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夏休みを利用して部活動に励んだり、スポーツでリフレッシュしたりする人は少なくないかと思います。暑い季節に運動をする際には、熱中症対策として適切な水分補給や涼しいところでの休憩が欠かせませんが、熱中症になりやすい状況下では、時に運動を中止することも必要です。

熱中症になりやすい環境かどうかは気温が重要ですが、それだけでは決まりません。「湿度」や「地面からの熱」など、いくつもの要素が影響します。そこで頼りになるのが、これら環境要素を総合的に表した「暑さ指数(WBGT)」です。

当記事はMEDLEYニュース(2019年8月20日配信)より許可を得て転載しています
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■1. 熱中症予防のために知っておきたい暑さ指数(WBGT)と運動の指針について

暑さ指数(WBGT)は主に次の3つの要素から算出されます。

  • 気温
  • 湿度
  • 輻射熱:地面や建物などから伝わる熱

気温が高い環境以外でも、むしむしとした環境や、建物に囲まれて熱がこもりやすい環境では熱中症のリスクが高くなることが分かっています。このため、気温だけでなく、湿度や輻射熱(ふくしゃねつ)が考慮されている暑さ指数(WBGT)が熱中症を予測するのに適した指標だと考えられています。

また、日本スポーツ協会や環境省からは、以下の表のように暑さ指数に対応した運動指針が示されています。暑さ指数に応じて具体的な対応が取りやすい点で優れています。

(注意:暑さ指数の単位は気温と同じ「℃」で表されます。暑さ指数31℃とあっても気温が31℃とは限らないことに注意してください。)

【運動に関する指針】

 暑さ指数(WBGT) 運動指針  
31℃以上   運動は原則中止

 特別の場合以外は運動を中止する。

特に子どもの場合には中止すべき。

28〜31℃以上 

厳重警戒
(激しい運動は中止 )

熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。

10分から20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。

暑さに弱い人(※)は運動を軽減または中止。 

25〜28℃ 

警戒
(積極的に休憩) 

 熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。

激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。

21〜25℃ 

注意
(積極的に水分補給) 

熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。

熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。 

21℃未満 

ほぼ安全
(適宜水分補給) 

通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。

市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。 

※暑さに弱い人:体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など
参考:環境省 熱中症予防情報サイト(公財)日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2019)

今自分がいる場所の暑さ指数を正確に調べるには専用の測定器が必要です。しかし、地域ごとの暑さ指数であればこちらのページで簡単に調べることができます。運動前にチェックして熱中症に備えてください。

■2. 便利な暑さ指数(WBGT)だが注意点もある

暑さ指数(WBGT)は熱中症予防に有用な情報ですが、参考にする時には注意してほしいことがあります。

例えば、日差しの変化による気温の上昇や、降雨後の湿度の上昇といった、急な天候の変化による影響は、環境省が発表する暑さ指数(WBGT)に反映されないことがもあります。また、暑さに慣れていない人や疲労が溜まっている人などでは、そうでない人と比べて熱中症にかかりやすいことが知られており、より注意が必要になります。数値を参考にしつつも、熱中症の危険性が高くなったと感じたら涼しいところで休憩したり、運動を中止したりしてください。

そのほかにも、熱中症予防に役立つ情報や、熱中症になりかけた時の適切な対処法をこちらのページ「熱中症の対策や処置について」にまとめています。合わせて活用して夏の運動を安全に楽しんでもらえれば幸いです。

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<クレジット>
文/斎木 寛(MEDLEY)
愛知医科大学卒業。愛知医科大学で初期研修修了。吉野川医療センター、静岡がんセンター、愛知医科大学で泌尿器科医として勤務。泌尿器がん治療を中心に研鑽を重ねている。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、da Vinci certificate取得。


参考文献