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妊娠中の飲酒や喫煙が、赤ちゃんによくないということは知られていますが、それはなぜなのでしょうか? 少しなら大丈夫じゃないかと思うかもしれませんが、ママの口にしたものの多くは、胎盤を通じ赤ちゃんに送られます。
妊娠期間を楽しく、安全に過ごすためには、ママと赤ちゃんの両者の受ける影響について考えておくことが大事です。
今回は、飲酒や喫煙が赤ちゃんへ及ぼす影響についてよくある疑問にお答えします。

※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■妊娠中にお酒を飲んではいけないのはなぜ?

妊娠中の飲酒は、胎盤を通してアルコール成分が赤ちゃんに届いてしまいます。
お腹の中の赤ちゃんにはアルコールを分解(無毒化)する能力がないため、以下のようなリスクにさらされる可能性があります。また、妊娠中のママの身体にもよくない影響があるので、改めてそのリスクを確認してみましょう。

① 胎児への影響
アルコールによる発育の遅れや、器官の形成に影響を与えることもあります。主な症状は低体重、顔面を中心とした形態異常、脳障害等、深刻な障害を引き起こすことが知られています。※1

② 母体への影響
日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン-産科編2020」によると、妊娠高血圧症候群との関連が報告されています。※2

飲むお酒の量さえ気を付ければ良いと思うかもしれませんが、実は「〇ml以下であれば飲酒をしても大丈夫」といった基準やエビデンスはありません。
妊娠に気づいていない初期に、少量飲んでいた程度であれば胎盤の完成前なので、問題がないことが多いです。しかし、念のために医師へ伝えておくと安心です。「安全な飲酒量は確立されていない」=「少ない量でも赤ちゃんに影響を及ぼす可能性がある」ということを忘れず、妊娠がわかった段階から禁酒を始めましょう。

■お腹の中の赤ちゃんもタバコを“吸ってしまう”

タバコの煙には、ニコチンや一酸化炭素といった成分が含まれていることは、ご存知の方も多いと思います。
これらの有害な成分は、血管を収縮させたり、赤ちゃんへの酸素の供給を低下させたりする可能性があります。

① 早産や低出生体重のリスク
タバコの成分によって、胎盤の形成がうまくなされなかったり、子宮の炎症が起こったりして、早産や低出生体重児の出産につながる可能性があります。

② 乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク
SIDSとは、赤ちゃんが事故や窒息などのはっきりした理由もなく、突然亡くなってしまうことです。両親が喫煙する場合は、喫煙しない場合の約4.7倍もSIDSの発症率が高くなったという報告※3もあります。

■外で吸えば問題ない?見えない煙「サードハンド・スモーク」をご存じですか?

服や髪、壁などについたタバコの臭いが気になったことがある方も多いのではないでしょうか。

タバコの煙の成分は服や髪、壁などにしみ込み、煙が消えた後でも有害物質を出し続けます。それによって健康被害を受けてしまうことを「サードハンド・スモーク」といいます。妊娠中にこの影響を受けることで、将来生まれてくる赤ちゃんが、気管支ぜんそく等※5を発症する原因となることもあります。
生まれてくる赤ちゃんのためにも、喫煙、受動喫煙だけでなく、サードハンド・スモークも避けたいですね。

禁酒や禁煙は小さな赤ちゃんへの大きな贈り物と言えます。
赤ちゃんの健康のためにも、正しい知識をもって、毎日の生活を見直していきましょう。

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<参考文献>
※1:厚生労働省「e‐ヘルスネット 胎児性アルコール・スペクトラム障害」
※2:
日本産婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン‐産科編2020」
※3:厚生労働省「e‐ヘルスネット 乳幼児突然死症候群 / SIDS」
※4:厚生労働省「e-ヘルスネット 三次喫煙(サードハンド・スモーク)」
※5:日本産婦人科学会患者向け資料「HUMAN+」

<クレジット>
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/看護師、保健師 古屋 麻美(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)