(写真はイメージです)

美容のプロ・さとう桜子さんは2013年6月にがんと闘う女性のためのプライベートサロン「セレナイト」をオープン(2020年4月に目黒へ移転済み)。自らのがん闘病の経験と美容の知識を活かし、がんと闘う女性たちに、毎日を前向きな気持ちで快適に過ごすための、スキンケアやメイクなどの美容術を施しています。今回はさとうさんが2017年に出版された『がん治療中の女性のためのLIFE&Beauty』(主婦の友社)から、がんと闘う生活を快適にする5つのポイントをご紹介します。

※どのポイントも、体調が悪いときには無理せず、できる範囲で行ってください。
※本ページの記事は、がん治療中のケアに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■1.体調が悪いとき以外は洗顔を欠かさずに

がんの治療を始めると、肌が敏感になったり、黒ずんだり、シミが増えるといった変化がみられることがあります。健康だったときのようにとはいかなくても、最小限のスキンケアでも肌を守ることができます。お手入れをすること自体が、心を前向きにしてくれることもあるでしょう。ここでは、体に負担をかけない、基本的な方法をご紹介します。

洗顔は毎日、朝晩の2回行いましょう。朝は寝ている間に酸化した皮脂や汗、汚れを、夜はほこりや汗などの汚れ、余分な皮脂や古い角質、肌に残ったメイクアップ化粧品などを落とすといった異なる目的があるからです。

治療中といっても肌に変化がなければいつもの洗顔料で構いません。泡で洗うときには指が強く顔に触れないようにして、優しく洗いましょう。洗う順番は、皮脂が多いTゾーンからスタート。乾燥しやすい目元や頬は最後に洗い上げます。

■2.肌の保湿は乳液やクリーム、美容液で

洗顔後、肌の水分はどんどん蒸発するので、できるだけ早く化粧水をたっぷりと肌に浸透させます。重ねづけも効果的。化粧水の後は、乳液やクリーム、美容液を適量取って、手の平で軽くなじませた後、乾燥しやすい頬や目元、口元からつけます。皮脂の出やすいTゾーンには控えめに。

なお、抗がん剤治療を始めてしばらくすると、握力がなくなり、化粧品のボトルのふたの開け閉めが難しくなります。ポンプ式のボトルに詰め替えるといいでしょう。

■3.ウィッグを快適に使うための裏技

治療で頭髪が抜けると、気分も沈みがちですが、つけ心地やお手入れのコツを知った上でウィッグを使うと少し前向きな気持ちになれます。

お手入れで大事なのは清潔に保つこと。ウィッグの下にインナーキャップを使うと、頭皮を保護し、汗や皮脂がウィッグに直接吸収されることを防ぎ、外から頭皮が透けて見えにくくなります。ただし、ウィッグの下は蒸れるので、インナーキャップのこまめな交換が欠かせません。そこで、黒色の綿やガーゼ、古いTシャツの切れ端などを円形にカットして使ってみては。夏場は保冷剤を入れた密閉式ビニール袋に入れて携帯すると、取り換え時には頭がヒンヤリとして快適です。

■4.バランスの取れた自然な眉は、こう描こう!

抗がん剤治療が決まった時点で自分の顔の撮影をしておくと、本来の眉の位置がつかめます。鏡にその写真を貼っておくと、自分の眉の位置や描き方に悩むこともなくなるはず。

鏡はメイク用とチェック用の2つを準備しましょう。手鏡で描きつつ、大きめの置き鏡でチェックすると、左右のバランスが取れた自然な仕上がりになります。テンプレートを用いて眉を描くとベタ塗りの眉になりがちなので、もし使用する場合にはペンシルではなくパウダーを使ってふんわりと仕上げましょう。

■5.人肌に温めてから肌に乗せるのがシミ隠しの秘訣

ファンデーションではカバーしきれない肌のシミには、コンシーラーをうまく使いましょう。シミが黒いからといって、白い色のコンシーラーを選ぶのは避けましょう。濃い色のコンシーラーの方が自然になじみます。

スティックやクリームタイプを使うときには、顔に直接つけず、いったん指で取ってから親指と人差指でこすり合わせたり、手の甲に一度のせたりして人肌に温めてから肌にのせます。それから放射状に外へ向けて伸ばし、肌との境目は指で軽くたたいてなじませるのが自然な仕上がりのコツ。シミやくまが上手に隠れます。

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『がん治療中の女性のためのLIFE&Beauty』(主婦の友社)には、ウィッグやメイク以外にも、手術後の普段の服装やボディケアについてもまとまっています。ご自身や周りの方ががんの治療で悩んでいるという方は、ぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

『がん治療中の女性のためのLIFE&Beauty
さとう桜子(主婦の友社)

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<プロフィール>
さとう桜子(さとう・さくらこ)
美容学校卒業後、ヘアーメイクアップアーチストを経て化粧品業界へ転向し、フランスのブランド・オルラーヌでエステの技術を習得。その後アルビオングループのソニアリキエル新宿伊勢丹チーフ、ピアスグループのカバーマーク、ケサランパサランのマネージメント、トレーニング担当を経て、2009年からエステダムジャパン設立メンバーとして大手エステブランドや百貨店、代理店の教育、企画運営を手掛ける。2013年に、がん患者向けビューティサロン「セレナイト」をオープン。ビューティアドバイザー兼エステティシャンとしてサロンの運営と後進の指導に力を注ぎつつ、医療機関や企業、学校などでの研修や講演活動を行う。2017年『がん治療中の女性のためのLIFE&Beauty』上梓。
●セレナイト