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コロナ禍で、仕事が休業になり収入が減少した、といった影響を受けた人も少なくないでしょう。国や自治体により多種多様なサポート制度が用意されていますが、気をつけなくてはいけない点もあります。今回は、社会保険労務士(社労士)であり、ファイナンシャル・プランナーでもある中村先生に、コロナ禍でサポート制度を活用する際のポイントについてお伺いしました。


今回のポイント

  • 新型コロナウイルス感染症関連のサポート制度は定期的に内容が更新されるので要注意
  • 制度を利用する場合は対象、締め切り、内容、要件の4つを確認!
  • 情報は内閣官房や厚生労働省など、国からの発信を入り口に
  • コロナ禍は、「ひとまず凌ぐ」という意識と行動で乗り越える

 

新型コロナウイルス感染症関連のサポートは、制度の更新に注意!

――新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ってしまって困っている方が、利用できる制度は色々とありますよね。ただ、色々ある分、情報をどこから得たら良いのか迷ってしまいそうです。

いろんなサポート制度があるんだな、と気になって調べてみる人も多いでしょう。でも、個人のコラムなどから情報を得ようとすると、内容が間違っていることもあれば、既に変更されている制度の情報しか載っていないこともあります。

特に、新型コロナウイルス感染症関連の制度は、内容がどんどんと変わっていきますからね。「雑誌で知った制度を後から申請手続きしようと思ったら、その時には制度が終わっていた」「受け取れると思っていた給付金額が変更され、少ない金額になっていた」といったこともあり得ます。制度の詳細や、手続き方法とその締め切りなど、重要な情報はくれぐれも公的な資料を見てください。

サポート制度の情報を得るには、1つ目は内閣官房によるウェブサイト。2つ目は、厚生労働省のウェブサイト「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」「くらしや仕事の情報」を確認してみてください。細かく情報が載っていますし、まめに更新もされていますし、検索性も優れています。

制度については、こういった国からの情報発信を入り口にしましょう。専門用語が並んでいてわかりにくい時には、ライターさんが書いたコラムなど、噛み砕かれた内容のものを見ると、頭に入りやすくなります。まずは本丸を見て、中身のイメージをつかむのにコラムを見る、といった流れです。

――制度の正確な情報と、わかりやすく噛み砕かれた情報、両方を上手に見て知識を得たら、確かに分かりやすそうです。

あと気をつけて欲しいのが、それぞれの助成金等がもらえるものか、借りるものなのか、です。たまたま病気で仕事ができない時期があるとか、一時的に手元のお金が心もとない状況であれば、役所から借りる対応も良いでしょう。

そうではなく、日々の生活費の支払いも危ういとなると、ファイナンシャルプランニングを行い、節約できるところを確認して根本的な対処法を考えるべき段階かもしれません。今困っているお金は、借りて対処して良いものなのかなど、多角的に見ないといけません。自分が置かれた状況を踏まえてお金を借りて大丈夫か、返済計画や収入を得る手段なども一緒に考えてみてください。

――今の状況だけでなく、未来の自分の生活も整えておければ、より大きな安心を得られるということですね。

国や自治体のサポート制度を利用する前に必要な確認4ステップ

――では、もしも気になる制度を見つけた場合、どういった手順を踏めば良いのでしょうか。

「これだ!」という制度を見つけたら、4つのステップの確認が必要になるとイメージしておくといいでしょう。

まず、制度の申請締め切りはいつかを最初に確認してください。
2つ目は、対象者は誰なのか。個人が申請をして、お金を受け取る制度だけでなく、企業が手続きをしてお金を受け取る、企業のための制度もあるんですよ。社員のために規則などを整えようとすると、手続きのために社労士への依頼費用などのコストがかかるから、それを国が補助する制度などもあるので。「20万円給付される制度があるらしい」と1日調べていたのに、よく見たら企業向けの制度だった……となると時間がもったいないですよね。

