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子育てをしていて、周りの子どもよりできることが増えるペースや言葉の習得がゆっくりだと、つい不安になってしまいますよね。子どもに気になる傾向がみられると、病院に行ったほうがいいのかなと思うことがあるかもしれません。
成長のペースは人それぞれだとわかっていても、気になったときはどのように相談するとよいのかを知っておくと安心できます。今回は相談先や相談のポイントをご紹介します。

※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

■もしも気になることがあったら?ここへ相談を

乳幼児健診:
子どもの発達をさまざまな角度から観察する乳幼児健診を早期発見の場として活用することができます。1歳6ヶ月や3歳での乳幼児健診では対人面やコミュニケーション面の発達が確認できますので、気になることがあればその時点で相談してみましょう。

医療機関:
専門の診療科としては小児神経科や児童精神科になりますが、まずはかかりつけの小児科医が相談しやすいと思います。かかりつけ医から専門医を紹介してもらえる場合がありますし、日本小児神経学会のホームページで全国の小児神経専門医・発達障害診療医師を探すこともできます。

発達障害者支援センター:
各都道府県に設置されている発達障害者支援センターでは、発達障害に関するさまざまな指導と助言を行っています。電話による相談も受け付けていますので、まずはお住まいの地域のセンターに電話で相談してみるとよいでしょう。

■相談にいくときに、用意しておくこと

相談したいことを整理して、どんなことに困っているか、あらかじめメモに書いておきましょう。また、発達障害かどうかを診断する場合は生育歴が重要な情報となりますので、次の資料を持参しましょう。

  • 小さい頃の様子を記録した動画や日記・母子手帳など
  • 知能検査などの心理検査の結果(検査を受けたことがある場合)

■発達障害と診断されたときは

文部科学省の令和2~3年度「特別支援教育に関する調査の結果」によると、通常の学級に在籍しながら特別な指導を受けている児童生徒数が年々増加しています。もしも発達障害と診断された場合、まず子どもをよく観察し、環境を整えてあげることが第一です。次の方法を試してみてください。

  • 片付けが苦手で整理整頓ができないときや勉強の方法がわからないときは、 やり方の見本を示す、一緒にやってみる
  • 壁に落書きをするなど、やってはいけないことをしたときは、 「~したらダメ」と否定するのでなく「~しよう」と代わりになる方法を伝える

発達障害のいろいろな症状に対して、薬物治療を提案されることがあります。薬物治療は、発達障害と診断された子どもが自分をコントロールできるような手助けに必要だと判断された場合に行われます。もしも医師から薬を提案された場合、次のような点を確認して、不安なことがあれば処方医にしっかりと相談しておくと検討がしやすいでしょう。

  • 子ども自身のことを第一に考えているか
  • なぜ薬が必要なのかを本人にどう伝えるか
  • 薬を使う目的、期待される効果(どんなメリットがあるか)
  • 副作用などのデメリットの可能性(もしも副作用が出た場合どうするか)
  • いつまで続けるか、途中でやめられるか
  • 処方医は上記の内容を十分に説明してくれるか

現代はインターネットやSNSなどで簡単に情報が手に入る便利な時代です。しかし、正しい情報を見つけるのはなかなか難しいですよね。発達障害に関する信頼性の高い情報は、厚生労働省や日本小児神経学会、発達障害情報・支援センターなどのサイトから得ることができます。

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以上、発達障害かも?と思ったときに参考にしていただきたい内容についてご説明しました。
どの子どもに対しても、この子にはどんな魅力があるのか、より一層「子ども自身」に目を向けて、周りの適切な支援を受けられるように各機関に相談していきましょう。

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<参考文献>
・発達障害情報・支援センター「健診での気づき」
・発達障害情報・支援センター「気づいた後の対応のポイント」
・発達障害情報・支援センター「Q1.どこの発達障害者支援センターに相談するかについて」
・文部科学省「令和2年度 通級による指導実施状況調査(別紙1)」

・日本小児神経学会「Q73:発達障害の子どもにはどういう薬が用いられるのでしょうか?」
・日本小児神経学会「Q74:発達障害の子どもの薬物療法でどのような効果が得られますか?」
・日本小児神経学会「Q69:注意欠如・多動症(ADHD)にはどの様な治療法がありますか?」
・日本小児神経学会「Q81:注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の投薬はいつまで使わなければいけないのでしょうか。」
・日本小児神経学会「Q82:子どものAD/HD治療に抗うつ薬を使っても大丈夫でしょうか?」

※いずれも2022年7月27日参照

<クレジット>
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/薬剤師 星野 静(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)