母子または父子だけで生活をする家庭のことを「ひとり親家庭、または、ひとり親世帯」といいます。離婚や未婚に関わらず、その数は少しずつ増え、また、貧しい暮らしをしている人が多いのも事実です。

▼グラフの「④」がひとり親と未婚の子どものみの世帯──じんわりと増えています

【世帯構造別にみた世帯数の構成割合の年次推移】

(単位:%)①単独世帯、②夫婦のみの世帯、③夫婦と未婚の子のみの世帯、④ひとり親と未婚の子のみの世帯、⑤三世代世帯、⑥その他の世帯、⑦核家族世帯

▼母子世帯の平均所得はずっと低いままです

【各種世帯別にみた1世帯当たり平均所得金額の年次推移】

▼貯蓄がない(できない)母子世帯はめずらしくありません

【各種世帯別にみた貯蓄の有無──貯蓄額階級別世帯数の構成割合】

注:貯蓄については、平成28年6月末日の現在高である

以上 政府統計「平成30年グラフでみる世帯の状況―国民生活基礎調査(平成28年)の結果から―」より

こうした、いわば「生活が苦しい」状態のひとり親家庭に対して、国や自治体はさまざまな助成制度を用意しています。子育て・生活支援、就業支援、経済的支援等々、子どもを育てる親を支援することは、すなわち、子供を貧困から救うことにもなるため、ひとり親家庭になったからといって路頭に迷わずともすむ支援を国や自治体も用意しているのですね。

しかし、実際にどのような支援や助成制度があるのかをしっかりと理解しているひとり親家庭は非常に少ないのが現実です。こういった社会保障は、ともすると「難しい」と敬遠されがちですし、残念なことに学校等で誰かが教えてくれるわけでもありません。でも、今はインターネットがあれば情報にたどりつける時代でもあります。

ひとり親になってしまった、これからひとり親になるかもしれない、ひとり親をあえて選択した……どのような理由でも良いのです。まずは、ひとり親でも生きていける、自立していける世の中であることを知り、必ず「情報はある・支援はある・どうにかできる」という希望と覚悟をもちましょう。

今回から何回かにわけて、ひとり親のための支援や制度等をご紹介していきます。

■ひとり親になったら、まずはお住まいの自治体に相談を

ひとり親になった場合に、まず対処すべきなのが生活と子供にかかるお金のことです。すぐに仕事が見つかればいいですが、そうもいかないのが現実。子供が小さければ小さいほど、育児と就労の両輪を回すのは難しいことも多いでしょう。そのため、まずは自分の住んでいる自治体にどういった支援制度があるのかを聞きましょう。

たとえば「○○市 ひとり親」のように、住んでいる地域名と「ひとり親」という言葉を組み合わせてネットで検索すると、どこに相談に行けばよいのか見つけやすいですよ。

■支援・助成制度は大きな味方、自立のためにも活用を

就労状況や所得額、住まいの状況等で使える制度は異なりますが、ざっと挙げるだけでも以下のようなものがあります。

  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 児童育成手当
  • 特別児童扶養手当
  • ひとり親家庭の住宅手当
  • ひとり親家庭医療費助成制度
  • ひとり親自立支援給付金
  • 生活保護
  • 遺族年金(死別の場合)

などなど

*児童手当については、ひとり親家庭でなくとも受け取れます。

また、所得税や住民税が減免されたり、国民年金や国民健康保険の免除、交通機関の割引や上下水道代の免除、非課税世帯ならば保育料金が免除・減額されたりという場合もあります。

これらをすべて個人で把握するのは難しいですよね。自治体の窓口や「ひとり親家庭福祉協議会」のようなエキスパートに少しでも早く相談しましょう。

■ひとり親の医療費をサポートする「マル親」

今回焦点をあてるのはひとり親家庭等医療費助成制度、通称「マル親」です。お住まいの自治体窓口に申請し、所得や生活保護の有無などの条件を満たして適用された場合に利用できるものです。

マル親が適用されると、通常は3割負担である医療費が1割負担となり、また、ひと月あたりの負担上限額は、通院の場合は14,000円、入院の場合でも57,600円です。さらに、住民税非課税の家庭ならば、医療費はすべて無料になります。

▼東京都の場合(東京都福祉保健局のウェブサイトより)

※1 計算期間(毎年8月1日から翌年7月31日まで)において、月の外来療養に係るマル親自己負担額の合計が144,000円を超えた場合、超えた分を高額医療費として助成

※2 世帯合算後(通院含む)の上限額
※3 過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」となり、上限額が44,400円になる

万一入院しても、上限が抑えられますので安心です。なお、この制度は「親」も「子」も対象になります。

*所得制限が設けられているなど、条件がありますから、詳しくはお住まいの自治体へ。

子どもが生まれると、乳幼児医療費助成が適用され、子どもが一定の年齢になるまでは無料で医療を受けられることが多いため、子供の医療費助成制度は割と知られていますが、親も対象になるひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)の認知度はそこまで高くありません。

ご自身がひとり親でなくても、もし、親族や友人にひとり親として子育てをしている人がいたら、ぜひ、自治体に相談に行くこと、そして、マル親のような助成制度があることを伝えてあげてください。

次回は、こうした医療費助成制度があるという前提で、ひとり親家庭の場合における、民間の生命保険や医療保険をどう考えたら良いのかをご案内します。

<クレジット>
文/ライフネットジャーナル オンライン 編集部