自分が対象と確認できて、締め切りにも間に合うのであれば、3つ目はいくらもらえるかなどの内容をもう少し詳しく調べます。そして4つ目に要件ですね、制度を利用するための要件を自分が満たしているか。対象、締め切り、内容、要件。まずやってほしいのはこの4つの確認ですね。

企業のための制度には、新型コロナウイルス感染症の関係で休業した場合などに補償される制度もありますが、これは企業が雇用保険に申請して、休業時間分もらったものを社員に払うのが基本です。
しかし、この制度は申請のハードルが高いところが難点です。社労士に頼めばその報酬も必要になりますし、中小企業の方ではそこまで手が回らないケースもあるようです。実は、そういうときには社員自ら書類を用意して請求手続きをできるんですよ。

たとえばパート勤務の方で、当初の契約が週3日の勤務だったとします。でも新型コロナウイルス感染症の影響で、職場から週2日勤務への変更を依頼されたとしましょう。
その場合はもともと3日分の収入が得られるはずが、2日分に減ったとみなされる可能性があります。「パート勤務だから助成制度が使えない」と会社から言われた場合も、仕事自体は続けられるからといって諦めずに、もしかしたら何か道があるのかもと考えてみてください。

――自分で一つ一つの制度を、どれが自分に該当してどんな書類が必要かを確認していくのは手間ですが、しっかり確認したいと思えました。

そうですね、一度にすべてを確認すると頭がパンクすると思います。時間を置いて何回かに分けて見ていくと良いでしょう。こうして時間をかけて確認していくとなるとやはり、締め切りを先に確認しないといけないため、さきほどの手順で確認をするのがおすすめです。

お子さんのいるご家庭は、一緒にお金のことを考えてみる機会を持って

――最近は学校からも、家庭向けの助成制度の周知がありますよね。給食費が払えない人のためであったり、奨学金制度についてであったり。知人の子どもが通っている私立の学校では、学校独自の奨学金への申請が増えていると聞きました。

そうですね。学校に関するお金の情報は、学校に問い合わせる、子どもにプリントが配られなかったか確認する、ママ友のネットワークを活用することも大切です。そして重要なのは文部科学省(以下文科省)のウェブサイトを確認することですね。学費の支払いが厳しい場合の助成などは、文科省の管轄です。

話題は少し変わりますが、親御さんと子どもたちとで、お金の価値観や学校、習い事を選ぶことの重要性を話し合うチャンスでもあります。今の時代、どの家庭でも経済的に厳しい状況へ一度は直面するでしょう。

子どもたちもこれから厳しい時代ではあると思いますから、今からお金に関するセンスを身につけておけると安心ではないかと思います。習い事をするのにどのくらいお金がかかって、自分はどのくらいやれているのか。それから、過度なお誘いを断るとか、自分で選んでいることとお金の関係を考えるきっかけになると思うんですよ。親も含めて、ですね。

お小遣い制度を取っているご家庭もありますけど、ご両親の収入はそのお小遣いの何倍くらいなのか、なんて話から意識してもらうのも良いですね。ご両親は、能力アップをすることでそれだけのお金を稼いでいる。だから、学校に通うことで自分の能力アップをすれば将来もらえるお金も変わってくる、という流れで話ができれば、子どものやる気や考え方も変わってくるかもしれません。

節約する時は「削っちゃいけないところ」も意識して

私がファイナンシャル・プランナーとして受ける相談の中には、今入っている民間の保険を解約したいといったものもあります。けれど、保険というのは「もしも」の時のためのサポート。解約をした後に「もしも」があったら、非常に困ってしまいますよね。保険の解約は慎重に検討することをおすすめします。一時的に保険料の支払いが苦しい時は、解約の前に解約の前に契約者貸付等、他に方法がないかよく検討してください。

