左から厚切りジェイソンさん(お笑い芸人・IT企業役員)、森亮介(ライフネット生命保険 代表取締役社長)

お笑い芸人として、そしてIT企業の役員として日本で活躍する厚切りジェイソンさん。子どもを対象にした教育番組に出演していることもあって、最近は子どもたちの間でも人気が拡大中です。英語やプログラミングといった教育分野のキーパーソンになりうるジェイソンさんに、自身も子育て真っ最中で、長男がプログラミング教室に通い始めたというライフネット生命社長の森亮介が「Why!?」をぶつけました。

■Why!? プログラミングをすればフィードバックも達成感もすぐに得られるよ!

森:うちの子どもがジェイソンさんのファンなんですよ。ジェイソンさんが出演する『えいごであそぼ with Orton』(NHK Eテレ)を見ているので。

ジェイソン:森さん本人がファンじゃなくて? お子さんによろしく、それじゃ!

森:ちょっと待って(笑)。家でライフネット生命のCMが流れると、「ジェイソン博士だ!」ってすぐに反応するくらい、憧れの存在なんです。「あのジェイソン博士と仕事をしているパパはすごいね」と思ってくれているみたいで、本当にありがとうございます。

ジェイソン:森さんは英語を話せますか?

森:1年間、仕事でニューヨークに住んでいたので少しだけ。発音とかは気にせずに、恥ずかしがらずにハートでぶつかっていく英語です。今日は日本語でインタビューさせてもらいますけど(笑)。

ジェイソン:僕も本当は、日本語より英語のほうがまだしゃべれるけどね(笑)。

厚切りジェイソンさん(お笑い芸人・IT企業役員)

森:ジェイソンさんは英語の番組の他に、「Why!?プログラミング」(同じくEテレ)という番組にも出演されていますね。

ジェイソン:そうなんです。英語とプログラミング。2020年に小学校で必修化されるものを、僕は全部握っていますよ。

森:確かに(笑)。長男がちょうど今、プログラミングに興味を持ち始めていて、プログラミングソフトのScratch(スクラッチ)を使っていろいろ遊んでいるようなんです。ジェイソンさんのお子さんもプログラミングをされています?

ジェイソン:上の子は小学校で与えられているタブレットを使ってプログラミングしています。1人1台、タブレットを与えられていて、プログラミングを楽しんでいますよ。

森:うちの子どもの学校ではまだ全員にタブレットは配られていませんけど、いずれどこの学校でもそうなるでしょうね。

ジェイソン:公立の小学校で小1から用意されていたのは意外でした。

森:子どもたちがプログラミングに夢中になるのはなぜだと思います?

ジェイソン:僕の想像だけど、コンピューターの中では、神様になれるからじゃないかな。自分が思い描いたものをすぐに作れるでしょう。これが車だったらそうはいかない。ものすごく時間がかかる。プログラムは自分で作って実行ボタンを押したらすぐに動く。達成感が得られるし、思った通りに動かなかったらその場で直せる。フィードバックが早くて自分の力でものごとを進められるというのも、いいことだと思いますよ。

森亮介(ライフネット生命保険 代表取締役社長)

森:ジェイソンさんは何歳頃からコンピューターに触れていましたか?

ジェイソン:僕は7歳くらいから自分のパソコンを持っていました。

森:そんなに小さな頃から? パソコンも今より高価だったでしょう?

ジェイソン:日本円で50万円くらいはしたかも。会社をリストラされた父が自分で会社を立ち上げて、家で仕事をしていたんです。仕事用に使っていたパソコンが古くなったので、「ジェイソン、これ使っていいよ」と言って与えてくれました。当時はまだWindowsもない時代で、マウスも付いていませんでした。

森:小学生がマウスなしでPC操作ですか、すごい! アメリカの学校でプログラミングの授業はありましたか?

