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手指のしびれを起こす病気はいくつかあります。頚椎症(主に加齢により生じる首の骨の変形)が原因になることもありますし、糖尿病による末梢神経障害も原因になります。そうしたいくつかある原因の中でも、多くの人に見られるのが「手根管症候群」です。

当記事はMEDLEYニュース(2020年7月28日配信)より許可を得て転載しています。
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません

■手根管とは?

手根管(しゅこんかん)は手首付近にあるトンネル状の構造物です。靭帯と骨で構成されており、その中には正中神経が通っています。正中神経は親指・人さし指・中指・薬指の先まで伸びており、運動や感覚を司ります。神経は圧迫による影響を受けやすく、何らかのきっかけで手根管が狭くなると、中に存在する正中神経に悪影響がおよび、さまざまな症状が現れます。

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■手根管症候群に特徴的な症状

手根管症候群が疑われる症状にはいくつか特徴があります。

【手根管症候群に特徴的な症状】

  • 親指から薬指にかけてしびれる
  • 服のボタンがかけづらい
  • 明け方に指がしびれる・痛む
  • 手をふるとしびれや痛みが和らぐ

先に説明したように、手根管を通る正中神経への圧迫によって症状が現れます。初期には指のしびれが目立つことが多いのですが、悪化すると、感覚が鈍ったり、手を動かしづらくなったりといった症状が加わり、細かな作業がやりにくくなります。そして、さらに悪化すると、親指の筋肉がやせ細り、ものがつかめなくなることもあります。親指の筋肉がやせ細る段階まで進行してしまうと、治療をしてももとに戻らないことがあるので、なるべく早く医療機関で相談することが重要です。

正中神経は親指・人さし指・中指・薬指の運動や感覚に関係している神経です。ですので、小指には症状が現れません。

また、詳しいメカニズムはわかってはいませんが、明け方に症状が目立ったり、手をふると症状が和らいだりするといったことも手根管症候群の特徴と考えられています。

■手根管症候群が起こりやすい人の特徴

次のリストに思い当たる節がある人は手根管症候群を発症しやすいと考えられています。

【手根管症候群になりやすい人】

詳しい原因はわかってはいませんが、手根管症候群は男性に比べて女性に起こりやすいことが知られています。特に更年期を過ぎた人や妊娠中の人に目立つ傾向があります。

また、病気や怪我が手根管症候群のきっかけになることが知られています。さらに、日頃から手首を酷使する作業やスポーツをする人も注意してください。作業では身近なところで言うと、パソコンのキーボード操作や製造業が該当し、スポーツではテニス・野球などです。

■手根管症候群のセルフチェック

上記の特徴的な症状に多く当てはまる人は手根管症候群の可能性が高いと考えられます。さらに、セルフチェックとして、お医者さんが手根管症候群を疑った人に行う診察方法を紹介します。

  1. 両手の手首を内側に直角に曲げます
  2. 両手の甲をつけてそのままの姿勢を保持します

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このとき、しびれがいつもより強くなると手根管症候群の疑いが強くなることが知られています。これはファーレン・テストと呼ばれるものです。簡単にできるので、心配な人は受診前に試してみてもよいでしょう。症状が強くなったら受診するようにしてください。

■手根管症候群が疑われる人はなるべく早く医療機関で相談を

手根管症候群を発症してから長い時間が経過している人や、親指の筋肉が痩せ始めている人は治療をしても効果が小さく、症状が改善しきらない傾向があります。そうならないためには、我慢しすぎないで医療機関で相談することが肝要です。手指のしびれが長く続くため気になっている人は一日でも早く医療機関を受診してください。

なお今回は医療機関で行われる治療については触れませんでしたが、「こちらのページ」で説明しているので参考にしてください。

このコラムが手指のしびれで悩んでいる人の手助けになれば幸いです。

<クレジット>
文/斎木 寛(MEDLEY)
愛知医科大学卒業。愛知医科大学で初期研修修了。吉野川医療センター、静岡がんセンター、愛知医科大学で泌尿器科医として勤務。泌尿器がん治療を中心に研鑽を重ねている。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、da Vinci certificate取得。


参考文献

  • UpToDate Carpal tunnel syndrome: Etiology and epidemiology.Author:Milind J Kothari, DO
  • UpToDate Carpal tunnel syndrome:Clinical manifestations and diagnosis.Author:Milind J Kothari,DO
  • 日本整形外科学会ホームページ:「手根管症候群」(2020.7.28閲覧)