(写真はイメージです)

だれでも子どもが生まれれば母親になれるかというと、実際は違います。複雑な生い立ちであったり、男性とのトラブルを抱え若くして出産したり、お母さん自身が悩みや問題を抱えていることもあるでしょう。

この世に生まれてくるすべての子どもには、親から愛情を注がれてなんの不自由もなく育ってほしいものですが、自分のことでいっぱいいっぱいの母親の影響を受けることはなかなか避けられません。それがまた、母親を苦しめることにもなるのです。

若者を支援するNPO法人PIECESで、そんな若いお母さんたちの悩みを少しでも受け止めようと「もえかん家」というプロジェクトを実践する塚原萌香さんにお話をうかがいました。

当記事はFMラジオJ-WAVE「JK RADIO TOKYO UNITED」の番組で、世の中をもっと楽しく、グッドにするためのアクションを紹介する『COME TOGETHER』より許可を得て加筆転載しています

■「もえかん家(ち)」とは?

10代、20代のママが集まる場を作りたいと考えて始めたプロジェクトで、お母さんや家族を支援する活動を古民家やコミュニティースペースを借りて行っています。中絶経験があったり、虐待にあったりなど、さまざまな背景をもった母親が集まっています。

彼女たちは、妊娠相談のホットラインや、社会的に孤立した子どものための団体であるPIECES通して、このプロジェクトに参加するようになりました。

活動の一環として、ニーズに合わせて個人と支援団体との橋渡しをすることもあります。また地域の方と一緒にご飯を作ったり、お母さんたちが描いたイラストを使ってグッズを作ったりする活動も進めています。

■そもそものキッカケは?

自分の原体験や仕事での経験です。
両親は私が小学生のころ離婚し、父が私たち3姉妹を育てくれました。周りのサポートに頼らず子育てをしていた父は、アルコール中毒になりかけたり、失業も経験しました。必ずとは言えませんが、そんな親の精神状態はある程度子どもにも影響を与えうると私は思っています。

大学時代には児童養護施設でアルバイトをし、どんな背景があっても親と一緒に暮らしたいと思っている子どもたちを間近で見た経験もあって、親子関係に興味を持ち保育士になりました。働きながら「もっと子どもたちの親とかかわりたい、親に寄り添いたい」と、その方法を模索しているところでPIECESに出会い、もえかん家という場作りを始めたのです。

コミュニティユースワーカーとして活動する塚原萌香さん

■母親たちと交流して、どのような悩みを感じましたか?

ある女性は、高校在学時に妊娠し中退せざるを得ませんでした。子育てもあるため、正規の職員として働きづらく、アルバイト先から不当に解雇された経験もあります。そういった仕事の悩みのほかに、学生生活を楽しんでいる同年代の友達と疎遠になり、年が近い人たちと親しい関係になりづらいことも彼女たちの悩みとして挙げられます。

■もえかん家に集まるお母さんたちからは、どのような感想が届いていますか?

ある人は虐待されて家出し、子どもが産まれてからその父である男性の実家で暮らしています。男性とはもう縁が切れているにもかかわらず、自分の家には帰れないので、そのまま住まわせてもらっている状態です。引きこもりがちなタイプだった彼女ですが、現在は古民家に来て地域の方と交流することが増えてきました。私のことも、気を使わず自然に会える存在と言ってくれます。

■今後、どのような場所として展開していきたいと考えていますか

地域や行政に「もえかん家」のことを認知してもらい、一人でも多くの10代・20代のシングルマザーや、ほかのお母さんたちともつながりたいと思っています。母親たち一人ひとりの希望や状況に合わせたオーダーメイドのかかわり、つなげ方ができたらと考えているのです。そして、血は繋がっていなくても親戚のような人が増えていったらいいなと思いますね。

■もえかん家を利用したい、応援したい、という場合の問い合わせ先を教えてください

NPO法人PIECESのウェブサイトから問い合わせください。また、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で寄付を募っていますので、ぜひアクセスをお願いします。

 

塚原さんがコミュニティユースワーカーとして活動し、もえかん家を運営する団体PIECESについて、また活動の支援については、ウェブサイトをぜひご覧ください。

<インフォメーション>
NPO法人PIECES
●http://www.pieces.tokyo/
【PIECES PROJECT】10代ママが自分らしくいきいきと生きられる社会へ
https://camp-fire.jp/projects/view/21597