ジェイソン:今のアメリカのプログラミング教育がどうなっているのかは分からないけど、僕の頃は中学からそういう授業がありました。高校時代は、学校のネットワークを管理するアルバイトをしていたんですけど、学校の全パソコンの起動音や警告音をヘンな音に変えるいたずらをして、クビになりました。

森:(笑)。7歳だと漢字もほとんど読めないし、掛け算もできない。でもプラグラミングの世界の中では、触っているうちに何となくルールが分かっていく。それが心地いいのかもしれませんね。

ジェイソン:今は積み木をならべるような感覚でプログラムを作れるから、ゲーム感覚みたいなところもあると思う。僕の時とはまるで違う。昔、パソコンの「DOSゲーム」で、ゴリラがバナナを投げ合うゲームがあったんです。それはオープンソースなので、自分でコードをいじれました。父から、「こういうゲームがこういうコードでできているから、いじってみたら?」と言われたけれど、自分でいじると起動すらしなくなる。なかなかうまくいかなかったけれど、一つだけうまくいったことがありました。それはゴリラの顔がちょっとだけ長くなるというものなんだけど、自分のプログラムが動いただけで、「やったー」「変わったー」っていう喜びがありました。

森:小さな成功でもそれだけの感動があるんですね。これからは子どもがみんなプログラミングに触れる時代。英語もプログラミングもそこそこできるようになる彼らが大人になった時に、そのスキルをどう生かすんでしょうね。

ジェイソン:プログラミングを仕事にする人は一部だと思う。プログラミング教育を始めたからといって、急に全員がプログラマーになるわけではない。ただ、何もやらないよりかは、「プログラミングって面白い」と思う子どもが増えることは確かだろうね。

■Why!? 「トシダマ」を貯金すると複利で増えるんだぜ!

森:英語やプログラミングの次の領域として、子どもの金融教育も必要だと言われています。ジェイソンさんは自分のお子さんに、お金の教育をしていますか?

ジェイソン:子どもにもお金の話はしています。自動販売機の前でジュースが欲しいと言ったら、今飲むのか、それともこの後スーパーで買うかと聞きます。同じ商品でもスーパーのほうが安いから「スーパーなら同じ値段で今週またジュースを飲めるよ」と。森さんは何か教えていますか?

森:うちはまだです。おじいちゃんとおばあちゃんからお年玉を預かって、それに僕がいくらか上乗せした形で「ジュニアNISA」の口座にお金を入れてはいるんですけど。

ジェイソン:その口座の動き、子どもに見せてます?

森:見せていません。

ジェイソン:見せたほうがいいよ! せめてどのくらいの率で増えているとかは。

森:まだ掛け算もできないので……。小さな子どもにも教えておくといいことってあります?

ジェイソン:複利ですね。中学の時に、数学の授業で先生が複利を説明すると、多くの生徒が口座を開いた。日本だと考えられないことだと思う。ウォーレン・バフェットもこう言っている。「The power of compounding!(複利ほど強い力は存在しません)」。

森:アインシュタインも、「人類最大の発明は複利である」と言っています。金融を知るうえでとても重要な概念だと思いますが、小さな子どもにはどうやって理解させればいいと思いますか?

ジェイソン:理解できなくてもいい。複利というすごいものがあって、貯金をしているとお金が増える仕組みになっているということが分かればいい。たとえばうちは毎年、トシダマを――。

森:待って待って。「お」をつけましょう、「お」を(笑)。

ジェイソン:なんで? トシダマには、「お」をつけるの?

森:ええ(笑)。

ジェイソン:そうなんだ! 毎年年末に、その年の初めにもらったお年玉の残高に対して、10%の利子を僕が子どもにあげているんです。

森:なるほど、お年玉を貯蓄に回すとお金が増えるという仕組みを教えているわけですね。それにしてもいい金利ですね(笑)。

ジェイソン:アメリカのとあるインデックスファンドに投資していると、だいたい年率10%増えるんですよ。それを基準にしています。

森:今日本の銀行に預けているだけだとほとんど金利がつかないから、複利の勉強にならないんですよね。

ジェイソン:そうなんです。10%なら、1万円を1年間持っていると11,000円になる。次の年にまた1万円もらってもう一年持っていたら、21,000円に対する10%の利子が付いて、23,100円になる。こうなると、「貯金しよう」という動機にもなるでしょう?

(敬称略)

(後編につづく)
<クレジット>

取材/ライフネットジャーナル オンライン 編集部

文/香川誠

撮影/村上悦子