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子どもは大人と比較して免疫が不完全なため風邪を引きやすいです。そのため、発熱、咳、鼻水などの症状を和らげるお薬を使用する機会も多く、「なかなかお薬を飲んでくれない」「入れた坐薬が出てきてしまった」など、苦労されたこともあるかと思います。お薬を正しく使用することができないと効果が十分に得られない可能性があります。
そこで今回は、粉薬、シロップ剤、坐薬を効果的かつ安全に使用するためのポイントについてお伝えします。

※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■粉薬の場合

一般的に水や湯冷まし(沸騰させたお湯を冷やしたもの)で服用することが望ましいとされています。そのため、まずは水や湯冷ましに粉薬を混ぜたものをスプーンやスポイトを用いて服用する方法を試してみましょう。ほかには、粉薬に少量の水を加えてだんご状にしたものを頬の内側や上あごに塗り付けたあと水で服用する方法などもあります。前述した方法で難しい場合は、アイスクリームやジュースなどに混ぜても良いでしょう。

<注意したいこと>
お薬をアイスクリームやジュースなどと混ぜる場合は、時間が経過するとお薬の成分が変質する可能性があるため、その都度作るようにし、混ぜたものを作り置きするのは避けましょう。また、一部の抗生物質などお薬の種類によってはアイスクリームやジュース(特に酸性度が高いオレンジジュースや乳酸菌飲料など)と相性が悪く、苦みが強く出る場合や効果が弱くなる場合もあるため注意してください。
※赤ちゃんにお薬を服用させるときは、ミルクに混ぜることは避けましょう。お薬の味の影響でミルクを嫌いになってしまう可能性があります。

■シロップ剤の場合

シロップ剤は、糖類などを加えて飲みやすくしたお薬です。軽量カップやスポイトなどを使用するとスムーズに服用できます。また、シロップ剤の味が濃いと感じる場合には、1回分を量りとったあとに少量ずつ水で薄めて服用しても問題ありません。

<注意したいこと>
シロップ剤は水分と糖類を多く含むため、粉薬と比較して細菌などが繁殖しやすい欠点があります。そのため、高温多湿、直射日光を避けて暗所で保管、冷蔵庫で保管するなど指示に従うようにしましょう。残ってしまったお薬は別の病気のときに再利用せず捨ててください。

■坐薬の場合

坐薬は、肛門の特徴を把握しておくとスムーズに挿入できます。膝を曲げると肛門は緩むので、まずは子どもを仰向けに寝かせ、両足の膝が曲がった状態になるように片手で支えます。次にもう片方の手で坐薬を挿入し、軽く坐薬を押さえながら両足を支えている手を手前に引き、膝を伸ばしましょう。このとき、膝を伸ばすと肛門は締まるので坐薬が出てしまうのを防ぐことができます。

<坐薬が出てきてしまった場合>
挿入した坐薬が出てきて、再度使用していいか悩むこともあるかと思います。もし坐薬が出てきてしまった場合は、以下のように対応しましょう。

・坐薬の形がほぼ残っている場合
お薬が吸収されてない可能性があるため、再度挿入しましょう。
・坐薬の形が残っていない場合
お薬がある程度吸収されている可能性があります。新しいものを追加で使用するとお薬の量が過剰になる危険があるので、そのまま様子をみましょう。

■子どもが自発的にお薬を飲む環境も大切

お薬を使用する際はお伝えしたポイントに注意しながら、子どもが自らすすんでお薬を飲むような環境を整えることも意識しましょう。具体的には、お薬を飲めたときは必ず褒めてあげるようにしましょう。家族から褒められた、自分でお薬を上手に飲めたという成功体験があると、お薬に対してマイナスな印象を抱くことが減ります。一方で飲めなかったときに怒ってしまうと、お薬を飲むことに抵抗感を感じてしまう可能性があるため避けるようにしましょう。
最近は服用しやすいように工夫されたお薬(口の中で溶ける錠剤など)も増えています。お薬の剤形の選び方や、使用方法で悩まれる際は医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

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<参考文献>
・メディアメディック「薬がみえる vol.4 第1版」 pp.238, 医学情報科学研究所 ,2019
・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「Q8 赤ちゃんに医師から処方された粉薬を飲ませるよい方法を教えてください。」(閲覧日:2022.7.18)

<クレジット>
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/薬剤師 市毛 優(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)