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風邪などの感染予防には「手洗い」が効果的です。とはいえ、1日に何度も手洗いをすることで、手荒れが気になってきた人も少なくないかと思います。本コラムでは、手荒れのメカニズムや予防法を説明していきます。

当記事はMEDLEYニュース(2020年2月12日配信)より許可を得て転載しています
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■1.手の肌はもともと刺激に弱く荒れやすい

皮膚の表面には皮脂がつくる薄い膜があります。皮脂の膜は水分を保ち、刺激物質から皮膚を守ります。この皮脂を分泌する皮脂腺が手先には少ないため、手先の皮膚のバリア機能が弱く荒れやすいのです。

寒いところで手先が乾燥するのを経験したことがあると思います。これは手が冷えることで皮脂腺の働きが低下して、皮脂が減ることが影響して起こる現象です。つまり寒い環境では手荒れが起こりやすくなります。また、皮脂は水や洗剤によって洗い流されてしまうので、水仕事も手荒れの原因になります。

■2.手荒れの予防や悪化を防ぐ方法について

手荒れの主な原因は「水仕事」と「寒い環境による手の乾燥」です。この2つの原因を完全に避けることは難しいのですが、ちょっとした工夫の積み重ねで手が荒れにくくなります。

●水や洗剤の工夫

水や洗剤に関してちょっとした工夫をすることで皮膚を守ることができます。その主な方法は3つあります。

1つ目の工夫はぬるま湯を使うことです。

水の温度は30℃程度がよいです。水温が高すぎると皮脂が取れやすくなり、皮膚のバリア機能が低下すると考えられます。また、冷たい水がよいという意見も時折耳にしますが、特に科学的な根拠があるわけではないようで、米国皮膚科学会もぬるま湯の使用を勧めています。

2つ目は水に触れる時間を短縮することです。

水に触れる時間が長くなると、その分だけ皮脂が洗い流されやすくなるので、水との接触時間は短いほうがよいです。食器の頑固な油汚れを落とす場合には、しばらく洗剤につけておいてから洗ったり、洗う前にキッチンペーパーなどである程度汚れを拭き取ったりしておくと、水を使う時間が短くなります。また、食洗機がある人は積極的に使うのもよいです。他にも方法があると思うので、みなさんの生活スタイルに合わせて工夫してみてください。

3つ目は水仕事で使う洗剤の種類の見直しです。洗剤は洗い物の汚れだけではなく、手の皮脂も取り除いてしまいます。洗剤を選ぶ際はついつい「洗浄力の高さ」に目が行きがちですが、皮膚への刺激にも注目して、自分に合ったものを探してみてください。

●グローブの着用

手荒れになりやすい人や荒れ始めた人は、水仕事をするときにグローブの着用をするとよいです。水や洗剤の影響を抑えられるので、高い効果が期待できます。ただし、素材によってはグローブとの接触で手荒れが起こることがあります。その場合は、綿(コットン)の手袋で手を保護した上から水仕事用のグローブをはめるとよいでしょう。

●手のケアをまめにする

普段から手のケアをしておくと、皮膚のバリア機能が保たれて、手荒れが起こりにくくなります。具体的には、こまめに保湿クリームを塗ったり、寒い日の屋外では手袋を準備したりするなどの簡単な取り組みで十分です。保湿クリームには不足しがちな皮脂の代わりが期待できますし、手袋には保温・保湿効果が期待できます。

■3.手荒れがひどい場合は医療機関で相談を

予防できるのが一番ですが、中には適切にケアをしていてもひどくなってしまう人や、長引く人もいます。程度が重い場合はステロイド薬などの専門的な治療が必要になることがあるので、痛みやかゆみが強い人や、腫れがある人はお医者さんに相談してください。「たかが手荒れ」と思って医療機関の受診をしない人もいますが、症状が辛いのに我慢する必要はありません。

今回は、手荒れが起こるメカニズムと手荒れの予防を中心に説明しました。簡単な方法ですので、ぜひ取り入れて、寒い冬を乗り切ってみてください。

<クレジット>
文/斎木 寛(MEDLEY)
愛知医科大学卒業。愛知医科大学で初期研修修了。吉野川医療センター、静岡がんセンター、愛知医科大学で泌尿器科医として勤務。泌尿器がん治療を中心に研鑽を重ねている。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、da Vinci certificate取得。


参考文献