いよいよ臨月も間近に迫ると、お産についての疑問や不安が頭に浮かんできますよね。陣痛ってどういうもの?破水っていつ起きるの?入院の時の注意点は?
今回は、お産の始まりから入院後の注意点の中でも「これだけは知っておいてほしい」ことを解説します。

※この記事は小児科オンラインジャーナル(2018年12月25日配信)より許可を得て転載しています。
※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■出産には3つの段階があります

出産の経過は大きく3つの時期に分けられます。

  • 分娩第1期(開口期):規則的な陣痛開始から子宮口(子宮頸管という子宮の出口部分)全開まで
  • 分娩第2期(娩出期):子宮口全開から赤ちゃんが産まれるまで
  • 分娩第3期(後産期):赤ちゃんが生まれた後から胎盤が出るまで

第1期は、本格的な陣痛から徐々に子宮口が開いていきます。子宮口が全部開く(全開)と約10cmまで広がりますが、一般的には5-6cmまで少しずつ開いていきます。そして、5-6cmを越えると分娩の進行が加速し、さらに陣痛も強まってきます。陣痛のたびに強い痛みが繰り返されることになりますが、子宮口が全開になるまではいきんではいけません。助産師さんのアドバイスをもとに、上手に「逃す」ことが重要です。

子宮口が全開し第2期になると、いよいよ分娩も終盤に差し掛かります。赤ちゃんを包む膜が破れて羊水が流れ出る破水は、子宮口の全開より前に起きる方もいれば、後に起きる方もいます。

■分娩にかかる時間の目安

初めての出産(初産婦)と、2人目以降の出産(経産婦)で異なってきます。初産婦では約15~16時間、経産婦では約6~8時間が目安と考えられていますが、一方で「正常範囲と考えられる分娩時間」の目安は初産婦で30時間、経産婦で15時間とされています。これを超えた、または超えてしまうと判断された場合には遷延分娩と呼ばれ、何らかの医学的介入(陣痛促進剤の使用や吸引分娩/鉗子分娩といった器械分娩など)が検討されます。

■出産に関わる注意点を知っておきましょう

(1) 子宮口全開までは「逃し」がとても重要
子宮口が全開するまでは、ひたすら痛みを逃し、いきむのを我慢しましょうと言われます。こんなに辛いのになぜ?と思われるのも当然ですが、これにはちゃんと理由があります。まず、この段階ではいきんでも力がうまく伝わらずにお産の進行を早める効果はないと考えられています。つまり、無理に体力を消耗してしまうことになってしまうのです。次に、長時間いきむことで腟から外陰部にかけてむくみが出てしまい、かえって赤ちゃんが降りてくるのを妨げることになりかねません。最後に、子宮口(子宮頸管)に無理な圧力が加わることで、子宮頸管裂傷が発生するリスクを上昇させてしまいます。大量出血にも繋がる危険な合併症ですので、無理にいきまず、自然なペースでお産を進めることが大切です。

(2) 陣痛促進剤は適切に使用することでお産を安全に進めることができます
促進剤と聞くと、なんだか抵抗を感じてしまう方も少なくないと思います。ただ、微弱陣痛などきちんとした診断のもと、ガイドラインに記載されている適切な使用方法を守ることで、安全にお産を進めることができます。その場合にも、お母さん自身がきちんと担当医の説明を聞いて、納得して使用することが大切です。使用前の説明時に、疑問点や不安な点を必ず確認しておきましょう。

今回は、いよいよ出産が間近にせまってきた皆さまへ、陣痛開始から出産の流れについて詳しく書きました。ご自身で理解しておくのはもちろん、パートナーにもきちんと理解してもらい、いざというときに焦らず対応できるよう、準備しておきましょうね。

文/産婦人科医 重見大介