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子どもが「パパ」「ママ」と呼んでくれたり、少しずつ言葉で意思疎通が取れるようになったり、その過程は保護者にとって子どもの成長を実感できる、またとない機会です。それだけに、時として「なかなか言葉が出てこない」「周りの子よりも話しはじめるのが遅い」と不安になることもあるかもしれません。
今回は典型的な言葉の発達過程、言葉が遅れる原因、日常生活でのポイントなどを解説します。

※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■言葉の発達は個人差が大きい

言葉の進み方は千差万別で、すべての子どもで異なる、と言っても良いほど個人差があります。例えば、なかなか話せる単語が増えないと思っていたのに、保育園に入った途端にお喋りになる、などはよくあることです。そのため、どこまで発達していれば大丈夫と明確な基準を設けるのは非常に困難です。

あくまで大まかな目安ですが、典型とされる言葉の発達過程は、以下の通りです。
【生後9ヶ月頃】単語の意味を理解し始め、「ダメ」などの禁止指示に反応します。
【1歳〜1歳半頃】指さしで答えたり、要求したりし始めたりします。
【1歳半頃】意味のある単語を3つ(「ママ」「パパ」「わんわん」など)以上話せるようになってきて、他の人が話す3語文の指示が分かるようになります。
【1歳半〜2歳頃】2語文(「ボール とって」など)が出はじめます。

■言葉が遅れる原因は?

言葉が遅れる原因は、個人差によるもののほか、難聴や自閉スペクトラム症、発達性言語障害(表出性・受容性)など様々です。その中のひとつが、「表出性発達性言語障害」だと言われています。これは、周りの話していることは分かるけど、言葉としては出てこない、という状態です。
大人でもよく話す人とそうでない人がいますよね。それと同じように、言葉を理解できる能力がある(≒話す準備ができている)ことと、話して誰かに伝えたいという気持ちが出てくることは、また別の問題なのです。

言葉が出てこなくても、きちんと目が合って、何かしらの方法でコミュニケーションを取りたがる、簡単な指示に従う、指さしをするなど、それ以外のコミュニケーションが取れているのでしたら、2〜3歳にかけて言葉が増えていくのを待ち、3歳児健診で改めて医師に確認してみると良いでしょう。

■おうちではどんなことに気をつければいいの?

大切なのは子どもが「伝えたい」と思うことです。言葉や単語を話させることを目的とせず、言葉はあくまでその方法の1つだと考え、「伝えたい」という気持ちを育むことを意識し、以下のようなことを取り入れてみると良いでしょう。

・たくさん話しかけてあげましょう。絵本の読み聞かせに、身振りや手振り、リズムをつけるもの効果的です。
・短い言葉で、わかりやすく、はっきり話しましょう。
・発音や言葉の訂正はせず、たとえ意味はなくとも、子どもの発した言葉そのものに反応してあげましょう。
・体を動かす遊びを積極的に取り入れて、感覚を刺激しましょう。

そうは言っても、「このまま様子をみて大丈夫?」という不安もでてくると思います。予防接種などの受診の際に、かかりつけの小児科で相談しておくとより安心ですね。

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<参考文献>
・国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査 身体審査マニュアル」
桃井眞里子「改訂第4版ベッドサイドの小児神経・発達の診かた」南山堂 2017
・日本小児神経学会「Q72:言うことは理解できるのですが単語が数語しか出ないのは病気でしょうか?」
※いずれも2022年5月30日参照

<クレジット>
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/小児救急看護認定看護師 松尾 祐吾(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)