保険に加入するとき、保険金額や給付金額などいろいろ考えると思いますが、いざその保険がおりたときのお金の使い方について、考えたことはありますか? 特に死亡保険の場合、ご家族が急に大金を手にして、どのくらいをどのように使っていけばよいか配分がよくわからない、という声もお聞きします。

では、医療保険やがん保険のような、病気やケガになった際に受け取る給付金や、死亡保険のように亡くなったときに受け取る保険金、それぞれの使い道を考える際に注意しておきたいことについて、考えてみましょう。

■医療保険やがん保険の場合は?

まずは「そもそもなぜその保険に入ったのか」を思い出してみましょう。保険はもともと、万が一のときの経済的リスクに備えるためのものです。

医療保険の入院給付金は入院日数かけるいくら、という形なので、まとまった大金が入ってくるケースは少なく、数万円〜十数万円程度のケースがほとんどです(がん診断一時金のように一括で受け取る場合もあります)。

医療保険やがん保険の場合、目先の支払いが見えていたり、先に医療費などを支払ってから給付を受けるケースが多いので、入ったお金をお小遣いと思う人は少ないと思いますが、保険金や給付金を受け取る状態になったということは、既に病気などで何かしらお金の損失が出ていたり、これから出たりする可能性がある状態のはずです。

治療やその他の費用があまりかからず、給付金の方がかかった治療費より多かった場合でも、「その後も治療が続くのか」「再発リスクが高いのか」という点をふまえ、今後の治療に備えることも考えた方が良いでしょう。もちろん「がんばった自分へのご褒美」といった使い方も、生きる力につながると思いますが、その先への備えとのバランスを大事に考えましょう。

■死亡保険の場合は?

一方、ご家族が亡くなった場合、ある程度まとまった額が保険金として入ることになります。仮に保険金が2,000万円入って安心しても、毎月20万円の生活費として取り崩せば8年ちょっとで底をついてしまいますので、特にお子さまが小さいうちは注意が必要です。

一番理想的なのは、そもそもなぜその金額を設定して残そうと思ったのか、どういう意図で使って欲しいと思っているのか(住居費、生活費、子どもの教育費など)、受け取ったときにそれで足りるのか・・・など、ご家族が元気なうちに共有しておくことです。

一度に大金を受け取るのが心配な方には、死亡保険金を年金のように「月々いくら」という形で分割して受け取れるタイプの保険を扱っている会社もあります。 いずれにしても、保険金・給付金は、受け取った本来の目的を冷静になって考えることが大切です。

ちなみに、保険金・給付金にかかる税金について、医療保険・がん保険など契約者が生存している際に支払われる医療を伴うタイプの給付金には、基本的にかかることはありません。死亡保険の保険金は、契約者・被保険者・受取人の関係性によって、税金のかかり方が変わってきます。夫が契約者かつ被保険者で、受取人が妻の場合は、相続税の対象となり、受取った保険金から、500万円×法定相続人数分が控除されます。 詳しくはこちらをご参照ください。

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文/ライフネットジャーナル オンライン編集部