(写真はイメージです)

みなさんは難病に指定されているALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気を聞いたことはあるでしょうか。

もっと多くの人に知ってもらうため、ALS/MND国際同盟(International Alliance of ALS/MND Associations)が中心になり、ALSに関する問題に取り組む各国の団体が参加する「世界ALSデー」という日があります(6月21日)。

それらの団体の一つとしてALS患者、家族の支援に取り組む特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会事務局長の川口有美子さんにお話をうかがいました。

当記事はFMラジオJ-WAVE「JK RADIO TOKYO UNITED」の番組で、世の中をもっと楽しく、グッドにするためのアクションを紹介する『COME TOGETHER』より許可を得て加筆転載しています

■さくら会の取り組みとは?

重度障害者の支援が主な取り組みです。介護職員などが研修を受けて喀痰(かくたん)吸引を実施できるようにする制度の整備や、尊厳死法案、成年後見制度に対して意見を述べることなど、これまでさまざまな政策提言もしています。支援活動は、1990年代に理事長が、各地のALS患者さんを訪問していたことに始まりました。その後2004年に特定非営利活動法人「ALS/MNDサポートセンターさくら会」を設立しています。

私の母もALS患者で、療養について橋本代表に相談していたことがきっかけで、私もこの活動を手伝うようになりました。

事務局長の川口有美子さん

■ALSという病気について、あらためて教えてください

運動神経細胞が侵されて短期間に全身性障害になる脳の病気です。太古から記録にある病気と言われていて、発症率は10万人に2~6人、病気の現れ方は多様で、患者さんが初期症状を自覚してから、医師の診断を経て病名が確定するまでに長い時間がかかることもある難病です。次第に四肢麻痺になり、ろれつが回らなくなり、呼吸ができなくなります。また嚥下障害により食事や水分が取れなくなるので、胃ろうが必要です。さらに呼吸器も必要で、これらの処置を施さないと発症から数年で死に至ります。

障害者の公的介護サービスをうまく利用すれば、家族にさほど負担をかけずに患者さん自身の意向にそった生活ができますので、単身独居で仕事を続けている方々もいます。しかし、サービスの提供や支援者の意識に地域間格差があり、サービスを利用ができないケースがあるという問題があります。

■ALSの患者数は?

国際同盟によると、世界中で毎年およそ14万人が新たに罹患しているので、1日384人が発症していることになります。 日本にはおよそ1万人の患者がいます。

■現代の医療では、ALSの完治は難しいのでしょうか?

今のところ、完治する方法はまだ見つかっていませんが、iPS細胞の発見によって創薬ができ、既存薬の中にもALSに効く薬がどんどん見つかっています。画期的な研究結果も毎年発表されているので、あと少しというところだと考えています。

15年前は、あと100年経っても薬はできないと言われましたが、2017年のボストンでの国際シンポジウムのセッションでは、あと10年で薬が開発できるだろうという話も聞かれました。望みが出てきていると思います。

■ALS患者の皆さんやご家族の方々に対して、どのような支援をしていますか

現在は、機械を利用して長く豊かに生きることができるので、生活の質を向上させるような支援を行っています。介護制度の普及に努め、ヘルパーさんたちの医療的ケアの研修を実施していますし、新たに発症した人や家族の相談も受け付けています。

全世界に目を向けて考えても、支援制度や意識には地域格差があるので、その格差を解消するためにグローバルな活動に取り組んでいます。

■川口さんは、活動を通して訴えたいことはありますか

ALSは、昔ほど怖い病気ではなくなってきたので、前向きに治療に取り組んでほしいと思っています。そのためのノウハウは学ばないといけないのですが、多くの団体が講習会を開催しているので、ぜひ参加してください。

近い将来、治療薬は必ずできます。そうするとまた別の問題、例えば治療を受けられる人とそうでない人がいるなどという問題が出てくるかもしれませんが、そういう問題にも対応していきたいと思っています。

さくら会は、厚生労働省との共同研究も実施し、政策にコミットしてきました。今後も実践と研究とを併行させて活動していきます。次世代の支援者の育成は、患者さんと家族を対象にした勉強会とあわせて進めていこうと考えています。

ALS患者さんと家族に対する支援制度についての情報や、介護研修について、また研究の状況と結果などの詳細は、ウェブサイトをぜひご覧ください。患者さんやご家族の生の声も掲載しています。

<インフォメーション>
特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンター さくら会
●http://sakura-kai.net/pon/