ネパールで手作りされたフェルトマスコット(NPO法人チャリティーサンタウェブサイトより)

風の冷たさが一層冬らしくなってきたこの頃、街並みもすっかり赤や緑のクリスマスカラーに染まり、華やかさを増してきました。

聖なるクリスマスイブの夜、子ども達にプレゼントを届けるサンタクロース。今回は、世の中に「サンタクロースのような人」を増やし、サンタクロースを待っている子ども達と繋げる活動を行っているNPO法人、「チャリティーサンタ」についてご紹介します。

■日本発祥の“サンタクロース団体”!?

「世界中の子ども達を笑顔に」──そんな思いをコンセプトに、2008年から活動しているNPO法人チャリティーサンタ。主な活動は“サンタクロース”に扮したボランティアによって行われているそうです。

【サンタ活動の仕組み】

NPO法人チャリティーサンタウェブサイトより

チャリティーサンタによる研修を受けたボランティアのサンタクロース達が、クリスマスイブの夜に、小さなお子様のいるご家庭へプレゼントを届けます。その際に各家庭からお預かりしたチャリティー金(寄付)で、世界中の困難な状況にある子ども達の支援を行うのです。

2014年のNPO法人化以後は、社会調査や企業との協働、寄付つき商品の開発など、活動の幅を広げてきました。

2018年度の時点でボランティアのサンタクロースの数は延べ1万人以上に達し、3万人を超える世界中の子ども達に笑顔のプレゼントを届けてきました。

NPO法人チャリティーサンタウェブサイトより

■“7人に1人”貧困家庭の子どもに届けるクリスマスの思い出

チャリティーサンタでは、クリスマスプレゼントを届けた子どもの数が1万人に到達した翌年、2015年に顧客調査を実施。その結果、日本の子育て家庭の世帯年収と、チャリティーサンタに依頼をする家庭の世帯年収の中央値にはギャップがあることがわかりました。

つまり、既存のサンタ活動ではチャリティー金を預けられるようなご家庭は訪問できていましたが、一方で経済的に厳しいご家庭にはプレゼントを届けられていなかったのです。

世帯年収でみると、日本の子育て家庭全体の中央値は 約607 万円、チャリティーサンタに依頼する家庭の中央値は約 800 万円となった。(NPO法人チャリティーサンタウェブサイトより)

この調査結果を受けチャリティーサンタでは、全国の支援団体と連携して、サンタクロースが来ない経済状況の家庭の子ども達に「サンタクロースとの特別な思い出」を届けるための「ルドルフ基金」を設立。

2018年は、チャリティーサンタの手で、西日本豪雨の被災家庭を含む364家庭、1291人に「思い出」を届けたそうです。

ルドルフ基金を通じて各家庭を訪れたサンタクロース(2018年度「ルドルフ基金」実績レポートより)

「きっとサンタクロースはプレゼントを届けてくれる」と心のどこかで信じている子ども達の夢を叶えるため。「子どもをがっかりさせたくないけれど、経済的に厳しい」という家庭に、楽しいクリスマスの思い出を残してもらうため。童話「赤い鼻のトナカイ」の主人公「ルドルフ」の名がついたこの基金を通じて、今年のクリスマスイブもたくさんの思いやりの気持ちが贈り届けられるでしょう。

■誰かの「サンタクロースとの思い出」のために。やさしさを繋げる活動

活動開始から11年、その活動の拠点は全国26都道府県に広がり、37の支部が設置されています。(2019年時点)サンタ活動の運営に関心を持った方や、当日のスタッフとして活動してみたい方はぜひお近くの支部やウェブサイトからお問い合わせください。

また、クリスマスイブ当日以外にも、東日本大震災を始め全国で被災した子ども達への支援活動や、サンタクロースから世界にひとつだけの手紙が届くサービス、本の寄付など、日本や世界の子ども達のための様々なプロジェクトを行っています。

個人や企業が協力し合い、「社会全体で子どもを支え合う」──チャリティーサンタが掲げるこの目標は、子どもの頃のサンタクロースとの思い出だけでなく、社会の一員として生きていく上で、忘れてしまいたくない温かい心、そして思いやりの心について、考えさせてくれます。

合言葉は「あなたも誰かのサンタクロース」。赤い帽子と白いひげを蓄えて、あなたも世界中の子どもに笑顔のプレゼントをお届けしませんか?

<インフォメーション>
●NPO法人チャリティーサンタ

<クレジット>
文/ライフネットジャーナル オンライン 編集部