「わんこの幸せバンダナ」ウェブサイトより

わんちゃんの首元を彩る、さまざまな柄のバンダナ。愛知県春日井市に店舗を構える「わんこの幸せバンダナ」がすべて手づくりしています。超小型犬から超大型犬までサイズを揃え、どんな犬種でも選べる豊富なデザインのバンダナは、リバーシブルになっており、2種類の柄をその日の気分に合わせて楽しむことができます。しかもこのバンダナ、ただの“わんちゃん用のかわいいバンダナ”ではないんです。

■犬の“命”を考える

「わんこの幸せバンダナ」のオーナー・向井香里さんの愛犬もことの出会いはペットショップでした。しかし、もこは家族になったときには既に左目が失明しており、犬にも人間にも怯える臆病な性格。その後ペットショップから迎え入れたもう一匹の愛犬りんも、先天性の膝蓋骨脱臼を抱えていました。

ペットショップで購入する前、もこやりんに何が起きていたのか、いろいろと調べた向井さん。その結果、日本における殺処分の現状やパピーミル(商品としての子犬を育てる工場)の存在、ブリーダーによる無理な交配など、成犬・仔犬を取り巻く現実を知ったそうです。

そこで、「自分も犬たちのために何かできることをしたい」と考え、立ち上げられたのが「わんこの幸せバンダナ」です。

「わんこの幸せバンダナ」ウェブサイトより

■「約8,300匹」

約8,300匹という数字は、国内で2017年4月から2018年3月の1年間で殺処分された犬の数を表しています。(*環境省による統計)迷子や人間による飼育放棄など、さまざまな原因により、こんなにも多くの犬の命が絶たれているのです。

2018年9月から、殺処分寸前だった保護犬の里親になったという向井さん。「命を繋ぐ、幸せをつなぐ、笑顔を繋ぐ」という思いを込め、「つなぐ」と名付けたそうです。

「 “つなぐ” は捨てられた老犬で、フィラリアという病気にかかっており殺処分の対象になっていました。

もことりんを飼って殺処分の現状を知って以来、ずっと保護犬を迎え入れたいと思っていましたが、もこが6年前に亡くなり、その2年後に自分のがん罹患が発覚したんです。転移もあり、一時は死を覚悟しましたが、手術や抗がん剤・放射線治療を受け、現在まで再発もなく、生存率が上がると言われる3年を無事経過し、がん罹患から4年が経ちました。

そんな日々のなかで、つなぐとの出会いがあり、里親になることを決心したんです。りんも今年で10歳、つなぐももうシニアですから、あと何年一緒にいられるかわかりませんが、1日1日を大切に過ごしていきたいと思っています。

わたしの願いは、ペットとして犬を家族に迎え入れようとするときに、『保護犬の里親になる』という選択肢がもっと広まって欲しい、ということです。」

「わんこの幸せバンダナ」の売上金の一部は、殺処分されてしまう犬を一匹でも減らすために活動している保護団体に寄付されています。現在は愛知県の実店舗のほか、オンラインショップでも購入可能です。オーダーメイドのオリジナルバンダナをつくることもでき、愛犬家へのギフトにもぴったり。

1日に20匹以上もの犬が殺処分されているという現状について、一人でも多くの人が考え直すきっかけに──かわいらしいバンダナ製作の裏側に、わんこの幸せを願う、オーナーの切実な思いがあります。

「わんこの幸せバンダナ」インスタグラムより一部抜粋

<プロフィール>
「わんこの幸せバンダナ」ウェブサイト
オンラインショップ
インスタグラム

<クレジット>
文/ライフネットジャーナル オンライン 編集部