予定日は妊娠40週0日に設定されていますが、なかなか陣痛がこず、予定日までに出産とならないお母さんたちもいらっしゃいます。その場合には、病院から「陣痛を起こすための分娩誘発をしましょう」と説明を受けることが多いのですが、今回はこの「分娩(陣痛)誘発」について解説します。

※この記事は小児科オンラインジャーナル(2019年2月6日配信)より許可を得て転載しています。
※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■分娩「誘発」と「促進」は違うものです

インターネットで調べると、「誘発」や「促進」など異なる表現が出てきます。陣痛促進剤、という言葉も聞いたことがあるのではないでしょうか。
簡単にいうと、

・誘発は「人工的な刺激によって陣痛を起こす」
・促進は「不十分な陣痛を薬剤によって強める」

という意味合いで利用されています。
つまり、まだ陣痛がきていない状況で実施されるのが「分娩(陣痛)誘発」で、陣痛はきてるのに十分な進行がみられない状況で実施されるのが「分娩(陣痛)促進」となります。

■分娩誘発の方法(1):子宮口の拡張

陣痛を起こすための薬剤(子宮収縮促進薬:オキシトシンなど)は、子宮口が全く開いていない状態では効果が薄いことが知られています。このため、まずは子宮口を軟らかくして、少し開いてあげる必要があります。

このとき、医療用器材を用いて物理的に広げることが一般的です。具体的には、硬めのスポンジのような棒状の吸湿性頸管拡張剤や、メトロイリンテル(水風船のような医療用器材)を子宮口に挿入し、半日から1日程度おいて徐々に子宮口が開くのを待ちます。ただし、入院した時点で子宮口が開いてきている場合には、この処置は省略されることもあります。

■分娩誘発の方法(2):陣痛の誘発

子宮口がある程度軟らかくなり、開いてきたら、いよいよ陣痛誘発剤の投与が行われます。これには飲み薬と点滴薬があり、それぞれの妊婦さんの状況に合わせて使い分けられます。
しっかりとした陣痛が起こるまでの時間は個人差が大きいため、陣痛誘発剤の投与を始めてから何時間後に産まれるかという一般的な目安はありません。もし、数時間投与しても効果が乏しければ、その日は投与を中止して翌日に仕切り直すこともあります。

今回は分娩誘発について詳しく説明しました。あまり聞きなれない器具や薬剤が出てきて不安になってしまう方も少なくないと思います。ただ、事前に少しでもイメージしておけると、心の準備や担当医への質問もしやすくなるのではないでしょうか。
具体的な処置や薬剤の種類、順番、必要な日数などは、個々人で異なってくる場合もあるため、主治医の先生によく確認するようにしてくださいね。

文/医師 重見大介