「入らなきゃ、とは思っているけれどよくわからなくて……」、保険を選ぼうとしたときにそんなことを思う方もいるかもしれません。ファイナンシャル・プランナーの黒田先生にアドバイスをいただきながら、少しずつ保険のことをお伝えしていきます。今回は長期間働けなくなったときに備える「就業不能保険」について、見ていきましょう!

就業不能保険選びのポイント②

病気やケガで働けなくなった時の収入減少に備える就業不能保険。今回は、就業不能保険はどういった人に必要な保険なのか、ご説明します。

就業不能保険はどんな人に必要?

就業不能保険は、病気やケガの治療によって働けない状態が長く続いたとき、一定の条件を満たせば、収入を補うための給付金が受け取れます。たとえば月に10万円ずつなど、ご自身で設定した金額が毎月受け取れるものもあります。

そのため、この保険が必要な人は、長期間の療養によって収入が減少した場合、生活への影響が大きくなりそうな人です。一例として、以下のような人が挙げられます。

  • 貯蓄が少ない人
  • 住宅ローン返済中の人
  • 公的な保障では足りない人(自営業など)

療養中もこれまでと同様に、食費や子どもの学費などの生活費は必要となります。貯蓄が十分にできていない人の場合、収入が減少してしまうと、生活費が支払えなくなってしまう可能性もあるでしょう。

また、住宅ローンを組んでいる人の場合、月々の返済額は通常時の収入を基に設定しているでしょうから、収入が減少してしまうと、返済が難しくなってしまうかもしれません。

自営業などで国民健康保険に加入している人の場合は、病気やケガで休業したとしても、収入を補う傷病手当金などの公的保障は原則ありません。会社員の人などと比べて保障が少ない分、さらに収入減少の影響が大きいため、就業不能保険で月々の生活費をまかなうことも検討しておきましょう。

このように、療養をしている間に収入が減ってしまう心配のある方は、就業不能保険を検討しておくと安心です。受け取る給付金の分だけ、生活費や住宅ローンの返済の心配を減らすことができます。
反対に、住宅ローンを組む際の保険(団体信用生命保険)に働けなくなったときの保障がついている人や、既に貯蓄をしっかり用意できている人の場合、今すぐの就業不能保険加入は必要ないかもしれません。

また、働けなくなったときのことが不安だからと、大きな給付金額を設定して月々の保険料の支払いが家計を圧迫してしまうことになったら、本末転倒です。ご自身のほしい保障と支払える保険料のバランスを見ながら検討できると良いですね。

黒田先生:

死亡保障にしろ、医療保障にしろ、これまで民間保険に加入すべき人というのはファミリー層がメインでした。要するに、家計を支える一家の大黒柱に万が一のことがあれば……というイメージです。

就業不能保険も、働けなくなった場合、誰が、どのように経済的に困窮するか?が出発点ですが、従来と異なるのは、シングルであっても、ファミリーと同じように就業不能リスクへの備えが重要だという点です。昨今の共働き世帯の増加によって、ファミリーであれば、夫婦どちらかが働けなくなっても、一方がそれを支えることができますが、そのような選択肢は‘おひとりさま’にはありません。このような観点からも、就業不能保険は、ニーズのすそ野が広い保険だと思います。

【ポイント】

・収入が減ったときも生活費の備えがあるか、貯蓄などをふまえて考えてみましょう
・保険料の支払いが、毎日の生活を圧迫しないように保障の内容を設定しましょう

 

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監修/黒田 尚子
1969年富山生まれ。立命館大学卒業後、1992年(株)日本総合研究所に入社。SEとしておもに公共関係のシステム開発に携わる。1998年、独立系FPに転身。現在は、各種セミナーや講演・講座の講師、新聞・書籍・雑誌・ウェブサイトへの執筆、個人相談等で幅広く活躍。2009年12月に乳がんに罹患し、以来「メディカルファイナンス」を大テーマとし、病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動も行っている。CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士、CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格を保有。
●黒田尚子FP オフィス

構成・文/年永 亜美(ライフネットジャーナル編集部)