お子さんが耳を診てもらったら、「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」と言われた、という保護者の方も多いかもしれませんね。実は、滲出性中耳炎は小学校に上がる前に90%のお子さんが一度はかかることのある病気です。

滲出性中耳炎とはどのような病気でしょうか?風邪の時に併発することの多い「急性中耳炎」とはどう違うのでしょうか?

※この記事は小児科オンラインジャーナル(2019年05月20日配信)より許可を得て転載しています。
※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■滲出性中耳炎は、耳管の働きの低下と関係があります。

「中耳炎」と聞くと、一般的には「急性中耳炎」をイメージされる方が多いかと思います。急性中耳炎では、鼻の奥と耳の奥をつなぐ耳管(じかん)を通して,中耳と呼ばれる鼓膜の内側に細菌などが侵入し、炎症が起きます。

一方、滲出性中耳炎は「発熱や耳の痛みなどの急にあらわれる症状はないけれども、中耳の中に貯留液がみられる状態」です。医師からは「耳の中に水が溜まっています」と伝えられることが多いかもしれません。では、どうして耳の中に貯留液がたまるのでしょうか。

その原因は様々ですが、「耳管」の働きの低下と関係していることがわかっています。耳と鼻をつなぐ耳管はただの筒ではなく、周りの筋肉によって管が閉じたり開いたりできるようになっています。この管を開け閉めすることにより、中耳の空間にかかる圧力を調整できるのです。

風邪などを引いて耳管の周りが腫れ、耳管の開け閉めがうまくできなくなると、中耳の空間に強い陰圧がかかり、周囲の細胞から液体が中耳に漏れ出してしまい、滲出性中耳炎が起こります。(急性中耳炎でも、中耳に侵入した細菌に対する免疫反応により液体がたまる場合があります。)

■放っておくと、難聴や難聴に伴う言葉の遅れにつながることがあります。

滲出性中耳炎はほとんどの場合は3ヶ月以内に自然に治りますが、中には再発を繰り返したり、治癒するまでに1年以上と長い時間がかかる場合があります。また痛みや熱がないため症状がわかりづらく、長期間気づかないままでいると、難聴や難聴に伴う言葉の発達の遅れや、他の耳の病気につながることがあります。

滲出性中耳炎が治りにくくなる原因としては、風邪や急性中耳炎に加え、アレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患や、ダウン症など生まれつき耳管の働きが十分ではないお子さん、また鼻すすりをする癖があったり、受動喫煙やGER(胃食道逆流)、おしゃぶり、保育園などで他のお子さんと接触する機会が多いことが挙げられます。

■こんな症状があったら耳鼻科を受診しましょう。

滲出性中耳炎を疑う症状には下記のようなものがあります。

(1)耳の聞こえが悪い:大きな声でしゃべる,テレビの音が大きい,声をかけても振り向かない、なんども聞き返すなど
(2)耳閉塞感:耳がつまる感じ(ただし、耳閉塞感を訴えられるのは大きなお子さんになります)
(3)耳閉塞感を改善しようとする動作:耳を触ったり、頭をふったり、頭を傾げたりする
(4)言葉の発達が遅い、発音が正しくない

このような症状があったら、一度耳鼻科を受診し、耳の中を確認してもらいましょう。

文/小児科医 橋本真理子