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妊娠中、体調を崩しても赤ちゃんへの影響を考えて、お薬の使用をためらってしまう方もいるかと思います。しかし、お母さんの健康維持も、とても大切なことです。慎重に検討する必要はありますが、適切にお薬を選べば、赤ちゃんへの影響を最小限に抑えることが可能です。今回は、妊娠中のお薬の使用に関する注意点やその理由を解説します。

※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■妊娠が判明! この間服用したお薬は赤ちゃんに影響はない?

<妊娠0~3週目頃:妊娠成立時期>

妊娠判明後に嬉しい気持ちの反面で「妊娠に気づく前、薬を使用してしまった」と、不安になる方が数多くいらっしゃいます。妊娠前から持病などの治療をしている場合、主治医と相談して赤ちゃんへの影響が少ない薬で対処するのが理想ですが、そうできなかった場合もあるかと思います。
しかし、妊娠3週目までは”All or None”(全か無か)と呼ばれる時期。もし、この時期に服用したお薬が赤ちゃんに影響を与えるものの場合、妊娠自体が成立しないことがほとんどです。そのため、妊娠が確認されたのならば、赤ちゃんへのお薬の影響を過度に心配する必要は少ないでしょう。ただし、一部のお薬は体内に長く残り、その後の赤ちゃんの発育に影響を与える可能性があります。ご不安があれば念のため、主治医に服用したお薬の名前を伝えて相談してください。

■お薬が赤ちゃんの器官形成に影響することも

<妊娠4~15週目頃:器官形成期>

妊娠4週目以降は主要な器官(中枢神経、心臓、消化器、手足など)が形成されるため、赤ちゃんにとっても重要な時期です。この時期は、赤ちゃんの器官に何らかの異常が生じる「催奇形性(さいきけいせい)」に注意が必要です。ビタミンAの過剰摂取や、てんかん治療薬などの一部のお薬で生じる可能性があります。

もちろん、できるだけ早い段階で適切な対策をとることが必要ですが、もしも妊娠の判明が遅れた場合や妊娠に気付かなかった場合でも、飲み続けていたお薬が問題なく使用できるものであった可能性があります。過度に不安に感じず、妊娠が判明した時点で、普段から服用しているお薬や最近服用したお薬に関して主治医に相談してください。

■出産までの注意事項

<妊娠16週目頃~:発育期>

赤ちゃんの器官の形成が終わるとされる妊娠16週目頃から出産までは、赤ちゃんの体が発育する期間です。この時期は「催奇形性」よりも「胎児毒性」を考慮する必要があります。胎児毒性とは①赤ちゃんの体内の働きや代謝の異常②赤ちゃんの発育阻害③羊水減少などによる子宮内環境の悪化④出生後発育・発達への悪影響などを生じさせることです。一部の高血圧治療薬、抗生物質、向精神薬などが原因となることがあります。

また、お母さんが出産直前までお薬を使用していた場合、生まれた直後の赤ちゃんにお薬の有害作用が生じて治療が必要となることがあります。

■妊娠中にお薬を使う場合には

妊娠中は使用を避けたほうがよいお薬もありますが、問題のないものも多くあります。お母さんの症状によっては、赤ちゃんへの影響が否定できないお薬でも使用が必要となるケースもあります。妊娠中に不調を感じたら自分で判断するのではなく、事前に必ず主治医に相談して、できるだけ赤ちゃんへの影響が少ないお薬を処方してもらうと安心です。
何より健康的に過ごすことが一番大事ですので、体調管理に十分気をつけましょう。

<参考文献>
・メディアメディック「薬がみえる vol.2 第1版」 pp.195-197, 医学情報科学研究所 ,2019
・南山堂「薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳 改訂3版」 pp.13-16, 伊藤真也 村島温子 ,2020

<クレジット>
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/薬剤師 栗田 亜沙実(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)