こんにちは、保険計理人の石垣です。

3年前から縁あって飯綱高原のリンゴ農家のお手伝いをしています。2泊3日で年4~5回手伝いに行ってます。ボランティアですから、滞在中の食事と宿泊は農家さんのお世話になる他は自前が基本です。東京から飯綱高原までの交通費は心身のリフレッシュのためのコストと考えています。

緑豊かな高原で爽やかな空気を吸いながら、太陽のもと体を動かして働く姿を想像してみてください。ほんの3日間だけですが良いリクリエーションなのです。

1年の最初の手伝いは雪が解けた3月下旬です。農家さんは冬の間に剪定をします。徒長枝(とちょうし)を落とし木の姿を整えるもので、リンゴのできを左右するとても重要な作業です。落とした徒長枝は雪に埋もれ、雪解けと共にリンゴ畑一面を覆って現れます。これを片付けるのが一苦労なのです。

屈んで枝を拾い集めると腰が痛くなるので四つ這いでかき集めます。なかなか大変な作業で、枝拾いの手伝いは本当に喜ばれます。

6月下旬に摘果の手伝いをします。リンゴは1つの花房に5~6個の花が咲いて、この時期になるとピンポン玉くらいの大きさの実になります。リンゴを大きく育てるために各花房に1つ、基本的には中心にある実を残し間引きます。これを摘果と書いて農家さんは「てっか」と言います。なお、花のうちに間引くのは摘花で「てきばな」と言います。

実を無理に引っ張ると花房を傷めるので、軸を逆方向に押し付けるようにして枝との接合部からはがします。花房の中を間引いても、花房自体が混み合っていて成長を阻害し、また大きくなった実が互いにぶつかって傷つくことがあるので更に間引く必要があります。仕上げ摘果というそうですが、収穫に直結するので手伝いの私は手出ししません。

10月中旬、サンふじの葉摘みと玉まわしをします。写真の木は葉摘みをしていません。葉の影になっているところは白いままです。葉を摘み取ることで日当たりを良くし、玉をまわして枝や葉の影になっていた部分にも日が当たるようにします。葉は生えている方向と逆に押すと枝との接合面からきれいにはがれます。

季節的に落葉の準備をしているので簡単にはがれます。葉をはがすときプチプチと小気味良い音がして作業に没頭できます。

サンふじの収穫は寒さが本格的になってからで、私は11月下旬に手伝いに行ってます。枝とリンゴの間にある軸を取らないように気をつけて収穫します。リンゴの絵を思い浮かべてください。必ずリンゴに軸がついているはずです。軸のない実はリンゴとしての商品価値がないとのことで、軸が実から外れないようにはさみを軸と枝の接合部に当てて丹念に切り取ります。

また、実のすぐ横に来年の蕾がついています。この蕾を傷つけないように丁寧に作業します。飯綱高原では雪が舞う時期です。とても寒いですが寒さに晒されたサンふじは完熟していてとてもおいしいです。

最後に出荷の手伝いです。お客さまに送るリンゴの選別は農家さんの仕事で私が手伝うことはありません。私の仕事はダンボール箱を組立てたり、1つ20キロのコンテナを運んだりと雑用をこなします。農家さんは選果と箱詰めに集中できるので雑用をこなすだけでも助かるとのことです。出荷の作業場で面白いものを見つけました。

リンゴに光を当てて蜜が入っているか調べる機械です。機械といってもリンゴを乗せるとスイッチが入るライトです。蜜が入っていると光がリンゴの中を透過して光ります。家でも強めのライトと手拭があれば蜜を確認できます。手拭をリンゴに巻きつけ光が漏れないようにしてリンゴの尻にライトを当てます。蜜が入っていればリンゴが光ります。明るいところでは見えにくいので明かりを遮った部屋の中で試してみてください。

なお、蜜は甘くないそうです。リンゴの中が糖で飽和状態になると、葉から送られてくる甘味成分(ソルビトール)はそのままリンゴに蓄えられます。そのソルビトールが蜜の正体です。蜜が入っているということはリンゴが飽和状態まで糖で満たされて完熟しているということを示しています。また、蜜はふじ系やデリシャス系に多いようですが、全ての品種に蜜が入るわけではないとのことです。