左から厚切りジェイソンさん(お笑い芸人・IT企業役員)、森亮介(ライフネット生命保険 代表取締役社長)

お笑い芸人でありIT企業の役員でもある厚切りジェイソンさんと、ライフネット生命社長・森亮介の対談後編は、ジェイソンさんの投資の話からスタートします。
(前編はこちら)

■Why!? どうして日本人は税制優遇制度があるのに投資をやらないんだよ!

森:ジェイソンさんは個人でも積極的に投資しているそうですね。どういう企業に投資していますか?

ジェイソン:投資先としては、クラウドまわりのところで実績を出せそうなところに投資したいと考えています。

森:投資額は決めていますか?

ジェイソン:決めていません。ひとまず手元のお金を使いたい放題使って、残ったものを投資しようという考え方。といっても、僕も妻もあまりお金を使わないんです。去年も収入のほとんどは投資に回しました。

森:残ったお金をすべてを投資に? いざという時のお金は残していないんですか?

ジェイソン:細かいルールとして、1年間働かなくても生活できるくらいのお金は残しています。急に仕事がなくなったり、病気で働けなくなったりする可能性がゼロではないから。だから正確に言えば、その金額を超えた部分をすべて投資しているということ。

森:日本人ももっと積極的に投資をしたほうがいいと思いますか?

ジェイソン:僕はしたほうがいいと思います。アメリカ人は老後資金を自分で何とかしないといけないという意識がある。うまくいくかどうかは別として、多くの人は投資をしています。アメリカ人に比べると日本人は投資をしようという意識が薄い。でも、投資をしたほうがいいことは分かっていると思う。きっかけがないだけ。先日、撮影の待ち時間が長かったので、スタイリストさんやメイクさんなど、楽屋にいた人全員に「NISAをやるべきだ」と説明したんです。そうしたら、みんなその場でスマホから口座を開きました。

森:確かに、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった分かりやすい税制優遇があるのに、面倒だからといって、人から強く言われるまでやらない人が多い。

ジェイソン:僕自身は、日本に永住権があるけれど米国籍なので、アメリカに納税しないといけない。だからどういう処理になるのか分からないからやっていない。実際に日本人がそれらをやる手続きは面倒ですか?

森:いえ、面倒ではありませんけど、理解できないことが多いとみんな蓋をしてしまう。だからこそ金融教育が大事だな、とは思いますけど。

ジェイソン:アメリカ人はいつでも自分を守るという意識がある。自分の会社がいつダメになるか分からないので、自分で将来計画を立てようという意識が強い。リテラシーがあると、やらないことがバカバカしくなるので、みんなやるようになりますよ。

厚切りジェイソンさん(お笑い芸人・IT企業役員)

森:複利もそうですけど、金融はリテラシーを持つほどお得になる珍しいジャンルですね。

ジェイソン:複利サイコー! イェイ!

森:ジェイソンさん、このまま金融教育の番組もいけそうですね(笑)

ジェイソン:いいね、やっちゃう? ライフネット生命がスポンサーでね。

■Why!? 日本人も夫婦の共有口座を持てるようにするべきだろ!

森:ジェイソンさんはツイッターで奥さんの料理を紹介していますよね。「#厚切り嫁料理」のハッシュタグで、何百と数えきれないくらい投稿してきたと思うんですけど、これを始めたきっかけは何ですか?

ジェイソン:妻が料理好きなんで、せっかくなら紹介しようと思って始めました。妻も喜んでくれている。

森:夫婦間の力関係みたいなものって、どうです? 日本だと、奥さんのほうが強いことが多いのですが(笑)。

ジェイソン:標準的なところは分からないけど、自分たちに関していえば対等のつもりですよ。森さんは?

森:うちは妻のほうが強いと思います(笑)。

ジェイソン:となると、財布も奥さんが管理?

森:いえ、財布は僕が管理しているんです。

ジェイソン:夫が財布を管理するのは、日本だと珍しいんじゃないですか?

