(FISHBOYさん [ダンサー・振付家]) 

「ダンサーという職業にコンプレックスがあったんです。汚そうとかお金がなさそうとか、マナーが悪そうとか思われている。ダンサーに対する世間のそうしたイメージを少しでも変えたいなと思ったのが、“大人にもダンスをしてもらいたい”と思った理由です。全国民が踊れる世界を目指したいんです」

世界大会を制した実力派のプロダンサー・FISHBOYさんが、ライフネット生命の社員にダンスを教えてくれる。そんなウソのような夢のような機会に恵まれた平成最後の年の瀬に、20代から60代の社員が90分のレッスンで『PERFECT HUMAN』を踊れるようになるという奇跡を目の当たりにしました。

しかも、ただ動きを教えてくれるだけではなく、普段の仕事に生かせそうなアドバイスもたくさん添えての丁寧なレクチャーに大感激。チームビルディングに必要な一体感を醸成したいなら、FISHBOYさんのダンスレッスンが何よりの解決策かも!? 

では、そのスペシャル・レッスンの様子をのぞいてみましょう!

■レッスン開始、恥ずかしさも遠慮もいつの間にかどこかへ

「ダンスが必修科目ではない世代は、ダンスをすることなく一生を終えるのかもしれないですよね。でも、社会を動かしているのはその世代の人たちなんです。なので、ダンスに触れてダンスの素晴らしさを実感してほしい。

ダンスの素晴らしさを表す3つのキーワードがあります。

1つは『健康』。自分の体と向きあうことができます。ダンスは鏡を使って踊る、鏡を見ずに踊るの繰り返し。自分は今どういうポーズをしているのか、どういう動きをしているのかを毎回レビューできるんですね。つまり、自分の体の操作性を高めることができます。操作性を意識すると体のふるまいも変わってくるし、認知症予防にもなるという研究もあります。

2つ目は『コミュニケーション』です。

チェコの山奥でダンスキャンプ(キャンプを通して色んな国のダンサーが集まり、教えあったり競ったりするイベント)が催された際、ロシア人の美女と笑顔でサルサを踊る機会があり、ダンスっていいなと思いました(笑)。ダンスってまさに非言語コミュニケーションなんですよね。人種や国の違いを超えてコミュニケーションができるんです。海外で言葉が通じなくても、ちょっと踊れるよというところを見せると『お、あいつ踊れるのか』『俺もこんな感じで踊れるよ』と心を開いてくれる。

3つ目は『エンターテイメント』。僕は歌が下手なんですけど、そんな人でもカラオケに行ったときに踊れば存在価値が高まります。営業のお仕事をされている方なんかにおすすめです。カラオケに行って踊りましょう!」

基本のボックスステップから始まったレッスン。ダンス経験者もまったくの初心者も入り混じってのレッスンとなりましたが、不思議と、経験の差は気にならず。リズム感の無さもご愛嬌ということで、一人ひとりが徐々に自分の体の動きに集中していきます。まさに体の“操作性”を意識している時間。

「常日頃、自分がどう見られているのかを意識することで、確実に運動量が変わってきます。ひいては生活自体も変わります。たとえばペットボトルを取るというシンプルな動作一つとっても変化してくるんです。それくらい、“操作性”に意識を向けることに意味があるということですね」

レッスンは徐々に、2人組、4〜5人、10人と、一緒に動く人数を増やしたプログラムに進んでいきます。

普段はあまり接点のない社員同士が、『マスターピース』や(あいさつのときに握手替わりに行う動き)、『カノン』(同じ動きを一人ずつカウントをずらして行うこと。2カウントずつずらすことをフォローザリーダーともいう)というメソッドを実践しながらチームの動きを完成させる様子は、まさにチームビルディングを体で視覚化しているようです。

「最初は、保険会社の社員さんたちなので堅い人たちなのかなと想像していましたが、思った以上に踊れるなあというのが印象です。ダンスを体験してくれた人たちのその後を想像するとうれしくなりますよね。

お子さんがいらっしゃる人は帰ったらたぶん『ランニングマン』の動きをお子さんに見せるんだろうなとか、『マスターピース』で組んだ相手なら、部署が違っていても、オフィスですれ違った時に『おぉ、あの時の』と一瞬で通じ合うとか」

■シェアという今の時代がチャンスだと思っている

「ダンスというのは『見える言葉』なんですよね。言葉で言うよりダイレクトに感情が伝わるし、楽しさや喜びを共有できる、それがダンスの素晴らしさ。もちろん、汗をかくコミュニケーションスポーツという面もあります。

ストリートで即興で踊りあっている海外の映像を見たことはありませんか? あれって、“自分は今こう感じているよ”というほとばしる感情を表現して、その場にいる人たちとシェアしているんですよね。僕は、日本にもそういう素地はあると思うんです。

盆踊りってあるじゃないですか。西洋のバレエは観客に見せるための踊り。アフリカンダンスは音楽を表現している、いわば自己表現のための踊り。盆踊りはすごく変わっていて、踊っているときに前の人の【背中】を見ているんですよね。そして、輪っかになって踊り続ける……“一人なんだけど全員”という踊り。その空間、その時間をシェアしあっているという踊り。

だから、きっと何かのきっかけがあれば、踊りで感情をシェアするというのは日本の社会でも難しいことではなくなると思うんです。

僕らのちょっと前の世代はテレビでドラマを見て、学校であのドラマ良かったよね、と感想を言葉でシェアしていましたが、今はTikTokの音に合わせて映像を撮って、感想をシェアをしている時代。教育の現場でもそう。昔は、教師と生徒は『教える・教わる』という関係でしたが、今は教師と生徒が時間や経験をシェアする、という感覚の方が時代に合っ
ている。僕はこの『シェアする』という時代がダンスを広げるチャンスだと思って動いています。

世の中すべての人に踊ってほしいという思いは24歳のときから。実際に行動に移せたのは30を超えてからです。23歳のときにダンスの世界大会で優勝しましたが、世界大会で優勝をしたら何か変わるかなと思ったけど、自分が期待していたほどには世間からの見られ方は変わらなかった。それで気づいたんです。

僕が望むダンサーコンプレックスの無い“みんなが踊る社会”にするには、ダンスのことをみんなに知ってもらう、みんなとシェアすることが大事なんだ、それが僕の人生のミッションなんだと。

企業向けのこうしたダンス研修の機会も、これからどんどん増やしたいと思います。たとえば、大事な会議があるならまず1時間ダンスをしてから会議とか。

アメリカでは、午前と午後の間に運動やダンスをして汗をかいてから次の仕事というのは取り入れられていますよね。ダンスをして汗をかくことで体内のテストステロンの値が上がり、判断力も向上すると言われています。ぜひ、今日の体験を仕事に生かしてもらえたらうれしいです」

動画もぜひご覧ください!

 


<プロフィール>
FISHBOY(フィッシュボーイ)
1985年生まれ、大阪府出身。2009年、毎年パリで開催されるダンスバトルの世界大会『JUSTE DEBOUT』でも優勝。明るい性格で、人を和ませる自然な魅力と誰とでも仲良くなれる特技を併せ持ち、踊るときのクールな印象と普段の表情とのギャップでファンを魅了している。日本人ダンサーで初めて「アディダスオリジナルス」からスポンサード契約を受けた実績も持つ。お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦氏の実弟であり、オリエンタルラジオの二人とユニットを組んだ6人編成のダンス&ボーカルグループRADIOFISHとしても活躍中。
https://www.watanabepro.co.jp/mypage/60000018/より
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