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コンビニを上手く使えば、お金が貯まる? お金のプロが教える活用術【FP黒田の人生相談】

コンビニで買い物をすると割高になってしまうので、節約生活にコンビニは禁物──そう思っていませんか? その思い込みにファイナンシャルプランナーの黒田先生は「待った!」をかけます。なんと、コンビニを有効活用できれば、お金が貯まる生活につながるというのです。

いかにしてコンビニを活用するべきか? そしてお金が貯まる理由とは。黒田先生に語っていただきます。

【相談】
我が家は夫も私もお酒が大好き。毎日、食事とともにお酒を楽しみたいので、お酒のストックは欠かせません。節約もしたいとは思うので、近所のスーパーで安売りされているタイミングを狙って、大量に買いだめをしています。が、黒田先生は著書『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか』の中で「お金のプロはコンビニでお酒を買う」とお話しされています。それって本当に本当なのでしょうか!? コンビニでお酒を買うことがどうして貯蓄につながるのか。その真意を教えてください、黒田先生!(34歳・女性)


買う場所を選んで、お酒の飲み過ぎを防ごう


お酒、美味しいですよね。私も大好きです。だから安いお店で大量に買い込み、「お酒のある生活」を維持したいという気持ちはよくわかります。その方が割安で、節約につながりそうな気がしますよね。

でも、ちょっと考えてみてください。お酒のストックがある時に、「よし、もう1本。まだまだあるし、もう1本」と、お酒がたくさんあることに安心して飲み過ぎちゃった経験はありませんか?

ディスカウントストアでお酒をケース買いして安く済ませたつもりでも、実はケース買いが飲み過ぎを助長してしまいがちです。あとから計算すると、結局コストがかさんでしまっていたというのは、酒飲みの「あるある」です。

(画像はイメージです)

そんな事態を避けるために、私はお酒をコンビニで買うようにしています。ディスカウントストアよりも単価が高くまとめ買いする気も起きないので、コンビニで買う場合には常に1本単位。その日に飲む分だけですから、つい飲み過ぎるということもありません。そう、コンビニは飲み過ぎを止めてくれる防御壁なのです。

お酒の飲み過ぎは家計に響くだけではありません。深酒をすると翌朝のパフォーマンスにも影響します。それが続けば健康にも悪い影響を与えます。お酒の飲み過ぎは百害あって一利なしです。

「大量に買い込んでも大丈夫、私はきちんと飲む量をコントロールできるから」と、自制心がある方なら問題ないかもしれません。けれど、お酒を飲むとついつい気分が大きくなってしまいますよね。飲み始めてから「この1本しか絶対に飲まない」と厳しく自制できる人は、なかなか少ないのではないでしょうか。自制できる自信がないなら、買い過ぎる心配がない場所で購入しましょう。


お金のムダ、時間のムダを省こう


ライフスタイルにもよりますが、コンビニは意外に節約の味方です。1日3食、すべて自炊にしているという方であれば、スーパーで食材を買った方が断然割安です。しかし、特に一人暮らしの場合は食材を余らせてしまうことも多いはず。

残業が続く、飲み会が連続する、自炊ができない。そんな時にはコンビニで“お一人さま”サイズの惣菜や食材を買ったほうが便利ですし、結果的には安くつくこともあります。食材をムダにしてしまうこともありません。

大事なのは、目的によってお店を使い分けること。スーパーで買った方がいいもの、あえてコンビニで買いたいもの。自分の「ニーズ」と「ウォンツ」を自覚して、買い物場所を使い分けてください。

買う場所や単位を選ぶ、というのはスイーツにも当てはまりそうです。私は、いわゆる辛党なので、甘いものはほとんど食べませんが、男女問わず、毎日スイーツを食べているという方や、仕事帰りにスイーツを買うという方は多いですよね。ですが、やはりお酒同様、買い過ぎは禁物です。「もうちょっと」「もうちょっと」の繰り返しは、じわじわと家計に影響を与えます。アルコールと同じく、摂り過ぎは健康にもよくありません。