また、保険の解約を考えている方は、住宅ローンの支払いが厳しいことを理由に挙げることが多いです。ローンを貸す側の銀行も、家計状況が変わった時に住宅ローンが一番負担になることはわかっています。しかし借りている側からすると、返せないと相談したら怒られるかもと心配して、相談できないこともあるわけですね。

でも、コロナ禍もあって事業や会社の収入も厳しいと相談すると、ひとまず今を乗り切るための制度の活用を提案してくれる可能性はあります。最終的には払う利息が増える可能性もありますが、利息の高いカードローン等をさらに借りる前に相談してみてほしいなと思います。

自営業などで、国民年金や国民健康保険料(以下、国保保険料)の支払いをしている場合、まとまった金額が定期的に必要になるので、支払いを避けたくなることもあるかもしれません。しかし、どちらも支払いをせず放置することだけは避けてください。お金に余裕がない場合は、免除や保険料軽減制度もありますので、まずは年金事務所や役所などに相談しましょう。

コロナ禍で精神的に参ってしまったというケースですと、病院を受診したりするかもしれません。後日病状が重くなり障害年金の対象になる可能性があっても、国民年金の未納があると受け取れないこともあります。
>>障害年金について、詳しく知りたい方はこちら

国民年金は支払いが滞っていると老後の年金が減り、障害年金がもらえない、国保保険料が未納だと何気ない日常の通院という行動が難しくなる。これだけは、絶対に削らないでほしいポイントです。

年金の繰り上げ受給を決める前に、まずは各窓口で相談を

さて、年金窓口相談には、60代で住宅ローンの返済がまだ続いているという方もいらっしゃいます。コロナ禍で収入が下がり、年金の繰上げ受給を検討されている人もおられるでしょう。しかし、繰上げ受給にはデメリットもあり、生涯受給する年金額が足りなくなることもあります。繰上げ受給の手続きの前に、銀行に相談へ行ってほしいですね。

コロナ禍は、「ひとまず凌ぐ」という意識と行動が大事です。生涯の収入を削るような手段は、避けたいものです。対策をする場合には、優先順位を間違えないようにしたいですね。

――本当に困った時には、銀行や役所など、然るべき機関にまずは相談するのが優先ということですね。いざというときに焦らないように気をつけたいと思います。年金の繰上げ受給のことも、家族にも伝えておきたくなりました。

話は戻りますが、国からのサポートには、借りる・もらえるのいずれもあるわけです。しかし、それらを受け取るためには、自分の状況を紙で証明しないといけません。仕事が休業になって給料が減りました、学校が休みになっています、など。

紙で証明するということは、会社や学校に証明書をお願いして、役所などに持っていく必要がありますから、自分の都合だけで進まない面があります。つまり「来週が締切だから、まだまだ間に合うな」なんて思っていたら、「学校から証明書持ってきてください」とか「会社から証明書もらってきてください」とか「お給料明細、〇月分を持ってきてください」とか……、焦っているのに、書類が手元にない!となる可能性があります。早めに確認して早めに動きましょう。

――ありがとうございます。対象、締め切り、条件内容、要件。まずは4つを確認することは、慌てずにやっていきたいと思います。

 

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後編では、収入アップのために副業をする際に気をつけたいことや、キャリアアップに活用できる制度について伺います。

<プロフィール>
中村 薫。1990年より都内の信用金庫に勤務。退職後数カ月間米国に留学し、航空機操縦士(パイロット)ライセンスを取得。訓練中に腰を痛め米国で病院へ行き、帰国後日本の保険会社から保険金を受け取る。この経験から保険の有用性を感じ1993年に大手生命保険会社の営業職員となり、1995年より損害保険の代理店業務を開始。1996年にAFP、翌年にCFP®を取得し、1997年にFPとして独立開業。2015年に社会保険労務士業務開始。キャリア・コンサルタント、終活カウンセラー、宅地建物取引士の有資格者でもある。
●なごみFP・社労士事務所

<クレジット>
取材/ライフネットジャーナル 編集部
文/年永亜美(ライフネットジャーナル 編集部)