であるアメリカは64%、中国79%、ドイツ62%、英国57%)。日本は、面従腹背が多いと理解すべきなのでしょうか。

「経営層に求められる資質」については、北米では「正直である」ことが59%、欧州では53%を占めそれぞれトップを占めているのに対して、日本では「正直である」ことはわずか26%で5位となっています。僕は昔から、リーダーの資質として一番大切なことは「正直である」ことだとずっと思ってきたので、エデルマンの調査結果はとてもショックでした。人間は同じホモ・サピエンスであるのに、欧米と日本ではどうしてダブルスコア以上も違うのでしょう。

ふと気がついたのは、「情報公開の差」によるのではないかということです。
情報公開が徹底された社会では、正直でなければすぐに整合性がとれなくなって答えに窮してしまう。逆に情報公開が不十分な社会だと、「わからないから大丈夫」「少しは良く見せたい」などといった負のインセンティブが働きやすくなるのではないでしょうか。

ライフネット生命では、「正直に、わかりやすく、安くて、便利に」というマニフェストに則り、開業時から情報公開にこだわって経営をしてきたつもりですが、情報公開を徹底しているのも以上のような考えに基づきます。

■ライフネット生命における情報公開の一例

約款(商品の内容)のウェブサイト掲載
保険料表(商品の値段)の開示
保険料の内訳(生命保険事業の運営経費にあたる付加保険料)開示
代理店手数料率の開示
毎月の業績開示
採用基準の公開

生命保険は、人生で2番目に大きな買い物と言われています。そのような大きな買い物を検討されているお客さまには、売り手である保険会社と買い手であるお客さまの間での情報の非対称を少なくし、お客さまが生命保険を選ぶ際の判断材料を多く提供することがとても大切です。一緒に働いてもらう仲間を募集するには、僕たちがどのような方法で採用を実施し、どのような思いで、どのような人を必要としているのかをオープンにしなければなりません。都合の良いことも、悪いこともです。

正直であるということは、情報公開するということ。
これからもライフネット生命は、常識のシャワーに捉われず、どこよりも正直な生命保険会社を役職員一同で目指していきます。

これからも、ライフネット生命を、どうかよろしくお願い申し上げます。