(画像はイメージです)

健康診断や人間ドックなどで尿酸値が高いと指摘される人は年々増加し、その割合は、全男性の約20%、全女性の約5%にのぼるといわれています。尿酸値が高い状態が続くと足の親指の関節などに尿酸が沈着し、「痛風発作」と呼ばれる強烈な痛みを生じることがあります。
このような症状が出る痛風の患者さんは全国で100万人以上もいます(2016年)。

今回は尿酸値を下げる薬の服薬を継続することの重要性について、外来診療も行う現役の医師が解説します。

当記事はMEDLEYニュース(2019年6月28日配信)より許可を得て転載しています
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■1.必要な薬を飲まなくなってしまう人がいる

尿酸値の上昇は生活習慣と関わっています。尿酸値が高い人には食事内容の見直しや節酒といった食事療法が重要ですが、これらを見直しても目標値まで下がらない場合には、薬を使って下げる必要があります。

また、痛風発作を経験した人は、そうでない人よりも尿酸値の治療目標を低い値に設定したほうがよいといわれ、発作予防のために多くの人に尿酸値を下げる薬が処方されます。(尿酸値を下げる薬物療法についてはこちらを参考にしてください。)

しかし、筆者が外来診療をしていて、自己判断で薬をやめてしまう人はかなり多いと感じています。訳を聞くと、尿酸値を下げる薬を飲んでいるのに痛風発作になってしまい、効かない薬だと思ってやめてしまうようです。

たしかに、薬を飲んでいるのに痛みが出たら、飲む必要性があるのか疑問に思うかもしれません。しかし、それでも飲み続けたほうがよいのには理由があります。

■2.痛風には気の長い治療が必要

個々人の体質にもよりますが、尿酸値が6.4mg/dLよりも高い値が続くと、尿酸が血液中に溶けきれなくなり関節内に沈着しやすくなることがわかっています。この沈着した尿酸の結晶が痛風の原因となります。ですから、痛風になった人は蓄積した結晶を溶かすために尿酸値を6.0mg/dL以下にするのが望ましいと考えられています。しかし、できてしまった結晶は一朝一夕には消えず、しばらく関節内に存在し続けます。

これが、薬を飲んでいるのに痛風発作が出てしまう理由と考えられます。

参考までに、痛風になった人たちが尿酸を下げる内服治療をはじめた後に、再び痛風発作が出た人の割合をまとめた報告を紹介します(下記グラフ)。

【内服治療をはじめた後に痛風発作が出た人の割合】

参考文献:Schumacher HR Jr et al .:Febuxostat in the treatment of gout 5-yr findings of the FOCUS efficacy and safety study. Rheumatology 2009 48 (2):188-194

上のグラフでは時間の経過とともに痛風発作の再発率が徐々に下がる傾向にあります。また、内服をはじめてから2ヶ月の間に全体の2割強の人が(赤矢印)、2-4ヶ月の間に3割近くの人が(青矢印)再び痛風発作を経験したことが読み取れます。

このデータは海外のもので、日本とは薬の使用量が異なるため、日本の患者さんでは異なる結果が出る可能性はあります。それでもこのグラフからわかる傾向は、「尿酸値を下げる薬を使い始めたばかりのときは痛風発作がでる可能性が十分ある」ということ、しかし、「治療を続けていれば次第に発作は減ってくる」ということです。数年後には痛風発作がでる可能性は極めて小さくなるため、生活習慣を見直しても尿酸値の改善が十分でなければ、尿酸を下げる薬を続けることが重要です。

■3.まとめ

薬を飲んでいるのに痛風の発作が起きると、効果を実感できず途中でやめてしまいたくなるものです。しかし、根気よく治療を続ければ、数年後には痛風発作の不安から解放されるということをぜひ知っておいて欲しいと思います。

本当に必要な治療なのかどうか疑問を感じていた人がこのコラムを読んで、前向きに治療できるようになることを願っています。

<クレジット>
文/清水貴徳(MEDLEY)
信州大学医学部医学科卒業。茅ヶ崎徳洲会総合病院(現 湘南藤沢徳洲会病院)にて初期研修および総合内科後期研修。その後、新東京病院消化器内科医員および船橋駅前内科クリニック副院長を経て、2019年よりメドレーに参加。日本内科学会認定内科医、総合内科専門医、日本消化器病学会専門医。


【参考文献】
・厚生労働省 国民生活基礎調査
・Schumacher HR Jr et al .:Febuxostat in the treatment of gout 5-yr findings of the FOCUS efficacy and safety study. Rheumatology 2009 48 (2):188-194