森:最近は必ずしもそうではなさそうですよ。共働きの夫婦が増えていて、二人で管理することも珍しくないですし。口座はどちらかのものですけど。

ジェイソン:日本は個人名義ですよね。口座も保険も。アメリカの金融機関は、夫婦名義の口座。だからへそくりもない。日本だとみんな隠し合うでしょ?(笑)

森:なるほど。口座が個人名義だから共有の概念が薄いのかも。

ジェイソン:そもそも家族って共有が当たり前じゃないですか。日本は家も一人での名義が多いけど、家族みんなそこに住んでいるでしょう? 最初から夫婦名義だと、どちらかが亡くなった時の手続きも減ると思いますよ。なんで共有口座、共有名義にしないのか。一般的に、アメリカは個人主義で、日本は共有しているものが多いと思う。でも財産の名義に関しては日米で逆になっているのが面白い。

森亮介(ライフネット生命保険 代表取締役社長)

森:日本はモノだけでなく概念も輸入してきた歴史がある。日本固有のカルチャーに基づいて今のさまざまな制度があるわけではないので、変わることはあるかもしれません。

ジェイソン:ちなみにお金を多く使うのは、夫婦のどちらですか?

森:家のお金は僕が持っていますが、使うのは妻です。

ジェイソン:それ、持っているとは言わない(笑)。

森:でも口座は僕なんです。

ジェイソン:口座はね!(笑) でも、うちも感覚としては近いかな。妻が必要なものを買ってくる。変わったものを買ってくることもあるけどね。こないだは40キロ分のポップコーンが届いた。格安だったからって。

森:わかります(笑)。まとめ買いで安くなるものは買っちゃいますね(笑)。

■Why!? ライフネットもそろそろ海外進出していいんじゃない?

ジェイソン:アメリカにいた時、自動車保険はあったけど生命保険はなかった。ライフネット生命は海外進出はしないんですか?

森:緩やかですが、海外のベンチャーへの投資はしています。ただ、ライフネット生命の名前をグローバルに広げようという意思は、今のところありません。大きな資本もありませんし、これは現地企業と一緒に進めていくものなので。当社はオンライン生命保険会社の先駆けとして、これまでに多くの経験を蓄えてきました。だからノウハウや過去のデータ、失敗体験、成功体験を教えながら進めています。

ジェイソン:投資先は生保の会社のみ?

森:生保とヘルスケアまわりですね。

ジェイソン:日本でライフネット生命ができて、古いルールや慣習が破られてきた。ライフネット生命のようなベンチャーがこれからの日本の企業を明るくすると思いますよ。

森:そう言われて光栄ですが、実はジェイソンさんのおかげでもあるんです。ジェイソンさんには2016年から当社のCMに出ていただいていますけど、その頃から会社の調子が上がっているんです。

ジェイソン:僕のおかげやぁ! なんてね(笑)。CMを見た多くの人が「分かりやすいな」「こんなに安くなるのか」って思ったからじゃないかな。

森:今後のライフネット生命に、「もっとチャレンジしてみなよ!」って思うことはありますか?

ジェイソン:僕がこんなこと言える立場じゃないけれど、海外にはもっと行けると思う。ただ、資本も必要だし、リスクもある。規制の壁も乗り越えないといけない。

森:意外と慎重なことを言うんですね(笑)。

ジェイソン:僕はそんなに無責任じゃないよ!(笑) 経営者だからね。だいたい本当に保険のいいアイデアが浮かんでいたら、自分で皆さんの競合をつくるから(笑)。

森:それは困るかも(笑)。

ジェイソン:ライフネット生命が創業するまでも、そんなに簡単じゃなかったと思う。日本の保険業界は本当に規制が多い。

森:でもその規制があることで、攻められることも結構あるんです。プロレスでも、ルールのあるリングの中だから掛けられる技があるでしょう。それと同じです。

ジェイソン:それは言えるかも。制限されたほうがいい発想ができるという研究結果もあります。ドクター・スースという児童文学作家は、『キャット イン ザ ハット』という小説を約240の単語だけで書くという縛りを設けて執筆を始めました。その制限をかけることによって、新しいことができるようになったんです。焦点を合わせるところが少ないと、深いところが見えるんですよね。

森:ジェイソンさんが活躍するテレビ業界も規制の多い世界ですよね。特にCMは、秒数や表現など、決められた中で自分たちのメッセージを伝えていかないといけない。

ジェイソン:これからは生命保険の良さだけでなく、金融リテラシーとはどういうものかを伝えていくのもいいと思う。できることをやりつつ、ライフプランを設計していきましょう、と。

森:なるほど。参考になります。

ジェイソン:ライフネット生命のCMでは寿司を食べたり、ホームパーティーをしたり、とても楽しいですよ。

森:社内でも、ジェイソンさんのCMはいいな、という声をよく聞きます。

ジェイソン:じゃあ、永遠にやりましょう!(一同笑)

(敬称略)

<クレジット>
取材/ライフネットジャーナル オンライン 編集部
文/香川誠
撮影/村上悦子