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かゆみの症状を起こす病気には、妊娠中や産後すぐの時期に特有なものもあります。そのような病気について事前に知っておくことで、過度な心配から精神的に疲れてしまったり、逆に軽視して症状が悪化するまで放置してしまったりすることを防ぐことができます。そこで、今回は妊娠中や産後すぐの時期に特有な、皮膚がかゆくなる病気をご紹介します。

※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■妊婦さん特有のかゆ~い3つの病気

妊娠中のかゆみは、妊婦さんの約2割に見られる身近な症状です。もともとアトピー性皮膚炎等の皮膚の病気がある場合にはそれが悪化する場合もありますが、今回は妊娠中に特有な皮膚の病気として、以下の3つをご紹介します。

1つ目は妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)です。初めての妊娠での発症はまれで、2回目以降の妊娠時に多いとされます。典型的な症状としては、妊娠3~4ヶ月頃から、腕や脚の伸側(肘や膝の裏側)と胴体に強いかゆみのある米粒程度のぶつぶつが出てきます。出産後はすぐに消えますが、再度妊娠した場合には再発することが多いです。

2つ目はPUPPP(ピーユーピーピーピー)という略称で呼ばれる病気です。正式名称は「Pruritic Urticarial Papules and Plaques of Pregnancy」で、日本語に訳せば「妊娠中のかゆいじんましん様発疹」のようになります。こちらは、初めての妊娠での発症が多いとされ、特に双子の妊娠で出やすくなるとされます。典型的な症状としては、妊娠7ヶ月頃からお腹やお尻、腕、脚に、名前の通りかゆみの強いじんましんのような発疹が出てきます。そして、やはり出産後はすぐに消えます。一方で、妊娠性痒疹と異なり、再度妊娠した場合の再発は多くはありません。

3つ目は妊娠性疱疹(にんしんせいほうしん)です。妊娠7ヶ月から産後2ヶ月頃に発症します。典型的な症状としては、最初にかゆみの強い、むくんで少し盛り上がった赤い発疹がおへその周りなどに出てきます。そして、それが小さい水ぶくれを伴うようになり、全身に拡がっていきます。多くは出産後に良くなっていきますが、妊娠のたびに繰り返すこともあります。

■妊娠中の我慢できないかゆみ、どうしたらいいの?

今回挙げた3つの病気はいずれも出産後には改善していくことが多いです。しかし、放置するとかゆみが強くなり、睡眠や仕事、家事などの日常生活に影響が出ることもあります。

また、皮膚のかゆみの原因となる病気は今回挙げたもの以外にも数多くあります。そのため、日常生活に影響が出るほどかゆみが強いときや、1週間以上症状が続くとき、水ぶくれを伴っているとき、発熱などの他の症状があるときは、早めの皮膚科受診をおすすめします。

自身でできる対処法として、一般的に皮膚のかゆみは体が温まるとより感じやすくなるため、長湯を避ける、かゆい部位を保冷剤や氷枕で軽く冷やすなどがあげられます。かゆみを起こす皮膚の炎症の悪化を抑えるために、しっかり保湿することやなるべく掻かないことも意識できるとよいでしょう。妊娠中は皮膚が黒くなる色素沈着を起こしやすく、これを抑えるためにも早めに適切な治療を行い、なるべく刺激せずに炎症を抑えることが望ましいです(詳細は別のコラム(「知っておきたい、妊娠中の皮膚のトラブル」)も参考にしてみてください)。

最後に繰り返しになりますが、妊娠中に強いかゆみが出た際には、過度に心配も軽視もせず、症状が強い場合や続く場合には適切な治療を行うために皮膚科の受診をご検討ください。

<参考文献>
医学書院「標準皮膚科学 第11版」 pp 557-575, 岩月啓氏, 2020

<クレジット>
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/医師 加藤卓浩(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)