入院をして治療費などのお金が必要になったり、家族が亡くなって家計の収入が大きく減ってしまったり、そんな万が一の時に備えて加入しておくのが保険です。しかし、入院給付金や死亡保険金の受け取り時に税金がかかるのかどうか、知らない人が実は多いのではないでしょうか。今回は、受け取り時に困らないために知っておきたい、税金と生命保険の関係についてお話しします。

※この記事は、2022年8月に内容を更新して再掲しています。

■医療保険の入院給付金などには税金がかかりません

入院給付金や、手術を受けた際に受け取る手術給付金、がん保険の給付金などには、税金はかかりません。「不慮の事故や疾病などにより受けとれる給付金は非課税」ということが法令(所得税法施行令第30条第1号)で決まっています。

しかし、死亡保険の保険金には、税金がかかるので注意が必要です。

■死亡保険は契約形態によってかかる税金が変わります

家計を支えている人に万が一のことがあると、入ってくるお金が減るので、それまでの家計収支のバランスが崩れてしまいます。残された家族が安心して暮らしていけるためのお金を用意するのが、死亡保険の役割です。

死亡保険金は残された家族の生活保障という大切な役割があるため、相続人(特に配偶者)が死亡保険金を受け取る場合の税負担は小さくおさえられるようになっています。

死亡保険の場合、契約者、被保険者、受取人がどういう関係にあるかで、死亡保険金にかかる税額が大きく変わりますので、事前に契約形態はしっかり確認しましょう。

生命保険の基礎を確認しましょう

*契約者
 生命保険会社と保険の契約を結び保険料を負担する人
*被保険者
 その人の生死・ケガ・病気などが保険の対象となっている人
 ( 死亡保険であれば、被保険者が亡くなった場合に死亡保険金が支払われます)
*受取人
 保険金や給付金を受け取る人

下表は死亡保険を受け取る際の、契約者、被保険者、受取人の関係で対象となる税金が異なることを説明したものです。ケース1や2のように、保険金にかかる税金が相続税の場合に対し、ケース3や4のように税金の種類が所得税や贈与税になる場合は、保険金額にかかる税金も高額となる可能性もありますので注意が必要です。

  契約者 被保険者 受取人 税金の種類 ポイント
ケース1 相続税 相続税には非課税金額や各種控除があります。遺産総額が基礎控除額の範囲内であれば相続税はかかりません。
ケース2
ケース3 所得税 契約者と受取人が同一人物のケースでは所得税が課税されます。
ケース4 贈与税 契約者が生存している場合、受取人の子に贈与税が課税されます。

※グレー=亡くなった人
※個別の税務については税理士等の専門家にご確認・ご相談ください
※所得税の課税対象になるときは、住民税の課税対象にもなります。

なお、同性パートナーを受取人としている場合、2022年8月現在の制度では、法律婚の配偶者などの法定相続人とは税金に関する取扱いが異なる場合があります。個別のケースについては、税理士など専門家へご相談ください。


ちょっと難しい話ではありますが、この機会に、ご自分やご家族の保険について、もう一度確認してみてはいかがでしょうか。

そのほか、保険についての気になる点や疑問点などには、こちらの解説>>をご覧いただけます。

<クレジット>
文/ライフネットジャーナル編集部