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社会保険労務士(社労士)でもあるファイナンシャル・プランナーの中村薫先生が教えてくれる「だれも教えてくれなかった社会保障」シリーズ。お子さまが生まれた方を支える制度について教えていただきます。

お金のことについて教えていただいた前回に続き、今回は働き方についてです。お仕事をしながら出産や育児をする場合、どのようなサポートを受けられるのか、確認しましょう。


今回のポイント(②働き方編)

  • つらいときはお医者さんと連携して会社へ伝えてみましょう
  • 会社にあるかも!要チェック制度
  • 子育てしやすい(かもしれない)会社の証「◯◯◯◯マーク」
  • こんなときはここに情報がある!(社会保険、労働保険・制度、厚生労働省)

赤ちゃんを育てながら会社で働く人のために、「会社はこの制度を導入しましょう」と法律上で義務づけられているサポート制度があります。

ただ、子育て支援関係の制度はどんどん新しくなるため、古い情報しか知らないままだと「うちの会社にはそういう制度がない」とか「制度はあるけれど、男性は使えない」と勘違いしてしまうかもしれませんね。
この記事では、子育て支援制度が使いやすい会社を見つけるための、ちょっとしたヒントなども紹介します。

※専門的な用語をできるだけわかりやすい用語に置き換えています。また、詳細な説明を省略しているため、すべての要件まで触れていません。

■身体がつらいときは医師と連携して会社へ伝えてみましょう

妊娠中の身体は非常にデリケートで、体調についての心配事が出てくることもあります。

体調が悪いときは会社や上司に相談するのはもちろんですが、その際、医師に「母性健康管理指導事項連絡カード」を書いてもらい、会社に提出することも一つの方法です。

会社は社員の状況が具体的にわかるので対応しやすくなりますし、妊娠中の社員にとっても、医師の意見があれば会社側に気兼ねなく相談できる安心感を得られるでしょう。

■会社にあるかも!要チェック制度

社員の妊娠や出産時に会社がどのような対応を取るかは、もともとの働き方や仕事の内容、本人の希望などによりさまざまです。基本事項としては、以下のような制度が「労働基準法」「育児・介護休業法」「男女雇用機会均等法」などで定められています(図表1)。

たくさんのサポート制度がありますが、基本的にはいずれも自動的に活用できるものではありません。
「満員電車を避けるため通勤時間を変更したい」「残業するのが難しい」など、会社へ希望を伝える必要があります。誰にいつ、どのような形で伝えればよいのかを就業規則で確認したり、働き方の調整に関係がありそうな上司や総務に聞いたりして、あらかじめ調べておくことが大切です。

図表1:妊娠から出産後に活用できる各種制度

  妊娠中 子が1歳に
なるまで
子が3歳に
なるまで
子の小学校
入学前まで
① 仕事の内容を軽易なものに変えてもらえる      
② 保健指導や健康診査の時間を作ってくれる    
③ 医師からの指導に応じて勤務時間の変更や仕事量軽減などをしてもらえる    
④ 休日労働をなくしてもらえる      
① 残業をなくしたり少なくしてもらえる 少なく 少なく
⑥ 深夜労働をなくしてもらえる
⑦ 仕事時間中にランチ休憩とは別に30分程度の短い休憩を1日2回までもらえる      
⑧ 子の病気やけがなどのときに休暇をもらえる(年5日、子が2人以上なら10日まで)  
⑨ 1日6時間の短時間勤務を選べる    
⑩ 転勤について配慮してもらえる   中学校
卒業まで

※各法律から主なポイントを抜粋したものです。
…妊娠、育児中の女性のみが使えるサポート制度です。
…育児中の男性も使えます。

■子育てしやすい(かもしれない)会社の証「〇〇〇〇マーク」

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もし就業規則に書かれていなくても、法律上の制度ですからどの会社にいても使うことはできます。しかし、制度はあっても、社内に活用した人がいなかったり少なかったりすると、入ってまだ間もない人や若い人は、制度を使いたいと言い出しにくいかもしれません。

そこで、子育てをする人が制度を利用しやすい会社かを見分けるヒントとして、会社のウェブサイトや会社案内などに「くるみん」マークがあるかを参考にするのも一つです。
これは「所定の子育て支援制度があり、実際に使ったことがある人が一定以上いる会社」と厚生労働省から認定されると使えるマークです。

図表2:くるみんマーク
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出典 厚生労働省

ただし、くるみんマークがあることだけが子育てしやすい会社の証ではない点には気をつけてください。
マークがなくても、子育て支援に理解のある会社も存在します。面接の際に「これまでの利用者数」などを聞いてみるなどの方法で確認することも忘れずに。

■こんなときにはここに情報がある!

子育てをしながら働くことを支える制度は、複数の法律に基づいて複数の主体が提供しているため、全体像を横断的に捉えにくいかもしれません。詳しくは、以下のウェブサイトをご参照ください。

①全体像は厚生労働省

②各制度について

  • 出産手当金……加入している健康保険(組合)
  • 出産育児一時金……加入している健康保険(組合)、国民健康保険
  • 育児休業給付……ハローワーク

③対面で相談したいとき

  • 育児休業などの制度内容や、会社から不利益な扱いを受けた場合など……都道府県労働局

最後に、前回紹介した産休や育休を含めて、子育て支援制度を使うことで会社から不利な扱いを受けることのないよう、法律で「(子育て中の人に対して)不利益な扱いをしてはいけません」と定められています。
また解雇にも制限があり、妊娠中や産後1年以内の解雇は「妊娠や出産、産休取得が理由ではない」と会社側が証明できない限りしてはいけない(解雇したとしても無効になる)と定められていることも知っておいてくださいね。そして、安心して休んで&復職してください。

※専門的な用語をできるだけわかりやすい用語に置き換えています。また、詳細な説明を省略しているため、すべての要件などまで触れていません。
気になったときは、会社の総務課などに相談したり、加入している健康保険やハローワークのサイトをチェックしたりしてみましょう。

<クレジット>
●なごみFP・社労士事務所 中村 薫

<プロフィール>
1990年より都内の信用金庫に勤務。退職後数ヶ月間米国に留学し、航空機操縦士(パイロット)ライセンスを取得。訓練中に腰を痛め米国で病院へ行き、帰国後日本の保険会社から保険金を受け取る。この経験から保険の有用性を感じ1993年に大手生命保険会社の営業職員となり、1995年より損害保険の代理店業務を開始。1996年にAFP、翌年にCFP®を取得し、1997年にFPとして独立開業。2015年に社会保険労務士業務開始。キャリア・コンサルタント、終活カウンセラー、宅地建物取引士の有資格者でもある。