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「妊娠中に気をつけたい主な病気について」「妊娠すると血糖値が上がる?その時どうすればいいの?」のコラムでお伝えしたものに加え、ウイルスや細菌などの病原体が原因の感染症は妊娠中に気をつけてほしい病気のひとつです。そこで今回は、妊娠中に特に気をつけたい感染症について解説します。

※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■妊娠すると免疫力が下がる理由

免疫力とは、ウイルスや細菌など自身にとって害となるものから守ろうとする力です。妊娠中に免疫力が高いままだと胎児を攻撃してしまう可能性があります。そのため、妊娠すると胎児を守るために免疫力を下げるようにはたらきます。このため、妊娠中は感染症にかかりやすく、普段より重症化してしまう恐れがあります。

■気をつけたい感染症について

◆風疹
妊娠中、特に妊娠20週頃までに風疹ウイルスに感染すると、お腹の赤ちゃんも風疹ウイルスに感染する恐れがあります。風疹ウイルスに感染した状態で産まれた赤ちゃんは、難聴や白内障、心臓の病気、心身の発達の遅れなどがあらわれる「先天性風疹症候群」を引きおこす可能性があります。風疹を予防するためには予防接種を受けることが重要です。ただ、妊娠中は予防接種を受けることができないため、妊娠前に風疹の抗体をもっているか確認し、抗体をもっていない場合には予防接種を受けましょう。
また妊婦の方だけではなく、パートナーの方も風疹の抗体を持っていない場合には予防接種が必要になることがあります。そのため、妊娠が判明したら家族など特に身近な人に予防接種を受けてもらいましょう。

◆トキソプラズマ
加熱が不十分な肉、猫のフン、洗っていない野菜や果物などに存在するトキソプラズマという原虫が口から感染することによって発症します。妊娠初期の妊婦の方が感染すると、胎盤を通して赤ちゃんにも感染し先天性の奇形、神経障害などの原因になるため、感染した場合は早期に治療が必要となります。一番の対策は感染予防です。猫のフンを処理した後はよく手を洗う、生肉を食べない、野菜や果物はよく洗ってから食べるなど注意をするようにしましょう。

◆サイトメガロウイルス
サイトメガロウイルスは唾液や尿に多く含まれるウイルスで、ほとんどの方が乳幼児期に自然に感染して抗体を持っています。しかし、妊娠中に初めて感染した場合、赤ちゃんが低体重や黄疸、肝機能障害、難聴などの病気になる可能性があります。

サイトメガロウイルスの主な感染経路は、上のお子さんを含む周囲のお子さんからである場合が多いです。ただ、ワクチンがないため、日常生活上での対策が唯一の予防方法になります。
例えば、赤ちゃんのおむつを替えたあとは石鹸を使って20秒以上手洗いをする、よだれを手でふかない、同じスプーンで食べない、食べ残しを食べない、子どもの唇へキスをしないなどがあります。
特に感染歴のないお母さんが2人目のお子さんを妊娠したときや、乳幼児と関わる機会が多い仕事(保育士など)をされている方は感染するリスクが高いので注意するようにしましょう。

■最後に

冒頭でもお伝えしましたが、妊娠中は免疫力が低下するため、普段であれば早く治る病気であっても、お母さんやお腹の赤ちゃんに大きな影響が出てしまう可能性もあります。そのため妊娠が判明したときはお腹の赤ちゃんの健康のために、早い段階でパートナーなど家族の方も含めて予防接種を受けるなど感染症予防の対策を行うようにしましょう。

<参考文献>
・日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 産科編2020」
・JAID/JSC「感染症治療ガイドライン 2019」

<クレジット>
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/医師 石山敏也(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)