「小1の壁」とは何か、ご存じですか? 実はいま、小学校入学直後の子どもがいる親の約25%*が、この「小1の壁」が原因で退職や転職を経験しており、大きな問題となっています。「子どもの長期休みにどのように備えるべき?」「パートタイマーになるしかない?」など、多くの親が悩みを抱えている「小1の壁」の実態や、学童保育・時短勤務など子育てと仕事の両立についてのアンケート結果をご紹介します。

*回答者: 小学校に通う子どもを持つ 18-48才の291名(男性21名、女性270名)より

この記事は、スリール株式会社より許可を得て、同社の「小1の壁アンケート(2018年実施)」のデータを元に構成しています。

■「小1の壁」とは?

「小1の壁」とは、保育園時代よりも小学校入学後の方が、仕事と子育ての両立がしづらくなることを指します。共働きなどにより放課後保護者が家庭にいない小学生が通う「学童保育」は、保育園よりも運営時間が短いことが多く、さらに、夏休みなどの長期休みにはお弁当を持参しなければいけない、など、親の負担は大きくなりがちです。また、小学校では宿題や親の参加が必要な行事など、フォローが必要な場面も多くなりますが、その一方で、小学校入学後は時間短縮勤務が適用されなくなるケースが多く、仕事との両立が難しくなってしまう、という現状があるのです。

女性の仕事と子育ての両立を応援する事業を展開しているスリール株式会社は、保育園児・小学生の子どもがいる親に、小1の壁についてそれぞれアンケートを実施しました。

■保育園ママ・パパにとっての「小1の壁」

※回答者:保育園に通う子どもを持つ 18-48才の294名(男性25名、女性268名、その他1名)

小1の壁は35%もの保育園ママ・パパが働き方を見直す原因になっている、深刻な問題だということがうかがえます。また、子どもが保育園に通っているときからすでに、多くの親は小学校入学後の子育てにさまざまな不安を抱えています。

【小1の壁が大変だと思う理由 トップ5(保育園ママ・パパ)】
1位 夏休み・春休みの対応(87.4%)
2位 学童の預かり時間(72.4%)
3位 PTA・保護者会などの学校活動(70.4%)
4位 子どもの友人関係・安全・勉強などの状況(67%)
5位 持ち物・宿題・勉強サポート(59.2%)

では、実際に小学生の子どもがいる親は、小1の壁についてどのように感じているのでしょうか。

■小学生ママ・パパが経験した小1の壁の実態

回答者: 小学校に通う子どもを持つ 18-48才の291名(男性21名、女性270名)

約8割の回答者が、小学校入学後の方が仕事と子育ての両立が大変になったと答えています。

具体的な理由を聞いてみると……

・勤務時間を短縮するなら契約社員にすると言われた
・長期休みの際の子どもの預け先がない。学童保育は預けられる時間が保育園より短くなるし、お弁当づくりが大変
・保護者会や個人面談などのために会社を早退するなど、仕事のやりくりが大変になった
・子どもが小学校に入ると利用できる職場の制度が少なくなってしまう

などの声があがりました。

また、小1の壁対策として、働き方を変えたかどうかを聞いてみました。

回答者: 小学校に通う子どもを持つ 18-48才の291名(男性21名、女性270名)

約4分の1もの親が、小1の壁対策として働き方を見直していました。

小学生の子育てと仕事の両立、具体的にどのような場面で大変さを感じているのでしょうか。

【小1の壁が大変だと思う理由 トップ5(小学生ママ・パパ)】
1位 持ち物・宿題・勉強サポート(74.2%)
2位 夏休み・春休みの対応(72.5%)
3位 学童の預かり時間(72.4%)
4位 子どもの友人関係・安全・勉強などの状況(55.7%)
5位 PTA・保護者会などの学校活動(55%)

子どもの物理的・精神的サポート、また保育園ママ・パパの心配どおり夏休みなどの長期休みや、学童保育など放課後への対応に多くの親が苦労しているようです。

■家庭の問題ではなく、社会の問題

小学校入学後、時間短縮勤務など職場のサポートが少なくなり、仕事の量を減らしたり、場合によっては退職や転職をしたりと、多くの親が直面している「小1の壁」の問題。アンケートに回答してくれた人の契約・嘱託・派遣社員の割合をみても、保育園ママ・パパでは4.4%だったのに対し、小学生ママ・パパでは7.2%と高くなっています。

日本の平均出産年齢は30.7歳。30歳ごろに出産すると、子どもが小学校に入学するのは36〜38歳。そろそろ管理職に昇級……という人も少なくありません。「いろいろ制度をつくったのに、女性管理職が増えないし、辞めてしまう人もいる」と悩んでいる企業は、この年代の方たちが働き続けられる仕組みになっているか、見直す必要がありそうです。

【小1の壁を乗り切るために、企業に行って欲しいことトップ3】
1位 就業時間の柔軟性(リモートワーク、有給1時間単位取得など)(63.5%)
2位 小1の壁の理解促進(47.4%)
3位 子どもの長期休み中のサポート(42.5%)

「小学生になっても子育てと仕事の両立の大変さは変わらず、むしろ小学校入学後の方が大変だという人が多い」ということを理解し、上司や同僚の積極的な声かけ、企業による施策など、働く親を職場全体でサポートする環境づくりが期待されます。

<クレジット>
文/ライフネットジャーナル オンライン 編集部
出典/「小1の壁とは?退職・転職の引き金になる前に、会社ができること~総勢約600名 緊急アンケートの速報~」(スリール株式会社)

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