黒田尚子さん

解決策としては、お酒の場合と同じように、買う時にリミッターをつけること。「1個だけ」と心に決めておくようにします。そして、お目当てのものを1個だけ買ったらもうスイーツ売り場から目を逸らし、お店を後にしましょう。頻繁に新製品が登場するコンビニのスイーツは見てしまったら最後。気合を入れてスルーしましょう。

それから、時間や自分の状態によってもお店を使い分けることが重要です。空腹時や少し酔っている時など、自分の判断能力が落ちているな、という時には買い物に行かないのが正解です。お腹が空いていたり、気分が大きくなっていたりする時にはつい「あれもこれも……」と買い物かごに入れて、お金をムダにしてしまいがちです。

と同時に、時間のムダにもつながります。「あれもこれも……」とお店を隅々まで見て歩いて、気が付いたらあっという間に時間が経っていること、ありますよね? どんな人であっても、唯一平等に与えられているのが時間。1日は24時間、1年は365日、平等に与えられている時間をムダにするのはもったいない! 家計にも健康にもマイナスですから、時間を浪費してしまう買い物は避けるようにしましょう。

私は週に2回、「無買デー」を作るようにしています。「無買」というのは、文字通り「買い物をしない」こと。スーパーやコンビニに行かず、一度もお財布を出さない日を意識的に設けて、自分の物欲、買い物欲にストップをかけています。

週に2回が難しい場合も、食材の買い出しの前にはあらかじめ冷蔵庫の中身をチェックして、「今日決めた献立の分の材料だけを買おう」と心に決めて買い物に向かいます。これならムダにお金が出ていくことはありません。


お金と向き合い、何のために使うのかを改めて思い出そう


買い物は楽しいです。売り場を見て回るとつい目移りして、いろいろな商品に手を出したくなります。目新しいモノ、話題のモノを見ていると買いたい気持ちがむくむくと膨らみます。

でも、そこは自制心を強く持ちましょう。「私には自制心がないかも……」「自分を厳しく律するのは難しい……」と思うなら、買い物をしたくなる場所にはむやみやたらに近づかないのが一番です。お店に行き、売り場を見てしまうと自制心は効きづらい。だったら、最初から店に行かないとか、買い物をしない日をつくるといった制約を自分に設けてみてください。

(画像はイメージです)

買い物に行く時には、「何を買う」という目的をはっきりと持つために、事前に冷蔵庫やクローゼットの中身を確認しましょう。地味ですが、貯蓄を増やすには欠かせない方法です。

日本は長く平均賃金が上がっていません。手取りが上がらないのに、物価は上がり、社会保障費も増えていて、実質的にはむしろ微減傾向であるといっても過言ではありません。さらに、これからも円安の波は続くでしょう。光熱費や輸入品、さまざまなモノの値上がりが予想されます。

そういう時代だからこそ、お金にちゃんと向き合ってほしいと思います。自分は何のためにお金を使うのか、お金をどう使っていきたいのか。家を買うために貯蓄をしたいのか、子どもの教育費を確保したいのか。お金を使う目的や用途を明確にすれば、おのずと使っていいお金の範囲が決まり、やりくりがしやすくなります。

「それができなくて……」という方は、なぜできないのかを考えてみませんか。それがお金と向き合い、貯蓄を増やす第一歩です。

*後編はこちら↓

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<クレジット>
取材/ライフネット生命公式note編集部
文/三田村蕗子
撮影/村上悦子

<プロフィール>
黒田尚子(くろだ・なおこ) 1969年富山生まれ。立命館大学卒業後、1992年(株)日本総合研究所に入社。1998年、独立系FPに転身。現在は、各種セミナーや講演・講座の講師、新聞・書籍・雑誌・ウェブサイトへの執筆、個人相談等で幅広く活躍。2009年12月に乳がんに罹患し、以来「メディカルファイナンス」を大テーマとし、病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動も行っている。CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士、CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格を保有。
●黒田尚子FP オフィス

※こちらの記事は、ライフネット生命のオウンドメディアに過去掲載されていたものの再掲です。

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