程度の差こそあれ「やけど」は誰もが経験するものです。しかしながら、臨床現場で患者さんを診ていると、適切な対応をしてから受診する人は多くないと感じます。やけどの初期対応は、その後の治りの良さにもつながるので、ぜひとも押さえておきたいものです。

当記事はMEDLEYニュース(2020年4月21日配信)より許可を得て転載しています
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

まず結論を先に述べると、やけどの正しい初期対応は患部を「流水」で冷やすことです。拍子抜けした人がいるかもしれませんが、これだけで十分です。簡単そうなものですが、ポイントがいくつかあります。

■ポイント①:氷嚢や保冷剤ではなく「流水」を使う

受診する患者さんのほとんどが患部を冷やしています。冷やすこと自体は正しいのですが、その方法が適切でない場合がしばしばあります。よく目にするのは氷嚢や保冷剤を使って患部を冷やす人です。よく冷えそうで、一見良さそうなのですが、冷凍庫で凍らせたものを使って極端に皮膚を冷やすと、やけどでダメージを受けている皮膚組織に悪影響を及ぼすことが懸念されます。正しくは室温程度の少し冷たい流水を使ってください。水道水で全く問題ありません。

■ポイント②:冷却時間は20分を目安にする

流水での冷却時間は20分を目安にしてください。やけどをしてから3時間以内に流水で20分間以上にわたって患部を冷やした場合は、他の方法で応急手当てを受けた場合や応急手当てを受けなかった場合に比べて、植皮(皮膚を移植すること)や入院の必要性が低下した、という研究報告があります。早く医療機関を受診したい気持ちも理解できますが、冷却時間が不十分だと、効果が小さくなる可能性があります。まずはしっかり冷やしてから医療機関に向かってください。

■ポイント③:患部が衣服に覆われている場合は服の上から冷やす

患部が衣服に覆われている場合は、その上から流水をかけて冷やしてください。服を脱がしてやけどの程度を確認したくなるものですが、衣服を脱がした影響で、水ぶくれが破れたり、皮膚が剥がれ悪化したりしてしまう可能性があります。まずは患部を冷やすことに専念してください。

■ポイント④:自己判断で軟膏や消毒液を塗る必要はない

自身の判断で軟膏や消毒液を患部に塗って受診する人がいますが、この処置は不要です。かえってやけどの程度がひどくなる可能性があるので、患部を十分冷やしたらそのままの状態で受診してください。

 

やけどの対応は極めてシンプルです。とっさの時に正しい初期対応がとれるように、このコラムのポイントをぜひ覚えておいてください。

なお、やけどの治療や受診の目安など、もっと詳しく情報を知りたい人は「熱傷(やけど)の基礎知識」のページも合わせて読んでみてください。

<クレジット>
文/斎木 寛(MEDLEY)
愛知医科大学卒業。愛知医科大学で初期研修修了。吉野川医療センター、静岡がんセンター、愛知医科大学で泌尿器科医として勤務。泌尿器がん治療を中心に研鑽を重ねている。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、da Vinci certificate取得。


参考文献

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